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手話通訳者のブログ

田舎の登録手話通訳者のブログです。

手話通訳者のブログ/報告とお礼

2015-03-01 05:31:18 | 日記
手話・点字カテゴリで4位にランクインしました。
いつも読んでくださっているみなさんのおかげです。
ありがとうございます。

手話通訳者派遣制度を利用しないろう者たち

2015-02-28 06:41:54 | 日記
Iさんは、長年、手話通訳者派遣申込をしなかった。
嫌な経験があり、手話通訳者派遣制度を利用することをやめてしまったのである。

経験1
昔、手話通訳者派遣申込をして、当日、手話通訳者Aが派遣されてきた。
しかし、全然、話が通じない。
明らかに、Aの力量不足である。

経験2
上記の数日後、派遣者に苦情を言い、
「今回はベテラン通訳者を派遣してください」
と頼んで派遣申込をした。
当日、ベテランの手話通訳者Bが派遣されてきた。
内容は、役場での相談事だった。
しかし・・・
役場の担当者との話し合い中に、Bが口出しをしてきた。
「ちょっとIさん、それは、あなたの考え方がおかしい」
通訳に来てもらったはずなのに、いつの間にか、2対1(役場担当者とB vs Iさん)の話し合いのようになってしまった。
Iさん、とうとう怒った。

私は通訳を頼んだのです。あなた(通訳者B)の意見なんて聞いていません!



Iさんだけではない。
似たような経験があり、
「もう手話通訳者派遣なんて、頼むのはやめた」
というろう者、結構いるのだ。




手話世界は、ものすごく狭い

2015-02-27 06:47:26 | 日記
俺を指名してくれる申請者さんたちの中には、
「私がたいしさんを指名していること、絶対に内緒にしてください」
とおっしゃる方がおられる。
当然ながら、手話通訳者には守秘義務があり、
「○○さんが俺を指名してくれた」
なんてことは、絶対に言わない。

なぜ、内密にしたいのか。

Rさんは女性。
手話世界は狭い。
「Rさんはいつも男の手話通訳者を指名している」
なんて、くだらない噂をおもしろおかしく喋る連中がいるのだ。

Rさんも俺も、通訳当日のことはもちろん、申請者と手話通訳者として会った事実さえ、一切、秘密にしている。
しかし、通訳現場に地元のろう者がいたり、他の手話通訳者がいることもある。
完全に秘密にすることは不可能である。
難しいものだ。




統一試験と手話通訳士試験の違い

2015-02-26 07:14:58 | 日記
手話通訳士の学科試験は下記の4科目である。
1、 身体障害者関連知識
2、 聴覚障害者関連知識
3、 手話通訳関連知識
4、 国語

統一試験の学科は、上記の2・3を一緒にした手話通訳関連知識と、4の国語である。
だから、手話通訳士試験の方が学科試験の範囲は広いと言えるだろう。


次に、実技試験。
手話通訳士は「読み取り」と「聞き取り」。
読み取りは、個室またはパーテーションで仕切られた一角に入って、PC画面に映し出されるろう者の手話を読み取る。
聞き取りは、パーテーションで仕切られた一角に入って、流れてくる日本後を手話で表現する。

統一試験は、「聞き取り」はなし。
読み取りは、ビデオ画像にろう者が映し出される。そして、このろう者が手話で話をする。
それを、原稿用紙に書く。
250字だったかな?
字数は忘れた。
実は、統一試験を何回も受験している人は、これが苦手なのだ。
ちゃんと読み取れていても、数分で、限られた字数にする能力が必要。
正確に読み取りができていて、読み取ったことをすべて文字にしようとすると、指定字数でおさまらない。
別の言い方をすれば、こういう「要約」が苦手な人は、手話通訳士試験に合格できても、統一試験にはなかなか合格できない。
統一試験の場合、要約筆記の経験がある人は有利。要約する能力が身についているから。

統一試験において、手話通訳士試験での「聞き取り」に該当するのが、「場面通訳」と呼ばれるものである。
ビデオ画面にろう者と聴者が登場する。
ここで、受験者は擬似的に手話通訳を行うのだ。
例えば、小学校の個人懇談という場面通訳の場合。
先生とろう者のお母さんが登場する。

先生が日本語で話す。
「こんにちは。本日はお忙しいところお越しいただきまして、ありがとうございます」
→これを手話で表す。つまり、聞き取りやね。
ろう者のお母さんが手話で答える。
「こんにちは。息子、注意、無視、いつも、迷惑かける、すみません。学校、様子、どう?」
→この手話を日本語に変える。つまり、読み取りやね。
現実の通訳の場合、相手の表情の変化を見ながら行う。
しかし、試験の場合、上記の先生もろうのお母さんも画面の中にいて、表情は変わらない。
だから、俺みたいに、さんざん現場での通訳をやってきた人間が統一試験を受けると、正直なところ、戸惑いがある。


ま、こんな感じです。



戻ってきた卒業生

2015-02-25 06:49:52 | 日記
久しぶりに、Rさんから手話通訳依頼が来た。

Rさんは数年前、
「手話通訳者、誰が来ても困らないように、多くの手話通訳者に会って、私自身、通訳者の手話を読み取る力をつけていく必要があるんじゃないか、と思うんです。だから、たいしさんを指名するのはやめようと思います」
と言って、「たいし」を卒業した。

「お久しぶりです」
お久しぶり。元気そうやね。
「はい」
Rさんに聞きたいことがあるんや。
「何ですか」
一番うまい、と思う手話通訳者は、誰?
「特にいません」
え・・・
「だから、また、たいしさんを指名しました」
まあ、久しぶりに会えて嬉しいけど・・・じゃ、印象に残っている通訳者は?
「いません」
え・・・
「毎回、別の人が派遣されてくるので、名前もすぐに忘れてしまいます」
うーむ・・・


残念なことだが、これは明らかに、コーディネーターの力量不足である。
手話は「慣れ」という要素が重要。
様々なタイプのろう者がいる。例えば、ろう協の役員をやっているような人なら、「毎回別の通訳者」でも構わないと思う。初対面の通訳者との会話に慣れているから。
しかし、Rさんのように、他人との交流が少ないタイプの人の場合、手話通訳者は数人に限定するのが望ましい。


まあ、Rさんが俺を指名してくれるのは嬉しいけどね。