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録画人間の末路 -

人は記録をしながらじゃないと生きていけない

オール怪物(パチモン)大進撃! 「モンスター・パニック 怪奇作戦」

2020-01-05 15:19:13 | 特撮・モンスター映画
もう少し早く届いていたら昨年のクリスマスに合わせて書く予定だったこのDVD、今回ようやく書くことができます! ってまぁ内容からして需要はないんでしょうが。その名は「モンスター・パニック 怪奇作戦」。ちなみに日本のテレビで放送されたときは「モンスター・パニック 怪奇大作戦」だったそうですが、以前DVD化されたときから"大"の字が外れました。理由はお察し。

ストーリーは、かのエド・ウッドの「プラン9・フロム・アウタースペース」のリメイク、というより叩き台にしたパクリものと言われています。製作は1970年ですから、当時の著作権に対する感覚はいい加減なものだったのでしょうね。なんでよりにもよって悪い意味でのエド・ウッドの最高傑作をパクったのかは謎ですが、アレよりはうまく作れるだろうという考えもあったのでしょう。

氷河期が近づくが人工太陽の開発が間に合いそうになく、滅亡の危機を迎えていたウモ星人はもっとも条件の良い惑星である地球を征服すべく、工作員206号と、協力者としてすでに死亡していた地球人の科学者二人を復活させ、その知識で作戦を実行。彼らは地球人が恐怖を感じた時に精神的に不安定になりやすいことに目を付け、潜在的にもっとも恐怖の対象となりまた戦力としてもアテになる地球の怪物たち、吸血鬼・狼男・人造人間・ミイラ・ゴーレムなどを復活させて大量生産することで地球の植民地化を狙うのであった・・・。元ネタが元だけに珍作扱いされていた本作ですが、なんか面白そうじゃないですか。発想としては「ゴジラ キングオブ モンスターズ」とか、もっと直接なものだと米国産テレビアニメ「ゴジラ・ザ・シリーズ」の一編「モンスター・バトル」を思わせる展開です。ゴーレムこそ登場しなかったものの、他の怪物は宇宙人らの墓荒らしなどの地道な努力の結果、次々とよみがえることになります。まぁ吸血鬼だけはたまたま寄った市場でやっていた見世物小屋の興行主が封印された骸骨を持っていた、というご都合主義の産物なんですけどね。ちなみにその骸骨の様といい、杭を抜いたらあっさりよみがえるところといい、ユニバーサル映画の「フランケンシュタインの館」を明らかに意識しています。しかもこの吸血鬼、催眠術を使うときには目にライトを当ててその周りだけを光らせる表現方法が「魔人ドラキュラ」のやり方そのものと、かなりこだわりを持って演出されています。ただし、衣装がタキシード+マントではなく、普通のビジネススーツだったりするのが抜けてますが。また、膝や肘の関節があまり動かず棒状で、目もほとんど閉じたまま(階段を下るときは薄目開けてますが)な人造人間は「フランケンシュタインと狼男」の人造人間を彷彿とさせ、本来ユニバーサルが肖像権を持っていて使えないはずのあのフランケンシュタインっぽいデザインまで採用しています。これに加えて狼男にミイラまで登場するのですから、見た目からして有名怪物総出動! なわけですが、吸血鬼はドラキュラでなくノスフェラトゥとなっています。これはまぁいいとして、人造人間を作った博士の名が"フランクスラン"(笑)。誰それ? な人でもちろん名前だけで登場しませんが、微妙に名前を変えることで万が一のための予防線を張っているのですね。
宇宙人が起こした殺人事件を追っていた刑事は見世物小屋から消えた吸血鬼の骸骨方面に捜査を絞り、やがて怪物の話にたどり着きます。同じくそれに興味を抱いてた博士(宇宙人)が潜んでいるにたどり着き、なぜか全部話してもらえる宇宙人の地球征服計画。次々と刑事に襲い掛かる怪物たち。しかし、その日は満月、変身した狼男が宇宙人に反旗を翻してさっそうと立ちはだかり、怪物たちと戦い始める・・・。あれ? "珍作"とかいう割にわたしの琴線に触れる展開で結構面白いぞ? セットの作りとか、ラストバトルでその基地を破壊しながらの戦いとか、昔の仮面ライダーを彷彿とさせる作りです。地球征服のためにやってきた宇宙人が一人しかいないというのも日本ではありふれた展開ですしね!! ちなみに主人公の味方になって変身ヒーロー然とした活躍を見せる狼男を演じるのは、やっぱりポール・ナッチー。以前わたしがやはり思っていたより面白かった、と評した「ワルプルギスの夜/ウルフVSヴァンパイア」でも狼男を演じて脚本を書いた人で、本作でも冒頭のクレジットに名前がないのですがやはりハシント・モリナ名義で脚本を書いているらしいです。自分で演じるつもりだから狼男がかっこいい役なんでしょうね。ちなみに役名も同じで、本作表記に沿えばワルデマー・デニンスキー。ポールが狼男をやるときは毎回同じ名前だそうです。死んでは新作のたびによみがえってきてるようですね。先ほどから書いている宇宙人の工作員を演じるのは、あの「地球の静止する日」でも宇宙人を演じたマイケル・レニー。残念ながら本作を最後の出演に亡くなってしまったようです。一点豪華主義のスターを出演させ、かつその作品が最後の出演作になってしまうところまで元ネタの「プラン9・フロム・アウタースペース」と同じになってしまっています。

