画寫庵Progressive

松平惟光の写真日言己巾占。

実相寺昭雄監督死去

2006年11月30日 | 西洋鏡・紙魚手帖

テレビの「ウルトラマン」シリーズの演出や映画「帝都物語」などで知られた映画監督の実相寺昭雄(じっそうじ・あきお)さんが29日深夜、死去した。69歳だった。通夜・葬儀の日取りは未定。

 東京生まれ。59年、ラジオ東京(現TBS)に入社し、66年の「ウルトラマン」をはじめ、「ウルトラセブン」「怪奇大作戦」など特撮番組に数多く参加。奇抜な構図や照明を駆使する独自のスタイルで、不可解で不条理なムードあふれる映像を作り上げた。

 69年に映画に進出。エロチシズムを大胆な手法で表現した「無常」「曼陀羅(まんだら)」、人気小説を原作とした「帝都物語」「姑獲鳥(うぶめ)の夏」などを監督。「魔笛」などオペラの演出も手がけた。

 昨年は「ウルトラマンマックス」の演出に参加。半年ほど前、手術を受けたが、かつて手がけた特撮番組を自らリメークした映画「シルバー假面(かめん)」を完成させ、11月の試写会に姿を見せた。12月23日の公開を待つばかりだった


パチンコのCMで、メトロン星人がオリジナルの声(マックス版は寺田農さんだった)とテーマ曲でもって出演中のいま。(あれって…よく考えたら侵略の手段として使ってるという業界の自虐的ブラックユーモアなのか)

最近「乱歩+実相寺映画祭IN自分ち」(「屋根裏の散歩者」「D坂の殺人事件」「乱歩地獄」3本連続レンタルで借りてくること)をやったばかり。
「屋根裏…」の出来がなかなかよかったからなんですが、「乱歩地獄」は乱歩と言うより「怪奇大作戦」でした。「鏡地獄」なのに明智さん(小林少年つき)出てくるし。激高する堀内正美さんを見られるのがなんかお得。

全作品見たわけではないけれど一番好きなのはセブン45話「円盤が来た」です。


質感のある本2題

2006年11月17日 | 西洋鏡・紙魚手帖

CASAのアンタダ記事の総集編本。
舞子駅手前(西側)の海沿いに数年前に建った建物、電車で通り過ぎるたびアンタダぽいなーと思っていたら、ホントにアンタダ作品だったコトがこの本で判明。しかも住居。事務所だと思ってたよ。
しかもCASAの企画で建った家らしい。

ちなみにこの本、表紙がザラザラ、そしてくぼみをエンボス加工。

コンクリ打ちっ放しを再現!
あーバカだなーといいながら思わずウケた。それって超ウケた。



もう一冊。「こげぱん」やミスドのじゃがまるこでおなじみのたかはしみきさんの新刊。パン本。こっちの表紙は特にモチモチしているわけではない。たかはしさんのイラストエッセイ本(旅行記やトースト本)は面白いので問答無用で買う。

32話

2006年11月12日 | 西洋鏡・紙魚手帖

ウルトラマンメビウス32話「怪獣使いの遺産」はなんと
あの「怪獣使いと少年」の後日談と言うことだったのですが
正直、ダメでした。あれの続きだからというわけだけではなく
一本の作品としても凡庸。

ところでこれを観る前に「帰りマン」のDVD8巻・9巻を借りてきたのですが
もう一本の問題作の存在を発見!!

それは第32話「落日の決闘」
帰りマンってしょっちゅう落日の決闘をしているのでタイトルだけでは
どんな話か思い出せなかったりするんですが、内容的にはほのぼの軽ギャグ回。
のどかな山村で頻発する地震を調査するため現地に赴くMAT。
目立たないよう電車利用で。さらにあのオレンジ色の制服はマズいと
郷と南隊員はキャンパー(70年代のイカしたファッションだけど)に変装。
その中、お調子者の上野隊員だけがなぜか首からジャラジャラの
アッと驚くタメゴロー、みたいな、ようするにヒッピー風に。
現地でも郷・南は真面目に聞き込みや調査をしているのに上野隊員だけが
フラフラ、「六根清浄~~」などとつぶやきながら山道をウロついている。
なんかヤバい、すごくあやしい。

