前々から、何度も延期され続けてきた"スカパー!HD"の録画問題。もちろんS端子を通したSD録画なら可能だが、それじゃダメだろ、HDをHDのまま録画させろ、という真っ先に契約したユーザーの期待をことごとく裏切り、先延ばしにし続けてきたスカパー。その期限としてきた2009年6月が、現在。
そして、今日、ついに・・・
また延期のお知らせが(涙)
「スカパー!HD録画」対応ソフトウェアダウンロード延期のお知らせ
現在スカパー!HDを契約しているような人は、いわゆるアーリー・アダプター層、早期適応者。ようするに、不完全なのを承知の上で誰よりも早く導入して活用することに躊躇わない連中である。だから、「いくら延期してもいいさ、どうせまだ本格的な開始だ、とは言っていないわけだから、その10月に間に合えばいいのだし。それを承知で金を払っている連中だから、どうせ我慢してくれるだろ」とでも思っているのだろうが、いい加減なめるな! と言いたい。先延ばしを繰り返すから、なかなかチャンネルも増えないし、HD専門チャンネルの中身を充実しない。結局早期適応者に大迷惑をかけていることを、スカパーはぜんぜん自覚していない。
ならば、せめてPCを使ってHD解像度で録画しよう、という動きがわたしらの間であっても、これは仕方のないことだろう。PCで録画といっても、現在予定されているHD録画は送られてくるデジタルデータをそのまま保存するTS録画と比べれば、データが大きくなったり画質が多少劣化したりすることは避けられない。が、それでもS端子かコンポジット端子でしか録画できないレコーダー環境よりはるかにマシであると思う。このPCでのダビング法はTS録画ができるようになった後も、録画した番組をダビングするためにPCでのキャプチャー録画ができると便利である。今までこの情報は小出しにしてきてあまりキッチリした形にしてこなかったが、スカパーの対応の甘さにちょっと苛立ったので、まとめてみましょ。なお、筆者が使用しているチューナーがスカパーブランドのHUMAX製なため、ソニー製は考慮に入っていません。
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D録画の基本的な考え
基本的にチューナー側で番組ごとの録画予約を入れ、同じ時間の間、PCに搭載したキャプチャーボードも同時に録画するよう、二度予約を入れて録画するしか方法がないわけですが、それを行ってかつHDの解像度を維持するためには、チューナーのHDMI端子もしくはD端子からの出力をPCに取り込む必要があります。D端子の出力は、SD放送のものもD端子で録画したいのなら、解像度は自動に、そうでなくてSD番組はS端子で録画すれば十分なら、D3に固定しておくべきでしょう。なお、スカパーチューナーの予約は時間ピタリに始まり、余裕がないため、ひとつ前の番組から連続録画にしておいた方が録画の際にマージンが少しとれ、冒頭を削ったり信号の乱れを検出して録画に失敗したりする心配が少なくなります。
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D端子を使った録画
D端子によりD3出力を受け付けるキャプチャーボードを使う必要があります。
・MonsterX-i
比較的入手しやすく、値段も安いものにMonsterX-iがあります旧Monster-Xと基本的に同じもので、パッケージ化したものがX-iです。付属ソフトではHUMAXチューナーから出力される規制信号を感知して録画をとめる傾向があります。回避は可能ですが。使ったことはないので、これ以上書くことはできませんが、
こちらで紹介されているツールを使うのがよさそうです。
・PV3/PV4
D端子キャプチャーと言えば、コレ、という時代もあったほど一時代を築いたんがPV4です。PV3もほぼ同じですが、残念ながら
メーカーでは製造終了となっています。そのため、新品を入手するのはほぼ不可能でしょうが、それでも便利ですので、運良く入手できたら活用しましょう。基本的にはコレと
メーカーサイトから落とせるドライバとソフト、編集・エンコード用の
AviUtl、予約録画用としては本体付属のものより便利な
PLUMAGEがあれば十分です。
・解像度の対応が柔軟 ・ソフトエンコードの割りにCPUやHDDへの負担が少ない ・非可逆だが、軽くて再生にもエンコードにも向いた形式での圧縮方式 ・2系統の入力 ・S/PDIFでの音声入力 ・PCIバス用
・GV-D4VR
D端子で入力した映像を、ハードウェアエンコードでMPEG2に圧縮しながら保存できるボードです。そのままではチューナーの規制信号を感知し、epgという録画したPCで再生しかできない方式での録画になりますが、簡単な操作で回避できる状態にすることが可能です。