画質は明らかにビデオからのダビング。それも冒頭数分には右下に「SC」のロゴが見えたり若干ゴーストっぽいノイズがみられるところから英語圏でテレビ放送した録画映像を使用したのでしょう。タイトルもなぜか「DRACURA VS FRANKENSTIN」に。ドラキュラもフランケンシュタインも出ないんですけどねぇ。おそらくはそれえらを使って継ぎはぎされたビデオソフトから製作されたと思われます。そのせいでオリジナルはスペイン製なのでおそらくスペイン語で撮影された映画でしょうが英語による吹替に差し替えられています。その代わりに日本語吹き替えも収録されています。わたしは声だけで声優の名前が出てくるほど詳しくないのですが、事件を追う刑事に青野武・狼男デニンスキーが玄田哲章の両氏の若いころと思われます。ちょっとしゃべりすぎで軽くなってしまった感はありますが、しょせんB級なのでちょうどいいのかも知れません。


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取り寄せたのはもう一本。こちらは閉店したレンタルビデオ店からの処分品を持っているので中身はわかっていた「ゴッド・フード」。前に絶賛した「巨大生物の島」の原題「フード オブ ザ ゴッド」のⅡを名乗っているものの、食べ物のせいで巨大化したネズミが暴れまわる、という点が共通点なだけでストーリーのつながりはなく、むしろ前作を引き立たせるように叩かれる映画となっています。
せっかくの巨大化生物ものなのに合成が少なく、頭部のみの実物大造形物やセットの中を走らせるネズミで演出するのが大半なので、「巨大生物の島」のような迫力は望めません。ただ、エキストラは多いので彼らによる迫力は結構出ており、ネズミの視点からの人間描写があったり階段状の座席から転がり落ちる演出もあったりでモンスター特撮映画としてならともかくパニック映画としてなら世間で言われるほど悪くありません。一番凝っているのは死体の造形や特殊メイク。DVDは「モンスター・パニック」と違ってちゃんと元映像からスキャンしたものらしく画質が良好なので、造形物のグロさが引き立ちます。本作が叩かれるのはなんだかんだで面白かった「巨大生物の島」の続編を名乗ってしまった点にあるかもしれません。
気になるのはクライマックス。巨大化したネズミの中には巨大化薬の開発者の博士のペットの白ネズミも交じっており(何もせずにウロウロするだけ)、博士はその白ネズミを助けてから他のネズミへの攻撃を提案しますが、逆に「ノー!」と叫ぶ声が合図になってしまって警官隊によるネズミたちへの一斉射撃で次々とネズミは撃ち殺され、白ネズミもその銃弾に巻き込まれます。左後ろ足がつぶれ、血を流しながら残った三本の足だけで這うネズミの姿が痛々しく、妙にリアルなのですが・・・やっぱり本物のネズミの足をつぶして撮影したんだろうなぁ。1988年作品なので、そろそろこの手の描写ははばかれる時代だと思うのですが、「巨大生物の島」の続編を名乗っているのだから仕方ないか。

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