まったく風を感じない。熱を帯びた空気が体を包み込み、とりついたように離れない。次第に体の中からも熱を発するようになり、このまま茹で上がってしまうような気になる。と思うと、乗り換えの電車がホームに滑り込み、冷房の効いた車内で正気を取り戻す。
沸騰した鍋の中でもがくたまごが、その瞬間に苦しみを感じるとしたら、多分それはさっきまでの蒸し暑さの延長にあるのではないだろうか。まあ、彼らの声が聞こえないから、ゆでたまごを味わうことができるのだが…
もうすぐ次の乗換駅だが、彼らのことをほんの少し思いつつ、しばし辛抱しよう。
沸騰した鍋の中でもがくたまごが、その瞬間に苦しみを感じるとしたら、多分それはさっきまでの蒸し暑さの延長にあるのではないだろうか。まあ、彼らの声が聞こえないから、ゆでたまごを味わうことができるのだが…
もうすぐ次の乗換駅だが、彼らのことをほんの少し思いつつ、しばし辛抱しよう。