栗太郎のブログ

一人気ままな見聞記と、
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2015 劇場鑑賞映画マイランキング (後編)

2016-01-07 19:01:33 | レヴュー 映画・DVD・TV・その他
ベスト10以下、評価順。


ダライ・ラマ14世 公式サイト
★★★★★★★7

法王密着ドキュメンタリ。
時にお茶目で、時に大声で笑い、人がいても鼻をかむし、かしこまらずにお茶を飲む。まさに本人の言うように、彼も一人の人間なのだ。
けしてかしこまらず、それでいてチベットのために心骨を砕いて活動している姿がとても尊い。
映画の中で、いろいろな質問が法王に問いかけられる。法王は、そのいくつかに対し「I don't know」と答える。
それは答えが見つからないのではなく、「あなたの問題です」という意味だ。突き放すではなく、あなた自身の力で解決しなさいと諭すように。
最後、インド最北部のラダックに住む人々の3日間にわたる祭礼「チベットの日」(だと思うが失念)の様子をとらえる。
精肉屋の前掛けのようなものを胴回りにして、数百人もの人々が、祈りのたびにわずか身の丈ずつの歩みを続けながら、5kmもの道程を行く。
行くというよりも、這いつくばるというほうが正しそうで、または、大地に抱き付いていくといってもいいかもしれない。
とにかく、それを3日で5km。どれほどの信仰心であろうか。その埃まみれの集団ののっそりと愚直な行進を目の当たりにして、また涙であふれてきた。


イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密 公式サイト
★★★★★★★7

どの時代も、戦争の雌雄を決する決め手は情報収集。第二次大戦で、連合国軍を勝利に導いた情報収集は、チューリングの執念があってからこその成果。
しかし戦後、英国政府によって秘匿され、その事実が明らかにされるのが50年後。
功労者のチューリングはその功績を讃えられることも栄誉も得られず、最大の理解者さえも去り、当時犯罪とされた罪(今ではマイノリティとして認知されてはいるが)で裁かれ、最後は空しい最後を迎える。
仲間と困難を乗り越え、どんでん返しのラストでスッキリ!! ・・・てな筋書きを予想して見ていたせいで、最後はもう悲しくて悲しくて。
カンパーバッチの迫真の名演、お見事。


黄金のアデーレ 名画の帰還 公式サイト
★★★★★★★7

老齢のマリア(ヘレン・ミレン)が、ときに寂しく、ときにチャーミングに、そしてゆるぎない芯を貫いていく姿が素晴らしかった。
美しいウィーンの街並みを舞台に、現代と過去が見事にシンクロしていく過程がじつに違和感なく、「アデーレ」を取り戻したい情熱が溶け込んでいく。
かつて自らが住んでいた、そして、結婚式を挙げた建造物のなかでの回顧シーンは、感動的であった。
最後にマリアは勝利を得た。いや、得たというよりは取り戻しただけなのだ。
結局、あのとき彼女が失ったものの多くは戻っては来ないのだ。そう思うと、喝采を送る気持ちよりも、やりきれない切なさしか残らなかった。


クリード チャンプを継ぐ男 公式サイト
★★★★★★★7

ロッキーを観たのは全部TVで、おまけにオールドスタイルのサクセスストーリーってことくらいしか記憶がなく、だいたい、アポロってどんなキャラだったっけ?てなレベルでの鑑賞。
それでも十分楽しめたし、ワクワクしたし、ついつい感動もした。
あらすじは、観てない人が当てずっぽうで想像しても、まあだいたい言い当てられる話だった。
だけど、それでも観た甲斐があったと思わせるのは、ロッキーとクリードの演技の力量なのだろう。
試合の場面。倒されて、それまでいろんなことがフラッシュバックしてもピクリとも動かなかったクリードが、散々ビデオで観てきたアポロの残像が浮かんだ瞬間に、飛び跳ねるように立ち上がった姿に、震えがきた!!


