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楽天特典に備え、+F FS050Wを検証する

2024-02-18 12:02:28 | モバイル機器
現物支給に切り替え、と言うと聞こえが悪いですが少額の配当金なら無しにして一部の人が目の色変えそうな株主優待に切り替えた方が喜ばれるし宣伝にもなる、と言うことで突如発表された楽天の株主優待「一年間楽天モバイルを無料で使える」件を我が母から譲ってもらうべく交渉中。当初は「株保有数によって3か月~6か月でeSIMおよびデータ通信のみ、RakutenLinkも使えない」って話だったのですが、現在は「100株以上ならもれなく一年間で音声も可、SIMカードも選択可」とパワーアップしております。とはいえ、普通に契約するものとは若干差別化されておりまして、現状では「データは月間30GBまで」と言う制限が付いています。わたしの場合は、なんだかんだで最近はモバイル通信だけでも月間10GB程度、テストを含めるとさらに使うようになっちゃいましたが、それでも30GBならばまず超えることはない十分な容量です。音声通話可ということはMNPも可能なのかも知れませんが、一年間で自動解約という原則と、後でややこしくなる危険性を考えると今使っている電話番号でのMNPはしない方が無難でしょう。データ通信専用契約の代わりにしたいと考えています。

当初はeSIMのみ、という話ではあったものの使えるとなれば使いたい。ですが、残念ながらわたしの愛用のスマートフォンV30TはeSIMには非対応。これでは優待が来ても使えず、宇宙一セコい男に取られてしまいます。しかし、こんなこともあろうかと思って用意しておいたeSIM対応機は別にあります。それがモバイルルーター、富士ソフトの+F FS050Wです

 
実際にはもう少し前に買ったんですけどね。今までメインでつかっていたSCR01もいいモバイルルーターですが、やはり本来はau用、他のSIMだとバンドの関係でイマイチな部分はどうしてもあります。5G対応のモバイルルーターが少なかった時はSCR01が最適解だったんですが、FS050Wが出てしまうといてもたってもいられない・・・と買ってしまっていたんです。eSIM対応という面は全然気にしてなかったんですけどね。せっかくなので楽天モバイルが使える前にFS050Wの性能に関して一通りのレビューをしておきましょうか、今更ではありますが、ガチで使ってきましたから簡単なヤツとは一味違います。

FS050Wのここがいい
・各種MNO・MVNO対応
バンドの制限なんてケチなことはいいません。各キャリアの4Gバンド、1/3はもちろん18/19/28ab/41/42も使えますので困ることはほぼないでしょう。専用ソフトから利用するバンドを絞ることも簡単にできますので、計測場所にちゃんとバンドが来ているかとか、バンドごとの速度を計測するとかマニアックな調査をするにも便利です(そういうことやってる人みたことないですが)。またメジャーどころのAPNにはデフォルトで対応しているので、mineoくらいならMVNOでもSIMを差しただけで使えます。ミリ波は無理みたいですが一般的な5Gなら使えますので速度面でも有利です。

・nanoSIM・eSIM対応
モバイルルーターは旧型がそのまま販売されている例が多く、もはや使われなくなったmicroSIMカードの形状でないと使えないものがあります。スマホやタブレットのSIMカードを差し替えようとするとアダプタを使う必要があり、機器を痛める危険性がありましたが、FS050WはnanoSIMが使えますので簡単に差し替えることができます。またeSIMを登録することもできますので、SIMカードと切り替えて使う、デュアルSIMも可能です。

・バッテリーレスでの利用が可
モバイルバッテリーは場合によっては長時間使うことになるため、バッテリーが持たないことがあります。かと言って電源につなぎっぱなしで運用すると、バッテリーを痛めることで製品寿命が縮んだり膨張したりする心配があります。FS050Wはバッテリーを外した状態で外部電源のみで利用することができるため、そういった心配は無用です。条件さえ揃えばバッテリーを外した状態でノートPCとUSBテザリングも可能です。なんなら外へ持ち歩く場合も内蔵バッテリーを使わず外部の大容量モバイルバッテリーとつなげれば、かさばりますが、カタログ以上の長時間使用も可能です。

