窓辺の小太郎

野付半島の渡り鳥や動植物の生き生きした「瞬間の美」を目指します。

オジロジカになるエゾジカ

2020-01-25 18:04:04 | エゾジカの四季

数年前までは走古丹の草地には1000頭以上のエゾジカが集まり、草を食べ

ていました。風蓮湖の形成する砂嘴の片方の走古丹。狩猟期になる10月頃から

周辺の牧草地や原野で過ごしていたエゾジカが退避してきていました。

おばんです。小太郎でごじゃります。

         ★  オジロジカになるエゾジカ  ★

多い時はシカものんびりとしていて、人を見ても逃げることはありませんでした。

そのせいで草地の植物がたくさん食べられてしまいました。

高山植物のコケモモが一面に生え、高山性の貴重な植物もたくさんありました。

爆弾低気圧が頻繁にやってきて積雪が異常に多い年、食べ物を求め、エゾジカ

たちが普段食べない植物を掘り出し、灌木の皮を剥ぎ、植物相に多大な影響を

与えだしました。

結果、エゾジカの個体数管理が始まり、多くのエゾジカが捕獲されていきました。

次第にエゾジカたちは警戒心を強め、最近は人や車を見ると立ち止まり、すぐに

逃げ始めます。

彼らは緊張すると、尾を立ち上げ、お尻の周りの毛を逆立てます。それまで褐色

だったお尻周りがぱっと花が開いたように真っ白になります。目立ちます。

北アメリカにオジロジカと名付けられたシカがいますが、エゾジカもとてもよく

似ています。仲間に緊張と警戒感を素早く知らせる合図です。

これが群れで生活し、身を守ってきた遺伝子に組み込まれた行動です。

走り出すとさらに白さが目立ちます。

 

 