昔観たときは、田舎のお寺の和尚さんか誰かにお酒をご馳走になって
イイ気分にでもなってるんだろうなとか深く考えもしなかったのです。
また今回ネット上でストーリー解説を探すと「道に迷ってフラフラの上野隊員」
などと説明されていたりするのですが…私思うんですよ。違うんじゃないか。

上野隊員がヒッピーになってるのは外見だけじゃないんじゃないかと。

そのあと怪獣(キングマイマイ)とMATとの戦闘(のどかな山野で火薬爆発!が
スゴい)があるんですが、上野隊員、そこにもノコノコフラフラーと
状況を把握せずに登場。
そのなんだか呆けた表情。深まる確信。
と、キングマイマイの払う腕の一撃でぶっ飛ばされる上野隊員。
ピューーンというマヌケな効果音と共に飛んでいく上野隊員の背中から落ちた
爆弾入りのリュックがキングマイマイの腕を破壊!半笑いのまま空を行く上野隊員。

上野隊員がトンでますよ、2重の意味で!

「怪獣使いと少年」を書いた上原正三さんは「この先こんな話はもう書けないだろう」という意味のことを言ったそうですが、コレも、絶対もう無理だと思います。
ちなみに脚本は誰かと思ったら千束北男さん(=飯島敏宏監督)だった…。
やっぱりいいなあ、飯島監督。


魔界転生(1981年版)

2006年09月29日 | 西洋鏡・紙魚手帖

深夜に日本沈没や新幹線大爆破など一連の日本映画の話題作を放映している番組で鑑賞。

冥府より蘇った天草四郎時貞(沢田研二ことジュリー、あ、逆だ)が徳川幕府に復讐を果たすべく、この世に未練を残し死んだ細川ガラシャ夫人、柳生但馬守との対決をせぬまま朽ちる事に思いを残す宮本武蔵(緒方拳)、そして柳生十兵衛(千葉真一)の弟分・伊賀の霧丸(真田広之)を仲間とし、世の混乱と破壊を企む。

魔界衆になりつつも自分の中の人間の部分に葛藤する霧丸。
十兵衛はそんな霧丸に宿命に立ち向かえと言い放つ。

そして十兵衛の父・但馬守までが魔界衆に。
彼を導いたのは我が子十兵衛と一度剣を交えてみたいという宿願だった。

なんだか前半の設定だけでえらく燃えるモンがあるんですが。
果たしてこの最強の剣士たち、そしてドラマはどう進むのか!

刀匠・村正(丹波哲朗)の生命を賭した妖刀を手に入れた十兵衛は(キル・ビルのモトネタ?)いよいよ武蔵との対決に臨む。
波打ち際お互い走り打ち込まれる剣、数回の切り込みの後、額をまっぷたつに割られる武蔵。




武蔵 弱ッッ!!!


いやいやきっと十兵衛が強いんだ。タンバの魂を込めた剣も持ってるしね。
いっぽう、四郎の手を逃れ平和な生活に戻ろうと逃亡する霧丸。その前に立ちはだかる四郎!戦う霧丸!四郎の手から放たれた蜘蛛の糸が霧丸を捕らえる、電気ビリビリ!霧丸死亡!!




霧丸、犬死に!!!!


ジュリー×広之のキスシーンまでやって頑張ったのに!

さて、飢饉を起こし農民の不満を煽り一揆から江戸に攻め込ませる四郎。
江戸の町は打ち壊しが相次ぎ、そして江戸城では但馬守と側室として四代将軍家綱を骨抜きにしていたガラシャ夫人がその本性を現し、城内を阿鼻叫喚の地獄絵図へと変える!
天守閣は炎上、家綱もガラシャ夫人と共に炎の中へ消え、崩れゆく城の中、但馬守の前に現れたのはシルエット姿もカッコイイ十兵衛!!!!




