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地球の裏からまじめな話~頑張れ日本

地球の裏から日本頑張れ!の応援BLOGです。
証券関係の話題について、証券マンとしての意見を述べていきます

上場廃止後の行方を示唆してくれ、マスコミ

2006-02-14 06:46:13 | ライブドア問題
いやはや、木村剛さん、またしても有難うございます!
今回はかなり私的には照れちゃうようなご紹介で、ほんと日本の人口1億数千万人のその中の何千万分の1のサラリーマンである私のちっこい考えが、そうやって世間様に少しでも認知されていくことは物凄く光栄な事であり、それでもって兜の緒を締め直す小鬼でございます。。
今後ともどうぞ皆様、宜しくお願い申し上げます!

さて、その木村さんのTBに触発されつつ、今日はもっと気張った記事を書くぞ!と思いきや、今日は碌な記事も発見されなかった訳ですが。

それでも今日はいよいよ法人としてのライブドアが起訴されてしまい、それに伴って東証はいよいよ上場廃止を本格的に検討し始めた、という記事を読んだ。
確かに本日のライブドアの株価はもう目を覆いたくなるような有様で、さらに相当数の売り物が残っていたようだ。
それに加えてコモディティーマーケットの急落、米国債の金利上昇、バーナンキさんの議会証言を控えて、また日銀の量的緩和解除観測やら、それが銀行の貸し渋りに繋がっていくのではないか、などの観測がマーケットを覆っていたようで、東京市場も散々だった。

私がここからのマスコミの報道姿勢に対して注視していることと言えば、それは一つ。
それは上場廃止とはどういうことか、と言う事である。
これはほんと何回も言っているけれど、もしも当該会社が倒産云々となれば、そして更正法を適用してもやっぱり駄目だったってことになれば、その会社の株券の価値は限りなくゼロになる。これは小学生でも分かる論理であるね。
しかしながら、このライブドア、或いは直近の例で言えば、西武鉄道なんてのがそうだけど、何か問題があって東証が上場を廃止しても、その会社がきちんと存続していれば株券の価値はゼロにはならないからね。

証券取引所ってのは、一体どうやったら価値が計れるの?ってなものに対して、それらのモノに対する不特定多数の意向が反映させてその価値を計ろうとする場である。ゆえにいつも絶対に正しい価値を反映しているかどうかは意見が分かれるわけだけれど、だからこそ、そこにエコノミストだアナリストだそして証券マンが多少は活躍する場があるわけであるね。
仮にある企業がその取引の場から撤退を余儀なくされても、その企業がきちんと活動し、そして利益を生み出している限りはその株券には何らかの価値があって、但しそれをきちんとした尺度で測れないね、ってのが、上場してない企業の株券の価値であると私は思う。

新興企業が上場してくる際に良く用いられる客観的尺度ってのは、例えば類似会社比例方式(だっけ?)ってのがあって、同じような業種の似通った上場会社と照らし合わせて、きっとこの会社が上場したら株式はこれくらいの価値になるね、ってのを主幹事が中心となって予測して、そしてその値段を元にそれら新興企業の株券の値段が市場で決まるわけだけれど、良く考えれば上場前の企業の株券価値判断ってのは実はその程度の事で大枠が決まって、結局は市場参加者の総意で最終的に決まるわけであるね。

仮にライブドアが上場廃止になっても、ライブドアがきちんとゴーイングコンサーンとして企業活動を維持している限り、その株券の価値はゼロにはならない。
どっかの新聞は、一旦上場廃止になったら2度と市場に再上場されることは無い、って書き切っていたけど、それって私は調べて無いから簡単に言えないけれど、ほんとにそうなのか?
別に東証の息の掛ったマザースに上場しなくても、他に取引所はあるじゃん?って私は思うのだけれど。
まあ現在の東証の姿勢を見ていれば分かるような気がするけど、今の経営陣が残っている間にはライブドアがどんなに頑張っても、東証系への上場は政治的に大変かもしれない。

ライブドアは上場廃止になったら株券は単なる紙くずになるぞぉ!ってな短絡的な意見が仮に世の中に出て来ようものなら、我々はきちんとそれに反論していかねばならないだろう、と考えている。
いや更正法申請とか倒産、ってのは話は別だからね、しつこいけど。

また西武鉄道やカネボウの時にも思ったのだけれど、東証は大体マザースなんて市場を作って、東証1,2部より遥かに緩い基準にて新興企業の上場を促して来て、そしてそれらの企業が何らかの基準に抵触して上場廃止を決めたら、後は「はい、それまーでーよ」ってな感じで切り捨てているように思うのは私だけか。
もちろん市場は公正であり、規定に違反するのはその企業の問題だけれど、それじゃあ上場をプロモートしてきた市場そのものには本当にそれらの事後責任が無いのだろうか?さらにその上場にずっと付き合ってきた主幹事証券はどうなのだろうか。
証券会社が未来の上場予備軍的会社を発掘してからそれらが上場に漕ぎ着けるまでには数年掛ると言われているけれど、その数年間色々お付き合いをして来てそれなりの苦労もあったろうけど美味しい思いだってして来ただろうし、、さらに上場後のその企業のファイナンスだなんだでさらに美味しい思いをして来て、それでもって上場廃止になったら、後は知りまシェーン、で済むのだろうかね。

何度も繰り返すけど、確かにルール違反は厳禁だ。それに違反したのだから何も言えないはずだ、と言う論調は分かる。
それだったらさ、株主数22万人の影響がどうのこうの言うマスコミ、どうせならその後のそれら22万人の人がどうすれば良いのか示唆してみたらどうだ?
本当に上場廃止となったら、取引所やら主幹事証券には一点の曇りも無いくらい、落ち度なり責任は無いのか?
単に22万人の行方だの、時価総額が何分の一になったの、そんな事じゃなくて、今後の事を見据えた論調が出てくるのに私は大いに期待するけど、まあ無理だべなぁ。


新聞記事、また斬っていいですか?

