海軍大将コルシンカの航海日誌

ロシアの作曲家リムスキー=コルサコフについてあれこれ

《ミーシャの主題による変奏曲》とタチアナさん

2020年04月12日 | ピアノ曲
リムスキー=コルサコフのあまり知られていないピアノ曲をご紹介します。



《ミーシャの主題による変奏曲》は3手の作品で、愛らしい主旋律に手の込んだ伴奏がつくといった構成で、演奏時間は1分ほどです。

「ミーシャ」というのは、リムスキー=コルサコフの長男のミハイルの愛称です。
そのミハイル本人の回想によれば、5歳か6歳のころ(1878年か1879年)に、自分の考えたメロディーを歌っていたところ、それを父が書き留めて伴奏を付け、1ページの小品に仕立てたとのこと。
リムスキー=コルサコフ家の様子が目に浮かぶような、ほほえましく感じられる作品です。

現在、楽譜が数種類出版されていますが、録音したものは出回っていないようですので、以前DTMで作成したものを貼り付けておきます。

  Nikolai Rimsky-Korsakov : Variations on a Theme by Mischa, for piano three hands
  ♪リムスキー=コルサコフ《ミーシャの主題による変奏曲》 MP3ファイル


第1奏者のパートを子供、第2奏者を大人が弾けば、子供でも連弾を楽しめるかもしれませんね。

***

この作品には一つ思い出があります。

リムスキー=コルサコフのお孫さんにあたるタチアナさん(Tatiana Vladimirovna Rimskaya-Korsakova, 1915-2006)がまだご存命だったころの話です。
私は新婚旅行でリュベンスク(リムスキー=コルサコフの避暑地だった田舎の村の名前)にいた彼女を訪ねて行った折に、日本からのお土産として、オルゴールの小箱を持って行ったのです。
そのオルゴール、注文により好きな音楽にしてもらうことができたのですね。

私がそのオルゴールの曲として選んだのが、この《ミーシャの主題による変奏曲》。
短くて愛らしく、何よりリムスキー=コルサコフ自身の作曲で家族への想いが伝わってくる、これ以外にはない!と、当時私は考えたのですね。


(写真は自分用に一緒に作ってもらったもの。タチアナさんにお渡ししたものは箱の手前に小さな時計が付くタイプでした。オルゴールの動画はこちら

さすがにタチアナさんもこのマイナーな曲が祖父の作品とは知らなかったようでしたが、喜んでいただけたのではないかと思っています。
その場に居合わせた、プスコフからいらっしゃったというチェリストは「チャイコフスキーか?」なんて訊いていましたから、ロシア本国でもあまり知られていないようでしたね。

タチアナさんは祖父の避暑地だったリュベンスクに自分もダーチャ(夏季の別荘)を建てていたのですが、2階の寝室でこのオルゴールの小箱を使っていると後でメールをいただきました。
彼女は2006年にご逝去されましたが、私はこの曲を聴くたびに、祖父の偉業を後世に伝えるためにご尽力されたタチアナさんのことが偲ばれるのです。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