007スペクター 公式サイト
★★★★★★★7

さすがスパイ映画の老舗!超クールでスリリング!
それに、気の強いレア・セドゥーの役どころもいい。「美女と野獣」でもそんなだったな。頭も切れるから、ボンドとの阿吽の呼吸も抜群。
ピンチでも澄ました表情で、パンパンって埃を払ってスーツの襟をさりげなく直すとこなんざ、カッコいいわ。


ボーイ・ソプラノ ただひとつの歌声 公式サイト
★★★★★★★7

ひとつのことを極めることは、努力をもってして成しえることができる。そして、それを手放すことになっても、けして無駄ではない。
極めた経験が、その人間の自信になってその先の人生の成長の手助けとなるのだから。
天使の声を失ったステットは、それがわかっているから取り乱すこともなく、前を向いて生きていけるのだ。
それを、カーベル(ダスティン・ホフマン)が教えてくれた。
ほかの教授陣も、大人とはどういうものか、世間の汚さも含めて教えてくれた。
ステットは、ひと回りどころか、人が変わったように成長できたのだ。
それが、美しい歌声とともに、鑑賞後の余韻に響いてきて、すがすがしい気分にさせてくれた。


リトル・フォレスト 冬・春 公式サイト
★★★★★★☆6.5

期待に違わず、いち子の健気さ溢れる、台詞、映像、風景、そして料理。
ずっと、このままでいいのかって自問を続けて生きていたいち子が出した結論と、その後。
「人生は、同じところをぐるぐるまわって円を描いているんじゃなく、螺旋のように上昇している」的な、
「人の嫌なところが見えるのは、自分にも同じ汚い心があるからだ」的な、
そんな台詞が染み込んでくるのも、この映画のよさ。


起終点駅 ターミナル 公式サイト
★★★★★★☆6.5

佐藤浩市が、自らに刑を与えた人生を生きる独居の初老を好演。
本田翼も、役にあっていた。化粧っ気のない素直な笑顔を持ちながら、影を潜ませた瞳をも持ち合わせている。
息子役は、声は電話だけだった。しかし、職場で働く姿が画面に現れるだけで、涙が流れてきてしまった。
こいつが、山を趣味とし、「A定食」を楽しみにしている奴か、と思うだけで泣けた。
母親役は出てこないが、手紙の文面、字で、厳しくも理性のある人柄がうかがえた。そんな人に育てられた息子なのかと思わせられた。
もし、捨ててもいいと思えるような家庭だったら、カンジはあそこまで自分に刑を科さなかったかっただろう。
行き違いもありながら、ぎりぎりのタイミングで息子の結婚式を知ったカンジが、あえて東京まで電車で向かう。
たぶん、飛行機で行ってしまっては急激な気持ちの整理ができないのだ。まるで、凍えた身体をゆっくりと温めるかのような、そんなカンジの表情だった。


ふたつの名前を持つ少年 公式サイト
★★★★★★☆6.5

第二次大戦下のポーランドで生き延びたユダヤ人少年と、我が身を顧みず彼を助けた大人たちの物語。
少年スルリック役は、表情を巧みに使い分ける名役者だ!って感心してたら、双子だったらしい。それでも、双子の二人の白熱の名演は必見。
最後のシーン。父とスルリックが別れたシーンで起きていた、ある事実を知り愕然。それでも、生きようとしたスルリックの姿にただただ涙。


アメリカン・スナイパー 公式サイト
★★★★★★☆6.5

作品のクオリティは、安定感抜群のクリント・イーストウッド監督。
いまさら、イラク戦争の是非は問わず。主人公クリスが、PTSDに苦しむ。戦地と日常とのギャップが激しいせいだ。
徐々に笑顔が戻ってきて、ほかの傷痍軍人のケアに勤しみ自分を取り戻していくクリス。
最後の場面では、もうそうなってしまうのでは?というフラグがたっていたから想像はできたが、その事実をクレジットで紹介する手法に、むしろ胸に迫ってくるものがあった。
そして、沿道に立った数多くの人々。これは実際の映像だと、みていてわかった。それがまたさらに、胸を締め付けてくる。


唐山大地震 公式サイト
★★★★★★☆6.5

タイトルからしてパニック映画だろうと思っていたが、実は、強い気持ちの伝わってくるヒューマンストーリーだった。
もちろん中国らしく家族愛がくどく、頑固なとこはあった。
しかし、それを忘れさせるくらいに、丁寧に大事に作られた映画であることが感じられた。
惜しむらくは、もしもタイトルが違っていれば、もっと興業的に成功したであろうに。