2006-02-12 02:50:24 | ライブドア問題
コメント欄にて、小株主さまが、長野智子さんのBLOGを紹介されていたので、私もこれを書いたらトラックバックしてみようと思っている。
長野さんと言えば私はどうしても「俺たちひょうきん族」に重なってしまうのだが、そうですか、朝まで何とかテレビとかにもご出演されているのですね。

直近スイスに関して書いてきたので一瞬私の中でも埋もれそうになっていた記事があったのをハタと思い出し、今日はその記事を今後も忘れないためにここに書いておきたい。

それは、読売の記事である。

『<ネット投資家、ライブドア騒動で4割が“損”>
ライブドア事件を契機とした株式市場の混乱で、インターネットで株取引をしている個人投資家の6割以上が保有株の下落に見舞われ、4割が何らかの損失を抱えたことが、読売新聞社とNTTレゾナントが共同で実施した消費者モニター調査で明らかになった。
ただ、8割強の投資家は、今まで通り株式投資を続けるとしており、株価の上昇基調を背景とした個人投資家の強気な姿勢も示された。
調査は、ライブドア事件の影響についての見方や意見を1092人に聞いた。
株式のネット取引をしている202人のうち、ライブドア事件の後に保有株が値下がりした人は、63・9%にのぼった。保有株を「売却して損をした」人は16・8%、「売却せず含み損がある」が25・7%で、ネット投資家の42・6%が“被害”を受けていた。
これらの人の損失や含み損の金額は、「10万円未満」が48・8%、これを含む「50万円未満」で9割近くを占め、「500万円以上」の人も1人いた。一方、今後の株式投資については、「投資姿勢を変えない」が80・7%を占め、「投資額を減らす」(7・4%)と「投資をやめる」(2・0%)を合わせた自粛派は1割に満たなかった。
株式投資の目的は、〈1〉資産形成(34・2%)〈2〉小遣い稼ぎ(32・2%)〈3〉趣味として(11・4%)――の順だった。昨年1年間の投資で利益を得た人は71・8%で、「500万円以上」も8人(4・0%)いた。購入した株式を売却するまでの平均期間は「1か月以内」が43・6%と多く、買った日に売る「デイトレーダー」も5・5%。
調査は今月1~2日、インターネット・アンケートサービス「gooリサーチ」に登録している消費者モニターを対象に、ネット上で実施した。』
(2006年2月7日 読売新聞)

私は調査内容に不備があるとは思えないし、アンケート自体も極めて公正に行われたものだと思うので、それらに対する不信感は無い。
しかしながら、そのアンケート結果が記事になると、こんなにも歪められちゃうの?って思ったのだが、皆さん一読されて如何ですか。

これらの結果を全て「ライブドア騒動によって」と結論付けてしまう。。仮に、このライブドア騒動とはすなわち東証のシステム混乱も入る、くらいの事をきっちりメンションしてあればまだ許そうと思うのだが、とにかく個人投資家、特にネット投資家の4割が損をしたのはライブドア事件のせいだ!ってことで片付けたいようで・・・
4割のうち、実損を出したのは16%で残りはまだ含み損の段階だし。これが今後値上がれば損は解消されちゃうし、そもそもその損がライブドア事件に直接関係のある損か否かなんて詳細は不明だし。ずっと塩漬けになってた株の含み損か、今回の下げで被った含み損か、その辺があいまい過ぎやしません?

さらにこの記事での読売の別の記事。

『新興株狙い鮮明に-ネット投資家調査
4割超が短期売買、ライブドアショック 4人に1人含み損

読売新聞社とNTTレゾナントの共同アンケート調査で、「ライブドア・ショック」が多くの個人ネット投資家に“被害”を与えたことが浮き彫りになった。投資家の4分の1が保有株に含み損を抱え、ネット投資家の多くが、事件で株価を大きく下げたIT(情報技術)関連の新興企業株に集中投資してきた実情もうかがえる。ただ、短期売買の多いネット投資家の8割が、今後も投資姿勢を変えないとしており、ライブドア事件の教訓が、どう生かされるのかは不透明だ。(尾関航也)
東京地検が1月16日に強制捜査に踏み切ったライブドア事件の影響で、東京株式市場で売りが殺到し、特にITなど新興企業の銘柄が多い東証マザーズの株価指数は1月17~18日の2日間で22・4%も下落した。
アンケート調査では、202人の個人ネット投資家のうち、事件発覚後に「値下がりした保有株を売り、損をした」という人が16・8%にのぼった。
さらに、注目されるのは、調査が行われた2月1~2日時点では、東証1部全体の値動きを示す東証株価指数(TOPIX)は事件発覚前の株価水準まで上昇していたのに、含み損がまだ残っていた投資家が25・7%もいた点だ。これは、個人投資家の多くが、事件で大きく値を下げた新興IT企業株に集中投資していることを意味する。
一般に、時価総額の小さい新興企業株は、ちょっとした取引材料で大きく株価が動き、上昇した時の利幅が大きい一方、値下がり損も大きくなる傾向がある。ネット投資家の多くは比較的リスクの高い投資行動を取っているようだ。』

