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統一試験と手話通訳士試験の違い

2015-02-26 07:14:58 | 日記
手話通訳士の学科試験は下記の4科目である。
1、 身体障害者関連知識
2、 聴覚障害者関連知識
3、 手話通訳関連知識
4、 国語

統一試験の学科は、上記の2・3を一緒にした手話通訳関連知識と、4の国語である。
だから、手話通訳士試験の方が学科試験の範囲は広いと言えるだろう。


次に、実技試験。
手話通訳士は「読み取り」と「聞き取り」。
読み取りは、個室またはパーテーションで仕切られた一角に入って、PC画面に映し出されるろう者の手話を読み取る。
聞き取りは、パーテーションで仕切られた一角に入って、流れてくる日本後を手話で表現する。

統一試験は、「聞き取り」はなし。
読み取りは、ビデオ画像にろう者が映し出される。そして、このろう者が手話で話をする。
それを、原稿用紙に書く。
250字だったかな?
字数は忘れた。
実は、統一試験を何回も受験している人は、これが苦手なのだ。
ちゃんと読み取れていても、数分で、限られた字数にする能力が必要。
正確に読み取りができていて、読み取ったことをすべて文字にしようとすると、指定字数でおさまらない。
別の言い方をすれば、こういう「要約」が苦手な人は、手話通訳士試験に合格できても、統一試験にはなかなか合格できない。
統一試験の場合、要約筆記の経験がある人は有利。要約する能力が身についているから。

統一試験において、手話通訳士試験での「聞き取り」に該当するのが、「場面通訳」と呼ばれるものである。
ビデオ画面にろう者と聴者が登場する。
ここで、受験者は擬似的に手話通訳を行うのだ。
例えば、小学校の個人懇談という場面通訳の場合。
先生とろう者のお母さんが登場する。

先生が日本語で話す。
「こんにちは。本日はお忙しいところお越しいただきまして、ありがとうございます」
→これを手話で表す。つまり、聞き取りやね。
ろう者のお母さんが手話で答える。
「こんにちは。息子、注意、無視、いつも、迷惑かける、すみません。学校、様子、どう?」
→この手話を日本語に変える。つまり、読み取りやね。
現実の通訳の場合、相手の表情の変化を見ながら行う。
しかし、試験の場合、上記の先生もろうのお母さんも画面の中にいて、表情は変わらない。
だから、俺みたいに、さんざん現場での通訳をやってきた人間が統一試験を受けると、正直なところ、戸惑いがある。


ま、こんな感じです。



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