映画 深夜食堂 公式サイト
★★★★★★☆6.5

テレビシリーズの映画化の懸念は、やたら張り切りすぎて豪華になってしまうこと。その懸念、無用でした。
いつもの連中は相変わらずの安定感。多部未華子、滅茶苦茶よかった。
高岡早紀みたいな、いけ好かない奴がいるのも深夜食堂らしい。

バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡) 公式サイト
★★★★★★☆6.5

長回しのカメラワークは、みていてワクワクした。全体をあおるようなドラムの効果音もいい。
そして、どこまでがリアルでどこまでが妄想なのか、観る者を戸惑わせるような、「ブラックスワン」を思い出させるスリルもいい。


バケモノの子 公式サイト
★★★★★★☆6.5

熊轍と九太。孤独を抱えたもの同士のシンパシィが、罵り合いをしようとも離れていようとも、切れない絆で結ばれている。
一匹狼で生きてきた熊轍が、迷うことなく我が身を差し出して九太の危機を救う姿に、感銘を受けた。
九太の心の闇を埋め、心の剣(物理的ではなく精神的なもの)になってあげられるのは自分こそであり、そのためなら惜しむことはないという一途さに。
物語の下地にある、中島敦「悟浄出世」や、メルヴィル「白鯨」を理解しているとさらに、この映画の奥深さを知るだろう。


フレンチアルプスで起きたこと 公式サイト
★★★★★★☆6.5

人口雪崩のためのバアンという爆発音と、リフト滑車のガタンという乗上げ音と、ビバルディ「夏」のバイオリンが、不穏な予感を掻き立てる。
雪崩のときにとった行動、そのあと何度も繰り返す叱責とはぐらかし、それが伝播した別のカップル、旦那の幼児返り、、。随所随所で、軽く笑いが起こる。
観ている男は、こういう奴いるよ友達で(といいながら、それが自分だとは自覚がない)と思い、観ている女は、あたしの彼・旦那もそうよ(というセリフがどれだけ傷つけるのか気付かず)と思う。
ならばこれはコメディ?、いえいえ、全然笑えません。
様々な場面を取り上げて、いやあ、俺ならこうするよああするよって言っても、綺麗ごとに聞こえてしまうんですから。


バクマン。 公式サイト
★★★★★★6

さすが大根仁監督のクオリティ。役者のキャラはわかりやすいし、飽きさせない演出もいい。
ストーリー展開はまさしく、友情、努力、勝利!健全な青春映画の王道です。


海難1890 公式サイト
★★★★★★6

情けは人の為ならず、いつか自分へと返ってくる。
返ってくるのは何十年もあとのことでも、恩を忘れなかったトルコ人によって、テヘランで窮地に陥った「あの時の日本人の子孫たち」に救いの手が差し伸べられるわけだ。
その空港で、大使館職員はなんの説明もなく説得し、それですべてを理解するほどトルコ人にとってエルトゥールル号の悲劇は常識なのだ。
悲しいことに、それを当の日本人はあまり知らない。
本来なら今度は、テヘランでの援助を日本人が語り継いでいくべきなんだけどなあ。


日本のいちばん長い日 公式サイト
★★★★★★6

この阿南が、真実の阿南かどうかは別として、画面から作り手と役者の「誠実さ」が伝わってくる。
とくに昭和天皇を演じる本木からは、半端な演技はできない緊張に気高さが備わっていて、映画をギュッとしめつける存在であり続けた。


靴職人と魔法のミシン 公式サイト
★★★★★★6

さえない靴職人が魔法のミシンを手にして何をしでかすか、それだけで興味がそそられ鑑賞。
使い方に若干の不満を感じつつも、最後はお決まりの人助け。ガラガラと階段を駆け落ちるようなドキドキとロマンスとサスペンス交じりの進行は楽しめた。
親父役がダスティン・ホフマンであるだけの理由が、最後に待っている。たしかに「大人のおとぎ話」と呼ぶにふさわしかった。
しかし、結局誰かの人生を「盗んでる」印象が拭えず、愉快な気分で見終えることはできなかったが。


探検隊の栄光 公式サイト
★★★★★☆5.5

お前ら、いい歳こいたオッサンだろうよ!
なんだよ、ヤーガってよ!
いるかよ、そんなの!
おまけに藤原竜也までも、いつのまにかユースケたちのペースに巻き込まれてんじゃんよ!
なんでそんなに一生懸命に出鱈目なこと真面目にふざけていられんだよ!
・・・とか言いながら、悔しいくらい羨ましいじゃねえか、まったく。チクショウ!