こちらを参照してください。現在販売中であり、多くのPCパーツ取扱店や大型量販店で売っています。通販での取り寄せでも容易ですので、お勧めです。
・CPU/HDDともに負担の少ないハードエンコード方式 ・対応ツールの充実しているMPEG2(TS)での録画 ・赤白ピンケーブルでの音声取り込み ・1系統の入力のみ ・入手が容易 ・解像度は固定
なお、スカパーチューナーはD端子を1系統しか持っていませんので、テレビへの出力を同時に行うにはD端子の分配器を別に購入する必要があります。
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HDMIを使った録画
D端子に比べてさらに解像感の高いHDMIから入力することも可能ですが、さまざまな理由があり、あまりお勧めできません。
理由その1.HUMAXのスカパーチューナーはHDMI出力の安定性が悪く、テレビならともかくPCのキャプチャーボードの場合、取り込みが全く安定せずに乱れてしまい、まともに録画することができません。GefenのEXT-HDMI-242のような、HDMIの分配器に搭載されたバッファを使い、それを通してからの取り込みならば、安定して録画を行うことはできますが、HDMIの分配器はD端子の分配器と比較して高価です。
理由その2.HUMAXチューナーはHDMIとD端子を同時に利用することができません。また、HDMIを利用した場合、SDのチャンネルであろうともS端子の出力が強制的に16:9になってしまいます。その際には左右に黒枠を追加されてしまい、横の解像度が低下したもおしかS端子で取り込めなくなってしまいます。
理由その3.HDMIで、規制信号を回避して直に取り込めるキャプチャーボードは存在せず、間にGameSwitch(以下GS)、あるいはJackAll(JA)というアダプタを経由させる必要があります。ですが、どちらも現在流通在庫が減っており、入手困難になりつつあります。幸いなのはだからといって値上がりなどしていない点ですが、必需品の入手が難しいものをあまりお勧めしたくはありません。また、二種類のアダプタのうちGSは音声にも含まれた規制信号を回避することができません。そのため、HDMIキャプチャーのうち、HDRECSは音声の規制信号に対応するため、録音することができなくなっています。JAなら音声の信号も回避できますが、JAの特性上色味が変わることがあり、特にアニメの録画を前提としている人にはお勧めできないものになっています。HDMIをIntensityで取り込めば問題ありませんが、完全なソフトエンコード方式のため、CPUやHDDに対する負担が大きなものになっています。
HDMIキャプチャーボード
・Intensity/IntensityPro
・ソフトエンコード方式のため、可逆圧縮での取り込みが可能 ・色味などの補正を行わない ・CPU/HDDへの負担が大きい。特にHDDはRAID0の導入を検討する必要あり ・解像度は固定 ・最近価格改定が行われ、安価になった ・PCI-Expressx1
キャプチャーソフトとしては、
くすのきTVHDが定番です
・HDRECS
・CanopusHQという独自の方式だがハードエンコードのため、CPU/HDDへの負担が少ない ・非可逆だが、再生/エンコードに向いた圧縮方式 ・解像度を柔軟に選択可能 ・非常に高額 ・Intel製CPU+チップセット以外では避けたほうがいいかも ・若干色を補正する傾向あり ・PCI-Expressx1
メーカー製のソフトしか基本的に使えませんが、予約録画をはじめ、まずまず優秀なソフトが使えますので、問題はありません。
信号回避アダプタ
・GS
・複数の型番で販売されている ・一部のロットでは、ケーブルを「PC」側にセットすると、規制を回避できない ・色を補正しない ・音声の規制信号を回避できない
・JA
・リモコン付 ・入力の切り替えができる ・音声の入力に、S/PDIFを選択することも可能 ・一部ロットでは要改造、もしくは特殊な操作が必要 ・音声の規制信号も回避できる ・レコーダーやチューナーとの相性で色味が変わる傾向あり
お勧めは、入手が容易で、PS3などで再生できる形式で録画でき、PCIのために多くのデスクトップPCで利用できるGV-D4VRです。チューナーとPCの二重録画予約が必要など、e2と比べて使い勝手が劣る面は多いのですが、まともな録画に対応するその日まで、また対応した後もダビング用に、これらの機器を活用しようじゃありませんか。