つか、十兵衛、遅いよ!将軍死んでるよ!!



剣を交える父と子、なぜかポポンと言う効果音、間合いもセリフ回しも歌舞伎調になり、なんだなんだ?と思っているウチに十兵衛、但馬守を一刀両断!!!!



但馬守、弱ッッッッ!!!!


そこへ現れる四郎、不適な笑みに斬りつける十兵衛の刀は四郎の首を一閃。





四郎、超弱ツッッッ!!!!!!!!


…と思いきやその首を傍らに抱え(ポスターでおなじみのアレですね)我の復讐はまだ終わらぬと高笑い!そうこなくっちゃ!さああ実力を見せてくれないと!!
…と思ったら、炎の中立ちつくす十兵衛のシルエットに重なるエンド・タイトル。
え?ええ?

!!




これで終わりですか!???



な、なんか消化不良というか典型的な80年代の日本映画の話題作って感じの出来。クライマックスに至るまでがとても良い分、山場でガックリすると全部ダメな気分になるなー。ラストの炎で組み立てたようなセットはとてもとても素晴らしいのだけれど。



リメイク三題

2006年09月29日 | 西洋鏡・紙魚手帖

「スーパーマン・リターンズ」

全てにおいてパワーアップした「1」のリメイクにして旧シリーズの続編。
どんだけ続編かというと、絶対に「2」までは観ていないと
後半の大ネタが理解できない。
どんだけリメイクかというとルーサーの悪巧みが基本的に同じアイディアで
スーパーマンは飛行機を救いロイスを救い銀行強盗を捕まえ
ロイスとの空中デートもする。
おおむね満足だけれど、ラストシーンの飛行、
カット割りも構図も日の出のタイミングもほぼ同じなのに
スーパーマンがカメラ目線で笑ってくれないのが残念!

「ポセイドン」

「ポセイドン・アドベンチャー」のリメイクだと思うとガックリするけれど
フツーに脱出アクションサスペンス映画として観ると十分楽しい。
津波で180度ひっくり返った豪華客船から船底(海上)をめざし
仲間を失いながら脱出をはかるという基本ラインは一緒だけれど
キャラクターやエピソードはまったくの別モノ。
95分緊張感を味わって見終わったら何も残らない造りは
娯楽作としては立派なもんだと思う。そのためにキャラクターやドラマは
かなり薄い。オリジナルとの決定的な違いはそこ。
何かありそうな匂いを漂わせつつ、結局ドラマとしては何も完結していない
というのはゲーム的でもある。主人公がギャンブラーであるというのも
象徴的。時代というか、まあ、造りとしては上手い。
あと低予算に見えるのはなぜだろう。

「オーメン」
「ポセイドン」と違い、オリジナルとまったく同じ脚本でリメイク。
いくつかの付け足しやディテールの違いはあるものの、
ストーリーも各所のセリフもいっしょ。
なので、監督による脚本の解釈の違いが顕著に出る。演出力の差も。
リメイク版は正直言ってつまらない。同じ脚本なのに。
ダミアン本人に自分は邪悪だという認識があり、積極的に行動に
出てしまっているのが最大の難点。
また、
父親、ダミアンを滅ぼすための方法を手に入れる→
しかし相手は子供だ、自分は間違ってるんじゃないかと思う
この辺りが自然な葛藤として描写されていたのに対し
リメイク版では不自然で唐突な拒絶と見えてしまう。
全体の描写も妙にあっさり目で、墓を暴くシーンも全く恐くない。
音楽も普通過ぎ。エンドタイトルの最後にオリジナルのテーマが
華々しく響くのが妙にムナシイ。


犬と殺人と怪物と(2)