グラスホッパー 公式サイト
★★★★★☆5.5

何もしてない、何もできない鈴木の周りが、殺し屋同士の思惑でぐるぐるまわる。
鈴木は、細い針金で立っているヤジロベエみたいなもので、あっちやこっちからの風に吹き飛ばれそうになりながらふらふらと振り回されている。
だからあえて、鯨も蝉も鈴木との絡みはなくてもいいし、押し屋も敵ではなくたっていいと思った。
互助会からすれば、彼女を殺された鈴木なら、多少怖い思いをさせても復讐のためにというお題目で勘弁してくれるだろう、ってとこか。
でもね、結局また新しい黒いバッタが現れるだけなんだよね。そのときも、互助会はバッタを駆逐するのかな。


風に立つライオン 公式サイト
★★★★★☆5.5

この「風に立つライオン」には、モデルになる実話(柴田紘一郎先生)、それを基にした歌、小説(未読)、そしてこの映画、とある。
柴田先生ご自身が長崎大学の方なので、映画の設定は実話に則したものに戻っている。
でも、僕の中では、「風に立つライオン」の世界は『歌』の中にあったようだ。
歌は、かつての恋人に送った「突然の手紙には驚いたけどうれしかった」で始まる手紙が、歌詞の全文になっている。
だから、真木よう子が(東京じゃなくて長崎の離島でもかまわなけど)受け取った久しぶりの手紙は、あんな一行ではだめなんだよね。
歌の中の手紙の文章だからこそ、彼の苦労と充実が伝わってくるのに。
一緒に見たわけでもないのに、千鳥が淵の桜は、さぞ美しかろうと思わせるのに。
ビクトリア湖の朝焼けか、キリマンジャロの白い雪か、100万羽のフラミンゴか、草原の象か、どれかがせめて映画の中でどーんと出てきてくれたなら、その世界に誘われていけたのに。


さよなら歌舞伎町 公式サイト
★★★★★5

舞台がラブホテル、数組のカップルの群像劇。音楽が軽いぶん、ジメジメもベットリもさせない出来になっていてよかった。
セックスビジネスに携わってるひとだって、ふつうの人たち。普通にセックスもすれば、嫉妬もする。
隠し事だって程度の差こそあれ誰だってある。それが、たまたま同じ日の同じラブホテルで交錯したわけ。
緩い間延び感と、ハンディの映像が、じわりと染みるには効果的だった。


キングスマン 公式サイト
★★★★★5

アクションはスリリングだし、キャラもいい。ハリー役のコリン・ファースはもちろん、エグシー役のタロン・エガートンのはまり具合は抜群だった。
各所にでてくる「007」へのクスグリがおかしいし、こんな荒唐無稽なストーリーは楽しめる。
だけどどうも、あんだけ人が死んでるのにそこのフォローはないの?ってのが気になっちゃって、あまり受け入れられない。
あれじゃ、街を壊しといてドヤ顔で宇宙に帰るウルトラマンと同じだよ。


予告犯 公式サイト
★★★★★5

シンブンシの犯行の目的が、それだったとは!もっとでっかいことかと思って構えていた分、拍子抜け。
そして同時に、ゲイツのいい奴さ加減にウルルときた。「誰かのためになら、人は動く。」まさにその一言に尽きるね。


天空の蜂 公式サイト
★★★★☆4.5

東野圭吾の小説には、核心をついた社会的メッセージがよくあるが、今この現代をまるで言い当ててしまっていたかのような内容には感服させられる。
この映画では、原発行政の脆さと矛盾。それでいてダメだしばかりでは納めずに、希望の芽は残すところがいい。
ただどうしても、江口がやるとクサくってたまらない。どんな役をやっても同じ演技。熱すぎて閉口する。