ここが残念
・SIMスロットの位置がよくないのでカードを抜く時怖い
SIMカードはスマホのようなトレイ式でなく、ゲームカードを差し込むようなバネ式の差し込み方式です。押せば入って固定され、もう一度押せばピコっと出てきます。便利ではあるのですが排出の際のバネはそれほど強くないため、半分くらいしか出てきません。しかし、SIMスロットの位置が端によっているので上下でも左右でもカードを指で挟んで取り出すのは不可。SIMカードを指で下に押し付けながらとりだすことになってしまいます。その際SIMカードの金属面をこすりつけることになり、SIMカードを破損しかねません。破損までしなくても傷つけることは大いにあり得ます。わたしはセロハンテープを貼り付けてそーっと取り出すようにしていますが、それでもトレイ方式と比べると若干不安です。

・放っておくとバッテリーの消費が早い
本機は起動に少々時間がかかります。そこを補うため、バッテリーをつけっぱなしだと電源を落としてもスタンバイ状態となり、再起動が早くなります。しかし、スタンバイであるために電力を消費するようで、久々に電源を入れるとバッテリーがほとんどなくなっていた、という経験をしました。これはちょっと不便。メーカーは「長期保存の時はバッテリーを外す」ことを推奨しているようなのでスタンバイを忘れてなるべくバッテリーは外すようにすれば欠点は補えます。

・価格が高め
性能を考えたら仕方ないですが、モバイルルーターの中ではトップクラスに高額です。もちろん法外・ぼったくりというレベルではありませんが、高く感じる人はいると思います。「モバイルルーターはタダ同然で手に入れて使い捨てするもの」と考えている人にはお勧めしません。

・たまに起動時にSIMをつかまない
何回かに一回しかないですが、起動時にアンテナが×になってSIMを見つけられないことがあります。見つけるまで再起動すればいいんですが、ちょっと心配になります。

・バッテリーレスUSBテザリング運用の条件が厳しい
ここからは実際に利用した検証に入ります。先に「条件さえそろえばバッテリーレスでのUSBテザリングが可能」と書きましたが、その条件が非常に厳しいのが本機です。そういう利用を想定していないから仕方ない話ですが、できないことはありません。わたしの利用しているノートPCはLenovoのThinkPad x13 Gen1(AMD)です。このPCの搭載しているUSBのうち、
1.USB3.1対応でPowered USBのコネクタにつける
2.特定のUSBケーブルを使う
ことでFS050Wをバッテリーレス・USB給電で起動させることが出来ました。Powered USBとはLenovoが言うにはPCの電源を落としても通電する外部スマホ充電のためにも使えるコネクタで、供給する電力が特別高いということはないようですが、今回の条件には合っていたようです。
この検証にあたって何本かUSBケーブルを買って試してみたのですが、TYPE-C to TYPE-Cでは本機のYUPE-CコネクタがPoweredUSBでないせいか全滅、TYPE-A to TYPE-Cのうち、以下のケーブルだけがモバイルルーターを起動させることが出来ました。

 Xiaomiのスマホに付属してくる急速充電器用のUSBケーブルで可能でしたので、別売りになっているこれでも出来るかと思って取り寄せてみたら可能でした。もっと短いのもありますのでそれでもいいかも知れません。
これ以外ではFS050Wは全く起動しませんでした。対応電力が強力ならイケるか? とUSB-PDでQC3.0最大60W対応を謳うUSB3.1ケーブルも試しましたが起動できません。このケーブルはもちろん他の適当なケーブルでもバッテリーレスで充電器に接続したり、ノートPCでもバッテリーを装着してつないだりした場合は問題なくFS050Wは起動したので、先のような充電用ケーブル以外だとノートPC側が起動に必要な電力まで出ないよう制限を掛けているのかも知れません。また、PoweredUSB以外のUSB3.1コネクタに起動可ケーブルをつないだ場合、FS050Wの起動は出来ますが、ネットにつながった途端ルーターの電源が落ちてしまいます。起動は出来ても安定した電力は通常のUSBコネクタでは出ないようです。
じゃぁ条件がそろえば完璧に動くのか?と言えばそうでもありません。FS050Wの動作モードを「据え置き」にして5GHzWiFiを出力し、その5GHzでつながった外部PCやスマホが大きな通信を始めるとやはり落ちてしまいます。ただ、「標準」にして5GHzを切り、2.4GHzだけにしてやると複数の外部機器で同時に大きなアクセスが行われても安定していました。今のところ「標準」で落ちたことはありませんので、外部機器をどうしても5GHzで接続したいというのでもなければ安定は可能、でいいと思います。
あくまでバッテリーレスUSBテザリングはロマン砲。同じLenovoのThinkPadでもUSB2.0しかない旧型では出来ませんでしたし、ほぼ同様の条件を満たしてもPC側が制限を掛けたりして絶対に動作しない機種もあるかと思います。なのでバッテリーレスUSBテザリングのためにFS050Wを購入するのはお勧めできません。本機にはバッテリー保護機能がありますので、ちゃんと有効になっていることを確認したうえでならバッテリーありUSBテザリングでも劣化をある程度抑えることができるため、他と比べれば長持ちしますし、バッテリーの交換もできますから通常利用ならそれで問題ありません。
ただ、おそらくノートPCからの給電のみで動き、かつ5G対応モバイルルーターとなると本機以外にその条件を満たすことが出来る機種は現状存在しません。ドングル型モバイルルーターだと5G対応機種は出てないみたい(欲しかった)し。すでにFS050Wを持っている方は、ダメでもともとくらいの気分で手持ちのUSBケーブルで挑戦していただきたいと思います。それはバッテリーなしという安心して長時間使える環境ながら速度も出るからです。