2006年09月28日 | 西洋鏡・紙魚手帖

ワーナーマイカル明石の男子洗面所の壁。
なんか、自分、合成素材ですか?みたいな。


後半のエントリー、半分書いたトコでうっかり消してしまったので
気力もいっしょに消えてしまった…ので個人的メモで。

出演者覚え書き

ソン・ガンホ(ソン様)…「殺人」「JSA」「シュリ」「復讐者に憐れみを」「反則王」
            「南極日誌」「親切なクムジャさん」「大統領の理髪師」
ピョン・ヒボン…家長。「犬」の警備員(最高!)「殺人」の前半で更迭される 
        刑事班長。「火山高」教頭。なんか知らんけどこの人の喋りは
        なんか味がある上になんだか笑ってしまう。「怪物」でも
        後の伏線になる重要な長セリフがあるのだけれどなんかすごく
        おかしくて、もう。
パク・ヘイル…次男。「殺人」の不気味でとらえどころのない最後の容疑者。
       今回あまりに普通なので(比較的)この人だと気がつかなかった…
ペ・ドゥナ…長女。「犬」「TUBE」「リンダリンダリンダ」
      「復讐者」ではソン様に拷問にかけられた上、殺される。
      今回はまったく素顔が出ない。ペ・ドゥナなのに!もったいない!
      しかしひとつのことに周りが見えなくなるほどに集中して不思議
      ちゃんになってしまうキャラはこの人の役どころっぽい。
      怪物に向かってひたすら効果のない競技用の矢を打ち続ける(無
      言で、いい姿勢で)のだけれど、これが最後に効いてくるのだな。
オ・ダルス…怪物(声)。「理髪師」「クムジャさん」「オールド・ボーイ」
イ・ジェウン…浮浪児の兄。「殺人」冒頭の悪ガキ。「理髪師」でソン様の息子
ユン・ジェムン…イキナリ最後に活躍するホームレス。「南極日誌」
イム・ピルソン…電話会社に勤務する次男の先輩。「南極日誌」監督。
キム・ルェハ…マイクでどなる男。「殺人」跳び蹴り刑事「犬」浮浪者
       防護服で顔がほとんど見えないので気づかなかった…
パク・ノシク…興信所職員。「殺人」で村に住む知的障害者(第一容疑者)
ユ・スヒ…人質になる看護婦。「犬」でペ・ドゥナの親友。
     「クムジャさん」でイ・ヨンエに石鹸と消毒液の刑を受ける
     横暴な女囚。痩せた?


ワーナーマイカルシネマズのホットドッグ。
この形状にすることでケチャップが垂れたりかぶりついたときに
ソーセージがズレるのを防いでいる。
欠点はマスタードやケチャップを追加出来ないこと。
虫や触手系のモンスター映画のお供には向かないこと。



ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟

2006年09月26日 | 西洋鏡・紙魚手帖

スマスイがピンチ!!がんばれウルトラマンメビウス!

冒頭の宇宙空間とGUYS(防衛隊)基地のシーン以外は
全て神戸が舞台。
しかもわれらがスマスイ(→神戸海洋研究所)の出番が
多い!嬉しい。
ちなみに出番が多いのは他に
ポートアイランド(神戸空港含む)とモザイク。
スマスイがあるポーアイで戦うウルトラマンを
みんながモザイクから応援しているって感じです。
いやマジで。
まあそのへんはロケではありがちなんで全然おっけ。

それにしてもただでさえ実景+巨大怪獣+逃げる人々という
黄金の特撮カットに燃えるのに、それがよく知ってる場所
だと興奮度は上がりますねえ。合成カットの出来も良いし。

なので格闘の都合上ミニチュアセットに切り替わると
ちょっと冷静になってしまったり
そして多用されるCGがかなりショボいので
(質感がゲームのグラフィックのよう)
冷静を通り越してしまったり。

そうなると町の破壊シーンも見たいとか思うのですが
そのへんは控えめ。せめてポートタワーを倒すとか。
39年前にキングジョーが壊せなかったポートタワーを
一瞬で倒す、なんてのがあったらなあと。
ヤプールに投げ飛ばされたセブンが
折ってしまって「あっ」とかね。


映画館(シネ・リーブル神戸)で貰ったパンフ。関西限定?
このへんにキングジョーは沈んでいます。


全体としてはきちんとまとまった健全で正統な子供向け映画と
昭和ウルトラ世代への目配せを両立させていて
40周年記念作品と銘打つにふさわしい仕上がりになっていたと思います。