アリのままでいたい 公式サイト
★★★★4

カメラアングルが独特で、新鮮。
カブトムシよりもカマキリに衝撃。なんと、頭を食われても〇〇〇〇〇(ナイショ)とは。あまりにも切ないね。
子供向けにしても、アニメが稚拙すぎるのが難点か。監督本人の登場も不要だと思うが。


ルンタ 公式サイト
★★★☆3.5

中国から弾圧され、国を追われたチベット人。
そのなかで、かつて政治犯として投獄され拷問を受けた人や、彼らを支援する日本人・中原氏を追うドキュメンタリ。彼らの利他・慈悲の精神が胸を打つ。
ただ、すっきりしない。映画紹介のポスターに使われる少年僧侶は、本編の中でたったのワンシーンしか出てこないからだ。それがミスリードに感じた。


サンドラの週末 公式サイト
★★★☆3.5

もともと、うつ病を発症しちゃうんだから、心が弱い人なんだって大目に見ます。
でも、「高度な技術は不要で誰でもできる仕事」で「一人減って16人でもなんとか回っちゃう仕事」なら、忙しければ臨時雇いで対応する、って会社の方針は、経営者としては普通でしょ?
あの運動で、また働けるようになっても、それまでどおりの職場の雰囲気じゃないでしょ?


ライアンの娘 公式サイト
★★★3

夫にばれても恋に執着するロージー、妻を寝取られても戻ってくると信じる間抜けなロバート、嫉妬とやっかみだらけの民衆、そして、保身のために娘を見捨てたライアン。
全然、知り合いになりたくない人たちばかり。
牧師と従者マイケルだけが、一貫した生き方を通していた。
ロージーが、自分も蔑まれる立場になってはじめてマイケルの気持ちがわかり、それまで毛嫌いしていた彼の手の甲にキスをする場面には、はっとした。


合葬 公式サイト
★★★3

杉浦日向子の原作は、漫画でありながら歴史考証がしっかりとされていた。
それは、元祖歴女みたいな杉浦日向子だから当然のことで、彰義隊に参加して徳川家に殉じようとする旗本たちの描き方がうまかった。
その少年たちは、たとえば白虎隊などを見てもわかるように、純粋無垢に、主家のためこそはと命を投げ出す。
そのあまりにも儚さは、一方では軽さと見え、また無謀としか見えない。そんな幕末の幕臣たちの流れゆくさまが、原作にはあった。
あの拙いように見える絵に、その世界があった。
それを、この映画は台無しにしてしまった。
音楽、セットともに、どうも馴染んでいない。ストーリーも、作者が伝えようとしたことを理解してない。
ラストなんか、「ああ、会津で死のうとしてるんだな」という、そこしか行き場のない悲しみこそが肝心なのに。
あんなんじゃ、幕末の世情を知らない人にはなおさらちんぷんかんぷん。同じキャストで撮り直してほしいくらいだ。


おやすみなさいを言いたくて 
公式サイト
★★★3

現場で起こっている真実を伝える使命感をもつ彼女。
そんな彼女のように、誰かがなにかを犠牲にしているからこそ、世界中で起きていることを、僕らはメディアから知ることができる。
だけど、その行為を「傲慢」だと思えてしまう僕の感覚は、おかしいのだろうか?
レベッカが最後、おそらく自殺テロを決行しようとする少女と自分の娘が被ったがために泣き崩れる。
それさえも、おい今さらかよ、って彼女の「傲慢」に失笑してしまった。


映画 みんな!エスパーだよ! 公式サイト
★★★3

やっぱ、ドラマものをやろうとすると、まずおさらいしなくちゃなんないし、ああ半端なっちゃうのはしょうがないわな。
ま、ドラマ版ファンの礼儀として、観るだけ観に行った、それだけ。


ジョーカー・ゲーム 
公式サイト
★★★3

軍人役の亀梨の、髪型、眉毛、もうそれだけで冷めた。リアリティーのなさが気になって、物語に入り込めない。
スピード感はあるが、それがかえって映画を軽くしちゃってる感じ。
小説に出てくる結城以外は、キャラをまぜこぜにしているようなストーリーだった。
しかも、なんで映画化ってなるとすぐに女を出したがるのか。お陰で、小説の中のハードボイルドテイストが薄まってしまった。