・WiFi5GHzの速度があまり速くない
バッテリーレステザリングに使ったUSBケーブルはUSB2.0までしか対応しておらず、転送速度が頭打ちになって十分な速度が出ないのではないか? 当初はそう思ってUSB3.0以上で使えるものがないかと奮闘したのですが出来るものは無く、それならば実際の速度はどんなものかと測ってみました。SIMはmineoのドコモSIM。これを23時からの深夜フリータイムで計測します。単位はMbpsでDOWN/UPの順、これは以下省略します。速度の測定はブレが大きいため、数回計測して一番速かったものを掲載しています。

  • バッテリーレスUSB標準             185.86/113.09
  • バッテリーレスUSB据え置き    182.54/124.48
  • バッテリーありUSB2.0標準      187.02/109.02
  • バッテリーありUSB2.0据え置き  181.75/115.91
  • バッテリーありUSB3.1標準         150.65/99.39
  • バッテリーありUSB3.1据え置き 141.54/110.64
  • バッテリーレスWiFi2.4GHz           66.20/92.93
  • バッテリーレスWiFi5GHz              72.61/89.43

USB2.0が足かせになるどころか若干USB3.1ケーブルよりも速くなってました。もちろんタイミングがたまたまそうだった、という可能性も否定できません。それでも少なくとも今のMVNOの速度くらいならUSB2.0が足かせになることはなさそうです。WiFiはやたら遅いですが、受信側PCの性能もありますし一概には言えません。あくまで現状はUSBの有線の方がWiFiより足かせになりにくくて有利だと言うだけの話でしょう。むしろ2.4GHzとの速度差が少ないことの方が気になります。ノートPCとは1m以内の距離しかなく、少なくともノートPC側のWiFi受信速度の限界値はもっと高いはずなので、2.4GHzが66Mbpsなら5GHzは100Mbpsくらい出てくれてもよさそうなものですが、瞬間ですらそこまで行きませんでした。これはFS050Wの5GHzの速度性能があまり高くない、と判断してもよさそうです。もっともモバイルルーターですから据え置きのWiFiルーターと比べて無線の速度が出なくても仕方ないとは思います。


FS050Wは個人で単体入手しやすいSIMフリーなモバイルルーターの中では現状一・二を争うくらい性能のいいモデルだと思います。短時間ならスマホのテザリングでもいいですけど、それなりに長時間つかうなら断然モバイルルーターの方が使いやすいです。強いて改善して欲しかった点をと言いますと
・SIM差し込みの位置が悪い。もうちょっとSIMを傷つけずに取り出しやすい場所に配置して欲しかった
USBテザリングの際にWiFiが切れたら良かった
・バッテリー装着したままの使用中でもUSB給電中ならバッテリー接続をカットできるモードがあればよかった
これくらいですね。SCR01は上の二つに関しては良好なのでこちらはこちらでpovo2.0をデータ通信用に使う際に併用して使っていこうと思います。

準備は万端、あとは楽天モバイルがどれくらい通信が使えるようになっているかが楽しみですね。最後の障害は骨肉の争いのみです。

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