ちなみにウルトラ兄弟と言ってもオトナの事情で
タロウ人間体(東光太郎)は出演せず。
かわりにウルトラ関係のイベントや
ドラマCM旅番組で活躍されているハヤタ・ダン・郷に較べ
あまりお見かけしないエース(北斗星司)が
それもけっこう良い役柄で出てくるのはヨカッタ。
なにせラスボスはヤプールだし。
最後にちらりと南夕子も出てきますよ。

平成ウルトラのメンバーも各所にチラリと。
「ネクサス」や実相寺作品のレギュラーで
神戸との関わりも深い堀内正美さんが
神戸市長役で笑わせてくれたり。


一応主人公はメビウスなんですが
TVシリーズのお約束事などはほとんど出てこない
(レギュラーは文字通り蚊帳の外な)ので
TVを観てない人でも全然大丈夫です。

「メビウスは現役の一番若いウルトラマンなんだな」
ということを頭に入れておけば。

怪物と犬と殺人と(1)

2006年09月23日 | 西洋鏡・紙魚手帖

「ほえる犬は噛まない」(2000)にひたすら感心した
ポン・ジュノ監督の最新作「グエムル 漢江の怪物」。
今まででもっともメジャーな形態での公開作品。

初めて観たときは正直ピンとこなかったのだけれど
あとからいろんなシーンを思い出すに連れ
面白さがじわじわにじみ出てきて
もっかい観たいなあと思ってしまっている現在。

とにかくいろんなお約束ごとの微妙なハズし方と間が絶妙で
それでいて正統でもあるというバランスがいいのです。

第一作の「ほえる犬は噛まない」は、
ひとつ屋根の下というには関わり合いが薄く、
ひとつの町だと言うには住民同士の影響を受けすぎる
巨大団地という空間を舞台に
きわめて普通の人たちの出会いがひきおこす事件。

ここでいう普通の人とは
映画含めフィクションにおける普通の人=
観客に「普通」と思ってもらうために
現実よりかなり善人に描かれる人、ではない。
リアルな普通の人とは、善人ではないが悪人でもなく、
ズルイ事も考えるし、卑劣だったり情けなかったり
しかし普通の人であるから反省もするし後悔もするし
いい人になりたいとも思う。
また、本人には十分な理由があっても
ソレを知らない他人からすれば
意味不明の奇矯な行動を取っているようにも見える。
そんなリアルな普通の人を
冷静にかつ愛情を持って描いていく。
そのために、変な人ばかりが登場する映画という風に
紹介されたりもするのだが、そうではない。
そういう普通の人たち
理想のために汚い現実に追いつめられる男(イ・ソンジェ)と
行動原理が常に夢のような理想である少女(ペ・ドゥナ)が
人生を少しだけ上手くやっていこうとして起こす行動が
ちょっとした偶然で重なり合い起きるドラマが
秀逸な小ネタの積み重ねで語られていく。

何回観ても面白くて、1回目より2回目の方がよくて
この点は第2作「殺人の追憶」でも共通している。
「殺人の追憶」(2002)は80年代に起きた実際の未解決事件をもとに
田舎の刑事と都会から来た刑事が。対立・反発からお互い影響し合い
協力者となっていく姿を描く。
アウトラインを描くとありがちなストーリーなのだけれど
そのために逆に独自性が際だって見えてくる。

この映画でも「犬」同様ひとつひとつのネタが秀逸でかつ全体の流れもいい。
未解決事件だから仕方ないけれど結局は刑事達は犯人に敗北し
人間として成長しつつも過去の過ちによって痛い目に遭ってしまう。
(被疑者を蹴り飛ばしていた刑事は足を失い、書類は嘘をつきません
が口癖だった都会の刑事はその書類に裏切られる)
しかしそこがまたこの映画のいいところでもある。

※)もし現実でなく、「この映画」における犯人を特定するなら
「女のような指を持つ」最後の容疑者(パク・ヘイル)が真犯人。
映画の主題に沿うなら、そう。

(この項続きます)


