爺さんが伝えたいこと

寡黙に生きて来た爺さんが、一つの言葉ででも若い人達の役に立つならば、幸いです。

聖地の見学にお金が

2021-08-19 11:21:33 | 日記
いわゆる観光名所でもない限り、普通は「聖地」と呼ばれる場所を見学するのにお金が掛かるイメージはないだろう。

ところが、まれに例外もある。

それが箱根町にある九頭龍神社だ。

箱根の九頭龍神社といえば、縁結びのパワースポットとして近年特に有名である。

神宮は箱根神社の境内に位置しており、誰でも気軽に参拝する事が出来るが、本宮はというと少々特殊な立地条件にある。

箱根神社から直線距離で3kmほどのところ、つまり芦ノ湖畔にあるのだ。

参拝手段は徒歩と船、あるいはバスやタクシーなどがあるが、多くの人は徒歩か船を選ぶ事になるだろう。

まず船は、月に一度月次祭(つきなみさい)の時にしか運航しない。

もちろん乗船は有料である。

一方、徒歩であればいつでも行けるが、本宮が置かれている場所は箱根プリンスホテルの敷地の奥で、参拝するには「九頭龍の森」という有料施設への入園が不可欠だ。

つまりどちらもでも、お金を払わずして参拝するのは不可能という事なのである。

聖地であるはずの神社に、なぜこの様な商業主義的な仕組みがつきまとうのか。

じつは、箱根では20世紀半ば、プリンスホテルを擁す西武グループと、小田急グループによる企業紛争があった。

おおまかに言えば、バス、鉄道、観光船といった、箱根に於ける輸送分野のシェア争いである。

一説には、九頭龍神社はこの交通開発戦争に巻き込まれたまま、現在に至ったと言われている。

やはり聖地と言えど、娑婆(しゃば)の世情と無縁ではいられないという事なのかも知れない。