ポ 「ほら、ここが鰻の名店、『色川』だよ」
ガ 「では、引き戸を開けて…。うわっ、いきなり『何人(なんにん)だ!』って怒鳴られたよ」
ポ 「怒鳴られたんじゃないよ。ここの店主は生粋の江戸っ子だからね。カウンターの席がちょうどふたつ空いているんだって。さあ、入ろうよ」
ガ 「また怒鳴られたよ。『おう、そこ座んな。なんにすんだい?』だって」
ポ 「これがこのお店の流儀。鰻重の上(1900円)にしようね」
ガ 「では、鰻屋さんでのお約束。鰻重ができるまでビールを飲んで…」
ポ 「ビールはダメだよ。我慢するんだよ」
ガ 「えっ、いつもは自分からビールを飲もうというくせに…。それにしても、常連と思しき連中と主人が、掛け合いでずうっと話しているよ」
ポ 「常連には楽しい時間かもしれないけど、ちょっと落ち着かないね。さあ、15分ほどで鰻重が到着したよ」
ガ 「養殖でやたら太らせている鰻があるけど、ここのは細い鰻だね」
ポ 「うん。さっぱりしている。鰻には小骨がいっさいないね。下ごしらえで丁寧に抜いているのかなあ」
ガ 「ごはんも絶妙なかたさ。お新香とお吸い物もおいしかったね。これなら、また来たくなるでしょ?」
ポ 「そうだね。うるさい常連がいない時間帯を見計らってだね。さあ、お次は浅草観音温泉に行くよ!」
ガ 「温泉!? 浅草に!?」
(浅草観音温泉にプチ逗留)
ポ 「たっぷり汗をかいたね」
ガ 「もう、喉がカラカラだよ。だけど浅草の街っていたるところ、露店で酒を飲んでいる人が多いね。僕たちもどこかのお店に入ろうよ」
ポ 「ダメだよ。ここでは飲まないよ。さあ、吾妻橋を渡って、と」
ガ 「あれっ、ビールの泡のような建物が…」
ポ 「そうだよ、アサヒビール本社さ。あのビルの22階で、おいしいビールを飲むのさ」
ガ 「そのために、わざわざ温泉に行ったの?」
鰻重・上:1900円 ビール2杯:1100円