ぎゃはは、「ライブドア事件の教訓が、どう生かされるのかは不透明だ」
これはそっくりそのままマスコミ諸氏にお返ししたい言葉ですなぁ、尾崎さん。
今回の下げでは既に明らかになっているように、その週の個人投資家は買い越し、売ってたのは自己勘定でしたね。その辺はまずきちんとお調べになられたのだろうか。
それに加えてこの記事で本当に恐ろしいなぁ、と感じてしまうのは、例えばここ。
「含み損がまだ残っていた投資家が25・7%もいた点だ。これは、個人投資家の多くが、事件で大きく値を下げた新興IT企業株に集中投資していることを意味する。」

おっとぉ、ちょっと待ってよ、この調査ってネット投資家はたったの202人を対象に行ったんでしょ?その25.7%ってさ、たったの52人じゃないの?その結果を持って「個人投資家の多くが~」なんて結論付けるようなことを大新聞で堂々と述べちゃって良いのか?
百歩、いや百万歩譲ってそうだとしても、新興IT企業株に集中投資することが何か??

例えば巨大なファンドだの機関投資家にはそれなりの投資クライテリアってのがあって、例えば東証1部じゃないと買えない、とか、格付けがナンボ以上じゃないと買えないとか、って言う縛りが結構ある。ゆえに彼らはなかなか新興企業の株に投資出来ないってことがまずある。そんな中で新興企業が本当に正しい形で市場で認知されるには、その企業の努力もさることながらそれを応援する、例えば個人を中心とした投資家が居て、それで企業もどんどん大きくなっていくんでしょうが。
今じゃ立派なピカピカの一部上場企業だってそういう時期があって、そして花開いていると思いません?
それをとにかくマスコミは味噌も○ソも一緒くたにして、新興IT企業はうんたらかんたら・・・
天下の大新聞がもう日本の個人投資家ほとんどから取ったかの如くのアンケート結果を振りかざし、だから言わんこっちゃ無い!ってな論調で良いのかな。

この記事って見出しだけ飛ばし読んだ人は、ほぉ~そうかぁ~って思っちゃうだろうね。
いい加減、きちんとしようよ、マスコミの方々。

スイスのプライベートバンク、マネロン、それが何か?

2006-02-08 08:53:13 | ライブドア問題
私は今日は非常に怒っております。
コメント欄に、例の堀江氏なりライブドアがスイスのPB(プライベートバンク)に仮名なり借名口座を開設していた云々の記事のリンクをFREE!さまから頂きました。
この件に関しては前に拙さるさる日記にて多少吼えさせていただきましたが、今日そのリンクされている記事をじっくり読んで、ドッカ~ン、と破裂いたしました。
おっとその前に、コメントを頂きましたFREE!さま、有難うございます。

これらの記事を適当に抜粋すると・・・

朝日『一部は海外の金融機関に開設した同社幹部の仮名口座などに入金されていたという。株を高値で売り抜けた差額の一部を仮名口座に入金させたとみられ』
朝日『資金の一部がスイスの金融機関に開設された仮名口座に入金され、同社幹部らが口座を管理していたという』

~~おいおい、特に2番目の抜粋、入金されそれが幹部によって管理されている何が悪いの?
仮名仮名って言うけれど、本当の仕組みをご存知なの?
ケイマンなりジャージーなりに設立されたペーパーカンパニー経由でスイスのPBに口座が開設されたとしたら、それはあったりまえだけど堀江氏だのライブドアだのってな名前の口座にはなりませんけど?

産経『ライブドア側に資金還流させていた仕組みなどに、スイスや香港に開設された金融機関の口座が使われていたことが1日、関係者の話で分かった』
産経『使われたのは、スイスに本拠がある金融機関など。スイスのほか香港の口座でも取引があったという。口座はライブドア名義や堀江容疑者個人の名義でつくられていた』
産経『海外の金融機関は日本の捜査当局や税務当局の調査が及びにくいため、資金洗浄に利用されたり、脱税目的の資金の隠し場所とされたりすることが多い』

~~おいおい、堀江氏やライブドア名義で口座が作られていたの?だったら上の朝日と違うけど。そんでもって百歩譲ってスイスのPBにそれらの口座が作られていたら何か問題なの?仮に違法な資金還流に使われたとしたら迷惑なのはスイス側ではないの??
それが何で海外の口座は脱税目的がどうのこうのなんて蛇足をつけるの??

読売『こうした売却益は、いったん海外にあるスイス系金融機関の匿名口座や仮名口座に簿外資金(裏金)などとしてプールされた』
読売『決算期が近づくと、この口座の中から、タックスヘイブン(租税回避地)の英領バージン諸島などにある複数の口座を経由する形で、資金を還流させ、本体や関連会社の利益として売り上げに計上していた。プールした裏金を表に出し、粉飾の原資として使っていた形になる』

~~おいおい、匿名口座ってさ、スイスのPBのナンバーアカウントをご存知でしょうが。但しこれが脱税行為で使われていたのは一昔前の話よ。タックスヘイブンの口座だって、み~~んな持ってるでしょう、お宅のお知り合いのお金持ちだって持ってるんじゃないかなぁ。