コクガンの波抜け

2020-01-24 19:58:58 | コクガン・ヒシクイ・ガン類

日本にやってくるガンの仲間で海上で生活するのはコクガンだけです。流れて

くる海草を拾って食べ、生活しています。1万羽ほど渡ってくるほとんどの個体

は本州の方へ渡って行きます。

おばんです。小太郎でごじゃります。

        ★  コクガンの波抜け  ★

しかし、居残り棲息するコクガンが毎年300羽ほどいます。彼らは波の穏やか

野付半島から根室半島の根室湾で生活しています。

野付半島から流れ出していく流氷が波を押さえ、野付湾からアマモを運んでくる

ため、居残っているのではないかと思っています。

日により風向きが違うために、太平洋側の浜中湾や琵琶瀬湾、厚岸湾に飛んで

いくこともあるようです。

でも主・生息地は根室湾のようです。強風が吹き荒れた翌日、波が凪いでくると

海岸にコクガンがやってきます。場所は野付湾ではないときもあります。

根室海峡側の海岸に昆布やアオサ、アオノリ、アマモが打ち上げられ、波に

浮遊しています。それを見定めやってきます。

余波でまだ高い波が打ち寄せる海岸。海岸に平行に泳ぎ回り、波打ち際を浮遊

するアマモやアオノリを拾い上げ、食べています。

沈みかけた海草が波のおかげで浮いてきて、コクガンが採取しやすくなるなって

います。コクガンはそんな状況を読み、上空を飛び、風を読み、地形を読み、

干満を読み、検討してやってくるのでしょう。

海岸に居座り、観察していると警戒しながら波ぎわにやってきます。時々、大き

な波がやって来ると、岸の方から波に向かい泳ぎます。せり上がってくると波に

直角に向い乗り越えようとします。

高くなった波が覆いかぶさってくると、頭を波に突っ込み潜って行きます。見事

な波抜けを見せてくれます。この技を身に付けたからこそ、海での生活ができる

のです。

繰り返し見せてくれるので、いなくなるまで離れることができません。


飛ぶときカモメたちは脚をどうしてる

2020-01-22 16:21:23 | カモメ類

海が荒れると沖合で生息していたオオセグロカモメやシロカモメ、ワシカモメ、

セグロカモメなどの大型カモメが退避して野付半島の海岸に来ます。

おばんです。小太郎でごじゃります。

      ★  飛ぶときカモメたちは脚をどうしている  ★

何気なくカモメが飛んでいるのを見て、さて脚はどうしてるかな、と思うこ

とはほとんど無関心。

いつも見ている岸辺で飛ぶカモメたちは脚を出しています。と思っていました。

1枚の写真を見るまでは。だらりと脚を出して飛んでいたカモメが写ってい

ます。

連写していた写真だったので、次々1枚1枚を見てみました。するとすぐに

脚をお腹の羽の中にしまい込み、全く見えなくなっています。てっきり脚を

後ろに伸ばし、ぴたりと尾羽の下に密着させ飛んでいるもんだと考えていま

した。

シギやツル、サギ、ワシ・タカ類もみな脚を後方に伸ばし、飛んでいます。

そのメージが固定概念として定着してしまっていたんです。

カモメは、と気にしてみると見事にお腹の羽の中に仕舞いこんでします。

ジェット機が離陸した後に車輪を機体に収納してしまい、音速以上のスピ

ードの効率を上げるように設計されているのと同じです。

飛行機の設計にカモメの体形がきっと参考にされていると示唆されます。

特にシロカモメやワシカモメなど北極海の強風の中で生息しているカモメの

フォルムはとても参考にされているはずです。実際、冬季に飛ぶシロカモメ

の無駄のない流線型のボディーラインはほれぼれとするものです。

脚を仕舞うことで空気の流れに抵抗が無くなり、強風に立ち向かいながら

力強く飛んでいる姿は、これぞ理想的な体形だと断言できます。

大きな足が素早く仕舞われる姿を見ながら、愉しんでます。

 


氷の世界で越冬するハマシギ

2020-01-20 18:52:05 | シギ・チドリ

シギは南の暖かい地方に渡り、越冬するものだと思っていました。私の常識

は机上のものでした。野付半島では毎年、20羽前後のハマシギが厳寒の気候

の中ですごし、棲息しています。

おばんです。小太郎でごじゃります。

        ★  氷の世界で越冬するハマシギ  ★

食べ物が捕れなければ生活できないので、湾内が氷で覆われても確保できる

んです。

ハマシギが主に食べているのはゴカイです。大きなゴカイではありませんが、

砂地の中に生息するミミズほどの小さなものです。

海水が気温に比べ高いので、水辺は凍りません。ゴカイたちも凍ることなく

生きています。野付湾の水辺にはたくさんのゴカイが生息し、冬季でも利用

できることを覚えたハマシギたちが残っているのです。

割れた氷の間に来て、浅い水の中からゴカイをつまみ、引っ張り出し、食べ

ています。

また、水辺に打ち上げられるアマモのところに来てよく採餌をしています。

見ていると小さな種を拾い食べています。

ユキホオジロもよく食べるので、アマモの種は栄養価が高いのではと思います。

風が強いと、打ち上げられたアマモの山の陰に寄り添い、暖を取るように

くつろいでいます。乾燥したアマモは暖かく、くつろぐにはいい場所です。

ハマシギの行動圏は対岸の春別川の河口域と半島の先の干潟や砂浜です。

氷が多くなると春別川周辺ですごし、少なくなると半島へ飛んできます。

どちらも汽水域の生物が豊富なところです。


厳寒のコクガン

2020-01-17 15:38:14 | コクガン・ヒシクイ・ガン類

1月に入り野付湾内は90%以上が凍結しました。氷の厚さも寒気がオホーツク海

から張り出してくるたびに増えてきています。

おばんです。小太郎でごじゃります。

         ★  厳寒のコクガン  ★

氷が張ると根室海峡の根室湾近辺を棲息の場所とするコクガンたちは餌場に

なる野付湾から追い出される状態になります。

寒さが厳しく湾内の氷が流氷化して根室半島方面に流れていくと野付半島か

らは遠くて見ずらくなります。それでも彼らは体が大きく、シルエットに

特徴があるので確認はできます。

気温が少しゆるんだりすると湾の入り口のあたりの氷が流れだし、水面が現

れます。引き潮の時の流れは早く、湾内かから引きちぎれたアマモが氷の下

を通り流れ出してきます。

そんなとき、沖合からコクガンたちがアマモを食べにやってきます。11月、

12月のときは日の出前にやってきていたのに、氷が張ると日が登って明る

くなってからやってくるようになります。

最近は8時から9時の時間帯が多くなりました。流れが早い浅瀬を選び、

集まっています。しかも氷の縁に集まり、浮いて上がってくるアマモを狙い

食べています。潮が止まるとお腹が膨れるのか、流れなくなった氷の上に

上がってきて休みます。

そして、上げ潮になり外に出ていた氷が湾内に押し戻されてくると根室海峡に

飛んでいきます。