録画人間の末路 -

人は記録をしながらじゃないと生きていけない

このブログは

このブログは、PCでテレビ番組を快適に録画し、自由な形で好きなように活用するための実験結果報告をメインとしたものです。ですが、その自由を奪い、不自由を売りつけて無制限の利権を得ようとするものたちが、現在のテレビ界では勢力争いをしています。そういう連中とは断固戦い続けます。それが、ここのテーマです。
2011年7月24日まで続けることを目標にしていましたが、2011年いっぱいまで延期いたします。 ・・・の、予定でしたが、衛星放送の行く末が気になりますので、それまでは続けます。ああ、意志薄弱。



特殊なコンテンツ
・SpursEngine H.264エンコーダ 実験プログラムサポート&他ソフト紹介ページ
Lalfさんが作られている、SpursEngineで使えるエンコードソフトのリンク先の紹介などをしています。CUI版とAviUtlのプラグインの二種類があります。 また、それ以外に同じくLalfさんの作られたCodecSys Personal向け参照AVI、ravi2や、BOさんの開発されたLinux用HD PVRコントロールソフトのリンクもおいています。

※10/07/01 se_h264enc_auo ver 0.09、se_mpeg2enc_auo ver 0.05、Seche Technical Preview2 リリース

・スカパー!e2 各チャンネル解像度・ビットレート一覧表
独自の調査による、スカパー!e2とBSデジタル放送の解像度とビットレートの一覧表です。多少の間違いはご了承ください。

・意外とある、デジタル放送録画可能キャプチャーボード・ユニット
外部入力を用いて、デジタル放送のチューナーやレコーダーから出力される番組を、自由に扱える形式で録画可能なPC用のキャプチャーボードおよび外部ユニットの情報を集めたものです。

ブルーレイディスクは(多分)主役になれないの巻 その1(DVDは失敗だった)

2005-08-28 01:04:49 | 次世代ビデオへの懸念
所謂次世代DVDと呼ばれている分野の分裂が決定的となった。
すなわち、東芝が押すHD-DVDと、松下・ソニーが押すブルーレイディスク
(以下、BD)の2つである。松下・ソニー側が何度も統一交渉をしたにも
かかわらず、東芝側がうけなかったためだ。
と、書くと、その原因は東芝側のかたくなな態度にありそうだが、東芝側が
受けないのも当然である。HD-DVDもBDもほぼ規格としては完成しつつ
あるため、単純に両者の長所と取り入れた統一規格にするということは、
半分一から新しい規格を作り直す、ということに等しい。つまり、
松下・ソニー側の統一交渉とは、事実上
「HD-DVDをあきらめてBDにしろ」
という説得ないし勧告しかありえないからである。東芝だって、ソフト・ハード
両メーカーにHD-DVDの規格普及に努めてきた実績がある。ここまで
来て、両者が歩み寄るならともかくHD-DVDを勧告にしたがいあきらめよう
ものなら、各社は二度と東芝を信用しなくなってしまう。そうなれば、
東芝はもう新規格の立ち上げから参加することなど出来なくなってしまうだろう。

さて、この分裂状態、うわさではすでに
「次世代DVDはBDで決まり。東芝ははずれを引いた。」
で固まっているようである。その理由としては
「AV2大メーカーである、松下とソニーが最初から参加している」
「次世代ゲームでも確実に主役となるプレイステーション3でBDが採用されてい
る」
「BDの方が容量が大きい」
「BDはすでにレコーダーが出荷されている」
「BDならMPEG2-TSがダイレクトで記録できるので画質が良い」
中には
「ソニーが好きだから」
なんてのもあるようだが。まあ、最後のは放っておくとして、確かに松下・ソニー
の技術力と販売力・そして信用は圧倒的なものがあるだろう。容量や性能で
BDが上回っているのも、また事実だと思う。
だが、それだけで決め付けてはいけないと思う。実際、ソフト提供側として
はBDとHD-DVDの参加企業の数・質はほとんど差が無い。これは、
必ずしもソフト提供側がBDが優れていると思っていないということである。
最終的に決めるのは我々ユーザーである。たとえソフトメーカーがどちらか
一方だけを指示したとしても、ユーザーがそっぽを向いて別の規格ばかり使え
ば、メーカーもそれに従わざるを得ないはずだ。どんな企業だろうと、お金に
ならない規格にいつまでも力を注ぎ込み続けることは出来ないからである。

と、いうわけで、あえてBDの欠点を穿り出し、裏を推測し、BDが全く売れ
ない可能性を探ってみようと思う。
ただ、断っておくが、ここで検証するのはあくまで「BDが失敗する」ことで
あり、「HD-DVDが主役になる」ことではない。なぜなら、我々には第3
の選択肢、つまり
「現行のDVDをそのまま使う」
が残されているからである。

そもそも規格が分裂しなかったことなど無い。ビデオのVHSとベータは言う
におよばず、あのレコードすら当初は円筒型と円盤型に別れ、後には円盤型も
2種類の方式が存在していたのだ。カセットテープだってオープンリールや
Lカセットがあった。
そして、ビデオディスクの分裂、つまり、統一規格であったVHDと、パイオ
ニアの単独規格であるLDである。だが、結果はLDの圧勝に終わった。
プレイヤーがCDとのコンパチにすることが可能だったなどの拡張性の問題
もあったが、保存性の良し悪しが勝負を決めたのだと個人的には思っている。
そして、DVD。これも当初は2種類の規格が候補に挙がっていた。最後には
東芝等が主張した方式にソニー等が主張した方式の一部を取り入れることに
よって、分裂すること無くDVD統一規格が誕生したのである。