中でもこの記事が一番あくどいね。読売。
読売『プライベートバンクは個人資産家の財産を総合的に管理するのが主な業務で、特にスイス系の金融機関は、匿名性が高いとされる。捜査機関の口座照会を拒むこともあり、指定暴力団山口組旧五菱会系のヤミ金融グループによる事件など、犯罪収益のマネーロンダリングに悪用されるケースも多い。また、タックスヘイブンは、法人税の免税などの優遇措置があり、ペーパーカンパニーの設立も容易で情報も秘匿されやすい』


~~~
ここでスイス歴10年以上の小鬼がはっきり申し上げます。
これらの記事こそ、今流行(?)の『風説の流布』じゃなくてなんでしょうか?とね。
これらの記事をね、きちんと英訳なりドイツ語訳してそれらの訳文をそれなりの機関でオーソライズして頂いて、スイスの銀行委員会なんかに提出すれば、恐らくスイス当局だって黙って居ないと思うよ。下手すりゃ外交問題に発展するよ。
だって日本人たるあっしが見たって余りにもスイスの銀行業界の現実を知らなさすぎるもん。

確かにスイスのPBってのはかつてマネロンの温床と言われ、さらに匿名口座、ナンバーアカウントがやたらとサスペンスモノに使われたのは私も否定しない。
しかしながらあのユダヤの第2次大戦中の逃避資産を巡る訴訟辺りを機に、スイスの銀行ってのはものすごく厳しくなっているからね。
いいですか、仮にどこぞのマスコミの記者君がスイスのPBに口座を開けたいって言っても簡単に開きませんから。
ましていわんや、マネロン(マネーロンダリング~資金洗浄)の疑いのあるマネーにわざわざ手を出さなくてもスイスのPBは十分に我が国以外の金持ちの方々のお陰で食っていけますから。

さらにもう一つ。日本ってのはいまだに円の持ち出しってのは非常に厳しいのはご存知か?日銀がきちんとチェックしているのです。仮にそれをすり抜けて海外に円が流れているとしたら、それは誰を責めるのですか?日銀の怠慢じゃないの?

さらにさらにもう一つ。タックスヘイブンとか言う、いかにも初めて聞く人には胡散臭そうな書き方をしてますけど、それが何か?
ソフトバンクの大型起債(でも2-3年前か)辺りが記憶に新しいけど、ソフトバンクがわざわざケイマンだかジャージーだかのタックスヘイブンにSPC(Special Purpose Company~特別目的会社)を設立して、そこがCBを発行した、って形にしてましたけど、それが何か?
SPCってのは脱税が目的ではなくて、節税が目的でしょ?

日本のお金持ちの方々は随分とスイスのPBに口座をお持ちですよ。私は直接関わっていないから詳細は憶測では言わないけれど、あの方もこの方も、もしかしたら記者諸氏のお勤めになられている新聞社やらテレビ会社のお偉いさん方もお持ちかもしれませんよ、PBの匿名口座をね。
これも別に現代の世の中ではね、脱税目的じゃなくて、節税或いは万が一日本で大地震が起こったりした場合の資産の分散の一環であるのですよ。

確かに五菱会の時はCSが使われて、しかも香港で逮捕された方はかつてスイスにいらした方で、日系金融機関の駐在員には衝撃が走ったけど(私も名刺交換したことがあったなぁ、どっかいっちゃったけど)、そういう事件があるとさらにこういうことってのは厳しくなるのです。

あっしは憶測でモノは言ってません。今回の件もきちんと知り合いのプライベートバンカーと話をしました。

小鬼『あのさ、例の堀江氏なりライブドアがさ、スイスのPBに匿名だか仮名だか借名だかの口座を持ってるって話、さらにタックスヘーブンまで悪者にされようってしてる話、あれってさ、み~~~んなやってるでしょ?』

PB『小鬼さん、み~~~んなやってますよ。唯一責められるケースがあるとしたら、堀江氏なりライブ側が、その口座を開設したPBをも欺いていたケースでしょうね。そうじゃなければこれはごくごく普通の行動です』

いいですか、仮にタックスヘイブンたるジャージーにSPCを設立したとします。それでもってそこがスイスのPBに口座を開く場合、堀江氏なりライブドアの名前が出ますか?出ませんわね、SPCなりそこの代表者の名前なりがスイスの口座の名義人になりますわね。上で書いたように。

何故にここへ来てスイスのPBなりタックスヘイブンまでを悪者に仕立て上げて、堀江氏なりライブドアを糾弾するのさ、マスコミ?
いやそれらを糾弾するのは良いよ、良いけど何故にスイスを巻き添えにする?これらの刷り込みでね、きっと何百万単位の日本の一般ピーポー達が思うよね。
「やっぱりスイスってのはなんだか胡散臭いわね。あそこの旦那さん、夏休みにはアルプスが良い、ってせっせと通ってるけど、何かあるんじゃない?そういえばあのお宅も年々増築されて立派になっているみたいだしね」
な~んてのを期待してるのか、マスコミ?

今現在ありがたいことにこのBLOGを毎日約1000人の方に見て頂いているけど、その中にもしそれらマスコミに関わる方が居たらきちんと調べなさい、スイスの現状を。正直に言えば私もきちんと協力するから。
さもないと、まじでどんどん吼えるよ。ほんと外交問題になっても知らないよ~だ。

業界内側の意見調査

2006-02-07 07:09:19 | ライブドア問題
いやいや怠けたわけでは無いのですが、更新が滞ってしまった、すみませぬ。

本来なら自己売買部門の次なるを書こうと思ったのであるが、本日さる情報ベンダーが毎月行っている、いわゆる業界の内側に居る人たちからのアンケート調査レポートが出ていて、それがこのライブドア問題に関する設問なんかを含んでいたので、本来は無断転載禁止なのではあるが、まあ何か文句を言われるまでの間、ざっとご紹介したいと思う。
ちなみにこの調査の回答者数は200人、回答率は約65%、主な回答者は、国内及び外国証券、投資顧問、銀行、信託、生損保、その他、となっている。
まあこの調査のメインは、日経平均の見通しだとか、今後買われると予想するセクターだとかってのが中心なのだが、その辺の分析は専門家に任せて(笑)、私はもっぱらこのライブドア関連の回答に興味があったので、面白いものをご紹介しよう。
ちなみにこの調査結果、かつてほぼ1年前に勃発したライブドアVSフジテレビ時にもいくつかの意見を当BLOGにて紹介させていただいた記憶があるので、興味のある方は過去記事を洗ってください(笑)。

