爺さんが伝えたいこと

寡黙に生きて来た爺さんが、一つの言葉ででも若い人達の役に立つならば、幸いです。

国道沿いに入れない森

2021-08-24 16:45:23 | 日記
千葉県市川市の本八幡駅から歩いて数分の場所には、足を踏み入れれば二度と出てこられないと古くから畏れられている場所があるそれが「八幡不知森(やわたしらずもり)」だ。

東京都中央区と千葉市を結ぶ幹線道路である国道14号線沿いに位置し、しかも絶えず人が出入りする市役所の向かいに有りながら不気味に佇む森は、わずか20平方mほどの大きさしかない。

入り口には「不知森(しらずもり)神社」と書かれた鳥居がひっそりと建ち、背後を竹藪(たけやぶ)が覆っている。

江戸時代の古書にはすでに、誰も立ち入る事が出来ない「八幡の藪知らず」として全国的に知られているとの記述がある。

だが、なぜここが立ち入り禁止になったのか、その理由についてはどうもはっきりしない。

有名なのは、平将門にまつわる奇妙な言い伝えだ。

平将門と言えば、平安時代にみずから「新皇」を名乗り、関東地方をはじめとする東国を支配しようと乱を起こした人物である。

この森には、その平将門と対峙していた平定盛が死門(あの世への入り口)を敷いていたと言われているのだ。

さらに、それに関連してか、平将門の家臣6人が平将門の首を守り続け、いつしか泥人形になったという、おぞましい話もある。

森にまつわるエピソードは他にもいくつかあり、本当の所は誰にも判らないが、地元の人たちは今も伸びた竹の枝ですら、むやみに切る事はないという。

住宅地の中に異空間の如く存在する森は、地域住民にとって決して侵してはならない聖域なのである。



聖なる島の女性は巫女に

2021-08-24 02:06:04 | 日記
沖縄本島の南東部にある斎場御嶽(せーふぁうたき)は、琉球王国時代に最高の聖地とされていた場所だ。

そんな斎場御嶽から海を眺めると、一つの島が見える。

周囲がわずか8kmしかない久高(くだか)島だ。

しかし、小さいからと言って侮ってはいけない。

昔から「神の島」と呼ばれるほど、特別な扱いを受けてきた場所なのである。

琉球の神話によれば、アマミキヨという神が最初に降り立ったのがこの島で、ここから大地や人々を創ったのだという。

その為、神々の世界に最も近い島として大切にされてきた。

今も沢山の聖域があり、男性の立ち入りが禁じられている場所も少なくない。

神の島というだけあって、久高島には他では見られない独特の神事も伝わっている。

それがイザイホーである。

これは12年に一度、午(うま)年に行われる祭りで、久高島生まれの30~41歳までの女性がノロになる儀式だ。

ノロとは神事を行う巫女の様な存在である。

祭りは4日間に渡って行われるが、事前の準備を含めれば、ひと月にも及ぶ大イベントだ。

新人のノロは七ヶ所の御嶽を回って霊力を授けて貰ったり、踊りや綱引きをしたりと、様々な儀式をを行う。

島の女性は全てノロになる事が宿命付けられているとは言え、こうした儀式を終えなければノロとしては認めてもらえないのだ。

イザイホーは600年以上も受け継がれてきたというが、近年では過疎化が進み、新しくノロになる女性がいなくなってしまった。

その為に、残念ながら1978(昭和53)年を最後に行われていない。