よく、規格の分裂は「ユーザーの使い勝手を考えたら規格はひとつの方がいい。
分裂するのはユーザー無視のメーカーの都合」という評論を見る。だが、
わたしはこの論には真っ向から反論する。むしろ
「競争の無い統一規格こそメーカーの都合。競争があった方が、性能・価格が
練られ、むしろユーザーの利便性は向上する」
これがわたしの考えである。そのことは、DVDが見事に証明してくれた。
DVD、厳密にはDVDを管理するDVDフォーラムは、
「低性能・高価格・競争の無い安定した市場。管理された互換性。」
を目指したものに相違なかったからである。
その証拠がDVD-RAMだ。ご存知の通り、DVD-RAMはDVDフォーラムが採用しなけ
れば「DVD」の名がつくことのない、非互換メディア。しかも、当初の容量は
DVD-ROMより大きく劣る2.6GB。これのみが書き込み型DVDとして使われる予定
だったのだから、そもそも互換性のあるメディアを作る気など無かったのだ。

ただ、さすがに内部から不満の声もあったのか、方向性を変えて互換性の
あるDVD-R規格が作られた。だが、実はこのDVD-R、現在信じられている
「互換性の高い」メディアではなく、あくまで「互換性のある」メディアでしか
無い。実際、DVD-Rを読ませるにはある程度ドライブをハード的に
対応させる必要がある。DVD-R当初、DVD-Rが読めないドライブの方が普通
だったのだ。現在DVD-Rの互換性が高いと言われるのは、そう作っているか
らだ。やろうと思えば明日からでも全てのメーカーはDVD-Rの読めない
DVDドライブを作ることが出来る(ちなみに、DVD+Rは正式規格でないせいも
あって、互換性を高める仕掛けが満載のため、読めないドライブを作るこ
とは少々困難であるが、意図的に読ませないようにしたドライブは存在する)。

調整された互換性、強固なコピープロテクト、海外製ビデオが読めないリー
ジョン、そして、普及させる気が本当にあったのかどうかあやしいプレイヤー、
そしてレコードドライブの高価格。DVDは離陸に見事失敗した。
特にプレイヤーははじめのうち、販売台数のほとんどが、パイオニアの発売
したLDとのコンパチプレイヤーだといわれている。

「パソコンで読めるようになればブレイクする」
「いやいや、エヴァンゲリオンのBOXが出れば起爆剤になる」
「プレイステーション2での再生出来れば、一気に普及する」

いろいろささやかれていたが、どれも「物珍しさ」の域を出るものではなか
った。メーカーや業界は、特に3つめをDVD普及の理由にしたがっているが、
真に普及が始まったのは、DVD-Videoのプロテクトが破られてからである。
おかげで、ダビングが出来ないことで購入をためらっていたユーザーの間で
一気に普及した。そして、もはや映画業界は
「劇場公開はDVD販売のためのプロモーション」
とまで言われるほど、DVDは巨大な市場を作り出すことが出来た。
国内では、特にアニメ業界でDVDへの依存度が高い。そのため、大半の
番組が都市圏限定で、見られる人間をわざと少なくしているほどである。

だが、そもそもDVDのめざしたものは、ダビングできないプロテクトと
自己録自己再のための管理された互換性。それが生きている状態で
今以上の市場が作られている世界だった。だが、実際には表立っては
ともかく、裏では平然とダビングされ、互換性問題もDVD+RWという
競争相手が出来てしまったため、調整する暇などなくなってしまった。
かろうじて国内DVDレコーダーの世界ではDVD-VRという非互換フォーマット
を普及させ、互換性の管理を保っているが、DVD-R互換ドライブの普及
とパソコンでの編集機能が、それを事実上無効化している。

相変わらず、DVD業界は「違法コピーによる被害は○○億円」などの発表に
は熱心だが、その逆「コピーが可能になったことによって広がった市場規模」
に関しては意図的に無視している。
ようするに、DVDの普及は彼らの希望とはかけ離れたものになってしまった。
そういう意味ではDVDは失敗したフォーマットなのだ。HD-DVDないし
BDがDVDに変わる主役になるとして、それらが目指すのは、理想のDVD世界
である、管理された世界か。それとも、現実のDVD世界である、自由な世界か。

間違いなく、BD・HD-DVDとも目指すところは同じ。前者の業界にとって
理想的な、管理された状態でありながら、現実のDVD以上に売れる、いいとこ
取りの世界である。
DVDとDVD+が並存しているようにBDとHD-DVDが並存すると
考える人もいるだろうが、DVDはフォーマットという本質が同じであるにも
関わらず、目指したのは片や「管理重視」片や「互換重視」と、両者の思惑が微妙
に異なっているため、並存が可能だったのだ。
BDとHD-DVDはその逆で、本質が違うのに目指すものは全く同一となる。
したがって、両者の並存はありえない。必ずや、少なくとも片方は失敗する。

以下、そのうち書く。
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