~~~
まずは直接ライブドア問題とは関係ないが・・・
今後6ヶ月程度を想定した場合に最も注目している投資主体は何か?と言う設問がある。この答えが面白い。
個人に注目が32%、外国人に注目が59%、投信に注目が5%、そして自己に注目が1%なのだね。
ちなみに12月の結果は個人が24%、外人が70%だったのだが、この2ヶ月で外人へ注目していた一部が個人へ注目するようになったと言う事だ。また自己に対する注目度合いは12月、1月ともに1%で変わらず。

先日のあのライブドアショック時の売り主体は「自己」と書いたが、業界の内側で自己に注目している方々の数の少なさが非常に面白いと思う。
このような調査を個人投資家から集めたら一体どんな結果が出るのかなぁ、と考えてしまうね。実は自己が結構な割合を占めるんじゃなかろうか、とかね。

次に、今回の事件の波及具合に関してであるが、これが以下に波及するかしないかを問うた設問。

他の上場企業へ--波及する33%、しない67%
会計監査へ----波及する63%、しない37%
投資ファンド---波及する75%、しない25%

だそうで。
でもどう考えたって会計監査には波及すると思うけどなぁ。確かに証券界(特に外人投資家)では、この問題はライブドアの個別問題、と切る向きが多いので、他の上場企業への波及を懸念する声は余り聞かれないし、それは私もそうだと思うし、同時に切り離して考えるべき問題だとも思うので、それは良いけど。でも投資ファンドにだって波及するでしょうに・・と単純に私なぞは思ってしまう。

また最近の株価下落はライブドア以外に東証のシステム問題、担保の掛け目引き下げも影響したと思うか?に大しては両者ともほぼ95%程度が少し、または大きく影響した、と答えている。
この調査全般で言えることだけれど、やはり東証システムに関する疑問視が多いのが特徴なのだが、どうして世論はもっと叩かないのだろう、とかねがね疑問を抱いているのは決して私だけでは無いのだね。

そして様々なご意見をざっとご紹介したい。

「新興市場の戻りが極めて悪いのは、新興市場の会計監査に疑問が出ているためで、もう一度会計監査の再点検をしないと市場は疑心暗鬼のままだ」

~確かに私もそう思う。いつぞやの拙記事にて、我々証券マンは決算結果の中味をほじくり返すほどのチェックはしないって書いたけど、この辺は監査を受けているって言う大前提があるからってのも一つの理由で、それが信じられないとしたら、事は根本を揺るがすことになる。
疑問のある決算数字を根本から手弁当で洗い出してくださった例の会計士さんのような存在が稀であり、全てをそのような方々に頼らざるを得ないとしたらえらいこっちゃ。

「03年4月基点の上昇相場はライブドアの影響など全く無いわけで、企業の再生、不良債券問題の解決、デフレの終焉等がその背景であり、ライブが相場を牽引したわけでも何でも無い。敢えて言うならライブ問題に端を発したマネックス、東証この辺のショックであろう。しかし今回の問題は色々な問題を示唆しており、もう一段日本のマーケットがよくなるためには避けて通れない試練なのだろう」

~確かに試練。拙日記で先ほど書いたが、私が一番学んだのが、流動性の大切さである。いやこれはライブに端を発した東証システム問題から学んだのだけれどね。

「基本はライブ自体の問題。マスコミの取り上げ方が大きく、大問題であるかのように報じられたことで大袈裟になった。」

~これはもう散々ネット界では言われていることで新しい意見でも何でも無いが、やはりマスコミの姿勢なりをきちんと考える必要は絶対にあるね。証券マン「絶対」って言葉は本当は使えないけど、これだけには何度でも使う(笑)。

「個人投資家の懐が深くなってきているように感じられ、それが相場の強さを支えているようだ」

~これには同感。いまだにネット投資家と投機家だのゲームだの言ってる向きがあるが、これらの言動はやはり笑止千万。ネット投資家による流動性の向上は私は市場としては大いに受け入れるべきであると考えている。それで無くたってついこの間までは、個人の資産1200兆円の分捕り合いが始まる~って散々マスコミは書いていたじゃないの。それがかなりのレベルで株式市場に流れたら今度は投機家呼ばわり、挙句の果てにはゲーム呼ばわり、UFOキャッチャーと同レベルに神聖なる市場を斬ろうとするその態度は、やはり許せんね。

マネックスや東証に関しては・・
「この事件で露呈した東証のシステムの脆弱性のほうが問題としては大きい」

「掛け目引き下げを相場下落要因にするのは筋違い。追証取立て能力の無いネット証券が早めに信用を絞るのは当然」

「東証はいまだに取引時間を縮小しており、システム対応を早急に実施しなければ、日本の市場全体の信用問題に発展する可能性がある。外人投資家が市場から出て行く可能性があり、せっかくの上昇相場に取引所が冷や水を浴びせるというまったくお粗末な事象である」

「取引所停止と言うトレーディングにかかわるリスクも意識され、日本投資のカントリーリスクとして今後も問題は残ろう」

「東証はシステムのキャパを1割程度上げたが、ライブ株の狼狽売りには時間制限で対処するしかなく、本質的なシステム改定の必要性を露呈、狼狽売りといえども吸収出来る能力こそがリスク管理上のポイントなのではないか」