ピッチ・パーフェクト 
公式サイト
★★☆2.5

大学のアカペラ選手権を舞台にしたコメディなんだが、主役の二人以外が、押しなべて品がない。
相手をけなし罵倒する、人を見下し馬鹿にする、人前で下ネタを連呼する、恥ずかし気もなくお色気路線をゴリ押しする、下品なジョークでウケを狙う、自分がのし上がるチャンスと見るや目の前の仲間を平気で捨てる、、、。
アメリカのこういうとこが嫌いなんだよ。これがシリーズ2も作られるほど人気っていうのが、アメリカの民度。


サムライフ 公式サイト
★★2

未熟で、無計画で、よく迷い、よく惑う。それでも、めげずに前進する行動力が魅力なのだろう。
実際の人物がそうでなければ、学校をつくるなんてできはしない。
しかし映画からは、その肝心なところが伝わってこない。コイツならやってくれそうって期待を抱けない。
開校式のシーンの前後なんてツッコミどころが多くて、感動どころかイラついてしまった。


劇場版 MOZU 公式サイト
★★2

ようするに、はじめのTVシリーズでの味付けが濃すぎたのだ。だから、あんな展開にもっていくしか落ち着くとこがない。
せっかく近未来的な飛行アイテムが登場してきたのに、そのあと、なんら目新しいものがない。ただ、バーン、バーンって火薬でビックリさせるだけ。
いち警察官が、あそこまでやれる権限はないよね?
どいつもこいつも、どうやって、ナントカ共和国に行けて、帰って来れたの?
小娘二人の交換場面なんて、田舎のやくざ映画かよ。


チャーリー・モルデカイ 華麗なる名画の秘密 公式サイト
★★2

中学生くらいまでなら大いに笑って楽しいでしょう。
が、ジョニデが好きでもなければ、正直、退屈な映画。


ボクは坊さん。 公式サイト
★★2

はじめ、「坊さんあるある」映画か、ドタバタ喜劇かと思ったら違っていた。
仏教の言葉で語るのはいいのだけど、どうもよく伝わってこない。つまり、良いような言葉を使いながらも心に響かなかった。
正直、チビノリダーが寺の跡継ぎの役でなく、濱田岳がやったらよかったんじゃないかと思う。あたふたし、思い悩み、頑固なほどぶれない実行力を演じさせるなら適役だと思うが。
そもそも、愛媛で生まれ育ったチビノリダーと溝端が、方言を一つも喋んない時点でこの映画はダメ。


セッション 公式サイト
★★2

演奏の凄さ、鬼気迫る。
向上心、名誉欲、そこに見返してやろうとする反骨心がモチベーションを掻き立てる。
超一流になるのなら、それなりの試練を越えなければいけない。そのメッセージは、映画の中にあふれていた。
しかし。
そのために、あれほど追い込まれることが必要なのか?
恋人を悪しざまに捨てることが、将来のためなのか?
なにより、フレッチャーから感じるのは、教え子や「原石」に対する愛ではなく、踏みつけても這い上がってくる若造を快楽的に潰そうとしているとしか思えない。
潰したつもりが、また立ち上がってくるの見ながら嬉々としている。自分のキャリアを棒に振ってまで、そこに快感を感じているのは、精神が病んでいるとしか思えない。
僕には、不愉快という感情しか残らなかった。


おかあさんの木 公式サイト
★★2

ステレオタイプの反戦メッセージだけで、なにも心に残らない映画だった。
鈴木京香だけがやたら熱くて浮いている。ほかの出演者やエキストラの質が低すぎて、観てて冷めた。


6才のボクが、大人になるまで。 公式サイト
★☆1.5

6才から大学生になるまでの10数年、同じ役者たちで撮り続けた、・・・・ただそれだけの映画。
だいたい、あのラスト、話が尻切れだし、「大人」になってないし。


岸辺の旅 
公式サイト
★1

「岸辺」ってつまり彼岸と此岸(あの世とこの世)の境目なんでしょう?
死んだ夫がまだ未練の残る妻を連れて、自身の生前ゆかりのあった土地を案内し、そこの人々と会い、かつての夫の人となりを知る。
まあ、そのスジはわかるが、いたるところで設定に無理無茶が多くて、どっちつかず。セリフも陳腐。久々の途中退席です。


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