獣の数字

2006年06月06日 | 西洋鏡・紙魚手帖

現在公開中の「ポセイドン」をはじめとして
この夏は大作映画のリメイクが3本も公開される。
そのひとつが「オーメン」
オリジナルはリチャード・ドナー監督の1976年作品で
今観るとシーンがとても丁寧に撮られた映画だとわかる。
奇を衒った撮り方はしていないのに
(一カ所だけ有名なトリッキーなカットがあるけれど)
ひとつひとつが印象に残る作品でよく出来ている。
予告編を見る限りではハデ気味にしてあるけれど
基本的にオリジナルに忠実で構図もわりとそのままのものが
多いような気がする。そのトリッキーなシーンも再現されてるし。
しかし最近の成功したホラーのリメイクの傾向として
オリジナルでは非力で叫ぶだけ保護される側だったヒロインが
リメイク版では敢然と立ち向かうというパターンになっているわけで
まさかオーメンも大使(オリジナルではグレゴリー・ペック)じゃなくて
その妻が活躍したりはすまいな。

あと一本は「スーパーマン・リターンズ」で
これもオリジナル版はリチャード・ドナー。
主演がクリストファー・リーブによく似ていたり(特にケント時)
中盤のロイスとの空中デートもあるし
マーロン・ブランドもでてくる辺り
コミックの映画化というより映画のリメイクのよう。

「ポセイドン」は出演者を観ると
人間ドラマにはかなり変更がありそうな気配。
というかそこがメインの話なのですが。
ポセイドン・アドベンチャーといえば
観るたび必ず泣いてしまうシーンがあるんですが
「元水泳選手だったおばあちゃん」のトコなんですが
それはあるのかなー。
あったらあったで「オリジナル版を思い出して」
泣きそうな気配。



うーん

2006年03月13日 | 西洋鏡・紙魚手帖
エキストラ募集 [玉山鉄二]主演映画

作品名: 映画(漫画原作)
監督: 熊切和嘉
出演: 玉山鉄二、鴻上尚史、柄本佑、嶋田久作、阪本浩之、大口広司、
    三浦誠己、真木よう子 ほか
撮影内容:近未来。警察などに誘導されながら避難場所に向う場面
募集役柄:避難する住民(家族連れなど)役 老若男女30名(子供含む)
公開: 2007年初春予定

公式サイトがまだないので、フィルムコミッションのエキストラ募集ブログ
から引用。作品名が伏せられていますがこれ、松本次郎「フリージア」なん
だそうです。
もともと映画向きではあるけれど…出演者、どれがだれなのかわからない…
主演イメージ違うし鴻上さんに該当するキャラが思いつかないし…えええっ?
とりあえず個人的には「デスノート」より動向が気になります。


親切なクムジャさん

2005年12月20日 | 西洋鏡・紙魚手帖

…がよかったのでパク・チャヌク監督(「JSA」)の
「復讐者に憐れみを」を観たいけれど、いつ行ってもレンタル中。
1本しか入ってないのはツラい。あるだけいいか。
クムジャさんの併記英語題名が「女復讐者に憐れみを」とでも
訳せるタイトルだったので
これは対で観るべきもんだなと思うんですが。
ソン様主演だしね。

「オールド・ボーイ」と合わせて「復讐三部作」という風に
宣伝なりインタビューでは謳われていましたが
「オールド・ボーイ」は復讐も確かに柱の要素だけれど
どちらかというと謎解きの方がメインというか見事だったので
少し違うかなという気が。


アフタヌーンシアター

2005年12月18日 | 西洋鏡・紙魚手帖

サンテレビのお昼の映画劇場は
市川雷蔵や勝新の映画をなにげに放送したり
あなどれないのですが
最近は週一で昭和ガメラシリーズ全作放送という
快挙をなしとげておりました。