~どれもこれもごもっとものご意見である。
当たり前の事だけれど業界の内側でもこのような意見が大半であることは素直に嬉しいね。

ちなみにこの資料、手元にメールでありますので、ね。

実録(?)自己売買部門

2006-02-04 03:54:30 | ライブドア問題
前回の記事において、マスコミと実態のかい離がお分かり頂けたようで私は嬉しい。
実は私は正当なる自己売買部門に在籍したことが無いので、この分野に関しては正直余り詳しくは無い。がしかし、スイスにおいて今までやってきたのが転換社債とワラントのマーケットメイク業務(ディーラー業務)であるので、それも言ってみれば会社の自己資金を使ってやっていたのだからミニチュアな自己売買部門に居たとも言える。
加えてそれらの業務を遂行するには当然東京やロンドンの株式部系と繋がって来るので、例えば営業一本槍で来た人よりは分かっているかも知れない。
と言う前提の元でのお話なので、よりお詳しい方はご一報下さい。

さて、現在の証券界を取り巻く環境を考えた場合、昔は東証が決めた手数料率テーブルがあって、どのお客もそのテーブルに従って手数料を払わねばならなかったのであるが、それに比べると現在の手数料自由化は非常に証券会社にとっては厳しいのだね。
つまり、証券会社はこの手数料率の激しい下落、さらにネットのドラスティックな普及によってかなりの痛手を被っているのである。総合証券会社はそれでも例えば海外やら起債にその活路を見出せるが、ちょっと中途半端な証券会社は苦しいだろうと思う。

さて、証券会社であるから当然自分のところでも株をやっている。
大手はかなり組織だってやっているわけだが、中小証券はいわゆる「契約ディーラー」を使って、収益を上げればナンボ給料を出します、でも収益が上がらず損したら給料はありません、或いはご自身で負担して下さい、的な人を常時募集している。言ってみれば、会社はその資金を提供するからある程度の決まりの中で頑張って収益をあげて頂戴ね、って事だ。当然これも「自己売買部門」の一部になる。

色々な知り合いの意見を集約してみると、これからはセールス部隊ってのはある意味コストセンターになり、そしてそれを補うのが自己売買部門だろう、と。
これが大きな流れになっていると私も思う。

そんな中で自己売買部門、書いたように契約ディーラーもそうだが、話を大手に限って書いてみると・・
色々とやり方は各社まちまちだろうが、各人がある程度のポジション枠を持って、例えばA君のチーム5人は株式、Bさんのチームは先物オプション、Cちゃんのチームはアービトラージなら何でも来い、的な感じになっていると思う。彼らはまさに契約ディーラーのサラリーマン版であるね。

また当然顧客の受け手になるべくチームもある。個人的にはこれが根幹をなすブック(勘定)だと思うが、例えば引き受けたモノの割り当てをもらったり、或いは顧客のプリンシパルバスケットに向かったり、チョンボを多少は引き受けたり、そして基本は相場観にてポジション運営をしているチームであるね。大手はこの手のブックを東京時間が終わればロンドンに、ロンドンが終わればNYに、回していくところもある。これによって24時間態勢で相場に対峙していくわけだ。
そんな中でやっているところは大規模にやっているバスケット。「お昼時間のバスケット動向は、売り300億、買い450億でやや買いが優勢のようです」的な記事をご覧になった方も居ると思うが、お昼時間であるから当然場は閉まっているわけで、これは自己が顧客から受注した額である。
バスケットも大きく2つあって、一つはエージェンシーバスケットと言われて、要は顧客が勝手に注文としてくれるようなものと、もう一つはこのプリンシパル
、つまり相手は「これこれを決めてくれ」と言ってきてそれに対して自己が行けると思えばその場で全部値段を決めて約定する、と言うものだ。
当然受けたバスケットをある程度は自己ポジションの中で相殺させ、そしてあるものはその後の場中に処分に行ったりリスクヘッジをしにいく訳だ。
また、ブラインドバスケットってのがあって、これは顧客は銘柄名をブラインド(隠して)にして、その各銘柄の基本データ(平均の出来高だのベータだのってな感じのデータ)のみを証券会社に渡し、「このブラインド全部で100銘柄、総額300億円、さて手数料ハウマッチ?」と聞かれ、自己は行けると思えば、「売りなら10BP、買いなら12BP」と返事をする。
当然大手にはその銘柄解析システムがあるから、基本データを入れて銘柄を弾き出し、現状の自己のポジション状況を見ながら売りならナンボ、買いならナンボってな手数料を出すわけだ。これらの玉は当然いずれ場に出てくる。

この顧客の受けてのブックは、いわゆる『決め商い』なんてのもやる。これは投資家が「ソニー10万買いたい」と昼休みに言ってきたりするのに対して、いくら、と値段を出すことを言う。これも大体はコンペで、顧客は当然一番値段の良い所と約定する訳だ。これは海外でも結構盛んであるね。

統計によると自己売買は昨年で約300兆あるそうで、その内訳はざっと上述のような感じになる。
コメント欄で書かれていたけれど、東証の統計の自己売買には一部顧客のポジションも入っている、と言うのは、決め商い、バスケットなんかは、それを自己が処分するまでは顧客のポジションをそのまま移管しただけだから、そういう事も言えると思う。また外資系が盛んにやっているプライムブローカレージ業務(決済から貸し株から何から一括してやってあげますよ、と言う業務だが、説明すると長いのでそんな感じで理解して置いてください)をやっていれば、顧客の名前は表に出ないであたかもその証券会社の商いのように見えるから、これが統計上何処へ行くのかは調べないと分からないが、これなんかももし自己に入るとすれば、それは実は顧客のポジションである、とも言える。

つまり証券マンがベッタリと相場に張り付いて1かい2やりをずーっとやっているだけが自己売買ではないってことをまず今回はご理解して頂きたい。



素晴らしいコメントです!

2006-02-01 07:55:00 | ライブドア問題
昨日の拙BLOGのコメント欄をご覧頂きたいが、アマポーラさまのコメントである。
彼(OR彼女?)がリンクして下さった、東証のデータをプリントアウトして本日帰りの電車の中でじっくり検討させて頂いたが、それをすればするほどにこのコメントの秀逸さ及びその守備範囲の広さに舌を巻くのである。

彼は日経平均があのライブドアショックにて暴落した週の投資部門別の売買状況(東証のデータ)を示して下さり、そこにマスコミの報道とのきちんとした対比を示してくださったのである。

思い出してみよう、あのライブドアに地検の捜査が入ったのが1月16日(月)。今調べた当日の報道によれば、NHKが午後のニュースでそれを配信した。
当然日経平均はその日から大崩れ、16,17,18日の3日間のチャートを見ればいわゆる「三兵」って感じの非常に悪いチャートになっている。
13日(金)の終値から18日の終値まで1000円以上の下落となったことは記憶に新しい。
さらにその3日の間にあのマネックスが突然担保掛目をゼロにするだの、さらに東証のシステムの危脆さなんかが表ざたになって、まあ大変な3日間だったわけだ。
我々自身はこの下げはあくまでもライブドア事件がきっかけになった、っと見ていたのだが、マスコミがここぞとばかり世論を煽って、結局海外で言われていたような「一つの個別問題」として終わらなくなってしまった訳だ。

その際のマスコミ、特に証券関係者の話として散々流れたのが、
『個人は追証で大変で、さらにライブドア関連の担保掛目が一部の証券会社でゼロになったことにより、とにかく成り行きで売らざるを得なくなっている』
と書きまくった。
つまりこの下げの主体は完全に個人投資家で、特にライブドア株を売買している大半が個人投資家であるがゆえに、その狼狽売りが相場を徹底的に下げた、と言う感じの書き方であったことも記憶に新しいでしょう。

しかしながらそこへ厳然たる反証、それもあの東証のデータをきちんと引っさげて登場してくださったのが、コメント欄のアマポーラさまであるね。
実は私も今振り返れば、あの3日間は個人の狼狽売りだと思っていた(汗)。
しかしながらあの後、あのフィデりティーの話が出て、さらに軒並み証券系ファンドが「大体売った」みたいな記事を先日拙BLOGに載せたが、あの辺りから、あれあれ??と思い始めていたのだね(と言い訳をしてみる)。

さて前置き及び引っ張りすぎた感があるが、その資料、ある程度の知識のある方は是非ご覧頂きたい。一応ここで簡単に説明しよう。

1月16日~1月20日の5営業日での各投資家の売り買い状況の統計を取ったのがこの資料である。

総計で、売りが15兆3240億、買いが15兆2370億あって、差し引きで売りの方が870億円多かった。つまり売りが多かったから基本相場が下がったわけだ。
さてその総計の内訳が以下出てくる。
大きくこれは2つに分かれて、1つは「自己」、もう1つは「委託」注文である。
ここで自己、ってのはいわゆる自己勘定、証券会社の自己のお金の運用資金、委託と言うのは証券会社に注文を出してくる人たち全てを言う。
自己~売り越し5999億、委託~買い越し5129億であったのだ。
つまりこの週にもっとも売ったのは、なんと証券会社の自己売買部門であった訳だ。

さらにこの委託の中味を分けると、法人、個人、外人、証券会社、に分かれる。
法人~買い越し163億
個人~買い越し4225億
外人~買い越し521億
証券~買い越し219億
つまり委託全体では買い越しだったけれどその中でも個人が1桁多く買い越しているのだね。

またこの法人の中味を分けると、投信、事業法人、その他法人、金融機関となる。
投信~買い越し502億
事法~買い越し725億
他 ~買い越し112億
金融~売り越し1177億
法人全体では買い越しだったけど、その中で唯一売っているのがなんと金融機関、彼らの売りを投信やら事法、その他金融が買っていたように見える。
金融機関とはあなたの地元の銀行も信用金庫もみ~んな入ってるよ。

ちなみにこの金融機関の中味は、生損保、都長銀・地銀等、信託銀行、その他、に分かれるのであるが・・
生損保~買い越し30億
都長地銀~買い越し316億
信託~売り越し1747億
その他~買い越し223億
と、唯一信託銀行が大幅な売り越しとなっている。信託とはなんぞや??言わずと知れた、例えば年金であるね・・

ちなみにその前週に売り越したのも自己、そして法人、法人の中味は金融機関、そしてその中味は生損保と信託であった。

さんざんぱらあの週のマーケットの下げは個人の狼狽ってことで現在は片付いているけれど実はとんでもない!
売って売って売りまくっていたのは、自己勘定と信託銀行であったのである。
個人は基本ずっと買っていたのが現実なのである。

良いですか、これが本当の姿なのです。
いかに事実がゆがめられて伝わっているか、この件を見ただけでもぞっとしませんか?
私は正直この資料をつぶさに見るにつけ、ほんとにぞっとしました・・・