「全作」なので、マッハ文朱主演、見せ場はすべて
オリジナルシリーズからの再編集、という
気の抜けた作品「宇宙怪獣ガメラ」もやっておりましたが
初めて観たんですが

……すごくつまらなかったです。
本当に湯浅憲明監督作品なんでしょうか。

それは置いといて
今週からはやはり週一で
「大魔神」全3作も放送開始。
エライぞサンテレビ。

とにかくこれの第1作はイイ。
なにがいいって大魔神がちゃんと「神様」なのがよいのです。
2作目以降になるとどうも人間っぽくなってしまうのが残念。

そういえばこれもリメイクするという話がかなり前から
あったような。
気がつけばガメラは更に新版で登場するというのに
どうなっているのでしょう。

いや、特に新作で観たいということはないのですが。
オリジナル版の合成の継ぎ目をデジタル処理で消すとか
そういうのでいいんですけど。


なんとまあ

2005年12月11日 | 西洋鏡・紙魚手帖

稗田礼次郎先生ものの新作が出てるとは……!
集英社じゃなくて講談社からなのですね。
しかしあいかわらずセリフの一つ一つ
わくわくしながらじっくりと読める味わいと快感は
ホントにこの方ならではですね。

ウルトラマンマックス第24話「狙われない町」

2005年12月10日 | 西洋鏡・紙魚手帖

マックスは基本に立ち返ると同時に
人気怪獣のゲスト出演という戦略を取っているわけですが
デザインと能力が基本的にはいっしょでも
まったく新しいストーリーの中に旧怪獣をポンと入れたり
レッドキング+ピグモンのようにパワーアップした新設定の中で
ストーリーはリメイクだったり。

この回はあのメトロン星人が再登場。
しかもただの再登場ではなく、40年前に北川町を
侵略のための実験台として狙ったその同一星人物が
あれからずっと同じ場所に潜んでいたという
完全な続編として。
もちろん監督は実相寺昭雄。

一度セブンと戦って(戦いにはあまり向いていなさそうだけれど)
アイスラッガーでまっぷたつにされたのを
たまたま親切な地球人に拾われ治療してもらって(修理に見えるけど)
円谷プロの怪獣倉庫で着ぐるみの中にコッソリ紛れていたという設定。

その真正面に縫い目が真一文字に入っているというビジュアルだけで
すでに名作認定、な感じなのですが
40年の間に地球の自然の美しさや
人間の移り変わりもすべて見たであろうメトロン星人が
人類に見切りをつけて静かに地球を去って行くという
皮肉で少し哀しい続編であり、自己パロディ。

メトロンと交流のあったかつての少年が
どうせなら一緒に連れて行って欲しかったと漏らす部分が
やはり実相寺作品の「円盤が来た」(セブンの中では一番好きな話です)
を彷彿とさせて、なんだかお得な感じもします。

い…いんへるの(ボリボリ)

2005年12月06日 | 西洋鏡・紙魚手帖

なんと諸星大二郎の代表作がいつの間にか映画化。

主演は阿部寛ですが、稗田礼次郎先生だと思わなければ
映画には合っておりました。
例のクライマックスのビジュアルはなかなか力が入っていて
(もともと、かなりCGでの絵作りに向いているシーンでもあるし)
「おらもつれてってくだせえ」の神戸浩の熱演も感動的なのですが
(つか神戸浩、そのまんまです。これ以上のキャスティングはないでしょう)
尺が足りないせいなのか別の話を組み合わせていて
それが脚本上でうまくかみ合っていないというか
その部分が何故か貞子とか出てきそうな演出スタイルで
(出てくるのは少年なのでむしろ「呪怨」ぽい?)
それがストーリーをブツ切りにしてしまうのが最大の欠点。

神父さんが原作のふくよかで温厚な感じが
ショックで変貌していく感じではなく、
最初から血走った清水紘治なのですが
これはこれでアリかなと。

あと、ぜずさまのあのセリフを声だけ三ツ矢雄二が
吹き替えていたのだけれど
なぜか「ぱらいそさいくんだ」になっていて気になる。
「ん」が余計…。

変にいじらず、そのままで、
短いエピソード2本立てに出来ればかなりいいものが
出来ていたのかも。
俳優陣がいいだけに残念。