この事実をどう受け止めるかはもちろん個人の自由であるが、是非世の中にインパクトを与えられる方がここをご覧になっていらっしゃったら、世の中に本当の事実を教えてあげてください。

確かにあの週を一つの塊と見れば、ライブドアの他にあの東証システムの問題があたので、遠い将来にそこを振り返れば「いやぁ、あの時はライブドアは個別問題だったけど、やっぱり東証のシステムの問題があったからさ、ファンドマネージャーの俺としてはどうしても売らざるを得なくてさぁ」ってなコメントが出ようと思う。そしてそれは未来においてその時を検証してみれば間違いではないかもしれない。
だからこそこの我々の記憶の新しいうちに、事実をきちっと刻んでおかねばならないと思う。

考えてみれば、そして私も何度か吼えたように、東証のシステムに関する世の中の報道はどれもソフトであったよね。みんな東証を責めるよりも、東証のシステムが混乱したのもライブドアのお陰じゃ!って論調だったよね?
しっかりと覚えておこうね。

PS
アマポーラさま、重ね重ね、有難うございました!!

東証手口非公表はやっぱり問題だろうって

2006-01-31 06:15:14 | ライブドア問題
拙日記にて先ほど触れてきたが、この東証の手口非公表が結構色々な問題の諸悪の根源である、と私は常々思っている。
今日の朝日の記事、拙日記でも触れたがあのライブドアが現在のライブドアオートを買収する際に、公表はその発表日の引け後だったにも関わらずその日の出来高は前日までの10倍以上に膨れ上がっており、東証が自ら証券取引等監視委員会に調査を依頼した、と言う記事である。
これなんぞは東証が手口を公表していればもっと話が身近にそしてストレートに我々の知るところとなった気がする。
もちろん拙日記で触れたように、仮に私がライブドアオートの株式を色々と操作出来る立場にあったなら、決して系列証券会社を使ってそのようなデリケートな日に売り買いなんぞしなかったとは思うし、きっとそれが事実であればその担当者は例えばライブドア証券を使って派手にオート株の売り買いなぞはしていないだろう。
しかしながらもしかしたらそんなことはもっと簡単に万人の知るところとなっていたかも知れないであろう事は容易に想像が付く。

ちなみに「東証 手口非公開」でググッてみると、当BLOGがいくつかヒットするわけであるが(笑)、もう一度その簡単な歴史を調べてみたら以下のようなことが分かったのでここに記しておこう。

手口情報を巡る主な動き  
1990年    株価の急落局面で先物悪玉論が台頭
1991年03月 東証、立会場事務合理化システムが稼働(全銘柄の手口情報を配信開始)
1992年02月 大証、株価指数先物の日通し手口を開示
1999年04月 東証、立会場を閉鎖
2002年12月 東証取引参加者のワーキングパーティーで手口問題を議論
2003年02月 東証、市場運営委員会で手口非開示の方針を決定
2003年06月 東証、手口情報の配信を終了

ちなみに手口非公表に当たっては様々な意見があったのだが、その時の様子が以下のNIKKEI BPから伝わってくる。(ちょっと長いよ)

『株式売買手口の情報を巡り割れる証券業界 2002年7月10日

東京証券取引所の株式売買手口の情報公開を巡って証券界が割れている。インターネット専業のDLJディレクトSFG証券(東京都千代田区)が完全公開を求めているのに対し、投資信託会社は完全非公開を主張。現状維持を求める証券会社もあり、議論は混迷している。

売買手口とは、どの証券会社がどの銘柄にいつ、どれだけの売買注文を出したかを示す情報。証券会社は東証の売買端末を操作すると、取引時間中にこれらの情報を見ることができる。売買手口は東証の取引参加者である証券会社の取り決めで、証券会社しか利用できないことになっている。

だが、この取り決めは形骸化している。売買を取り次ぐ証券会社の担当者が、大口顧客である機関投資家の求めに応じて手口を伝えるのは当たり前のことになっている。そればかりか、市場の情報提供会社は証券会社から入手した売買手口を有料で提供している。

DLJは売買手口が公開されなければ、「機関投資家と個人投資家の情報格差はなくならない」(國重惇史社長)として、完全公開を求めて譲らない。 機関投資家のような特定顧客を持たないDLJにとって、情報格差の存在は個人投資家の裾野を広げるうえで不利に働く。そこでDLJは6月から、情報提供会社フィスコ(東京都文京区)に依頼して、ネットを通じて取引時間中と取引終了後にまとめた一部銘柄の手口を有料で提供し始めた。

しかし証券界には、売買手口が個人投資家に「悪用」されて株価形成の撹乱要因となるという反対論が根強い。

野村アセットマネジメント(東京都中央区)など投資信託会社9社は6月、東証に対して、証券会社への手口公開も取りやめ、完全非公開を求める意見書を出した。売買手口が公開されると市場の撹乱要因が増え、売買コストの上昇につながる恐れがあると主張する。

例えば、機関投資家から売買高の少ない銘柄を大量に買いたいという注文を受けた証券会社は、株価変動を抑えるために長い時間をかけて注文を市場でさばかなければならない。ところが手口を見て特定の証券会社が特定の銘柄に継続的な買いを入れていることが分かると、個人投資家が高い値段で売り買いを繰り返して株価を吊り上げることも可能になる。そうなると、機関投資家は高い価格で株式を買わなければならず、売買コストに跳ね返るというわけだ。市場関係者によると、こうした行為が頻発しているという。

東証は業界内の議論だけでは、結論が出ないとして、今夏に機関投資家を対象にヒアリングを実施する計画だ。「情報格差をなくすためには、売買手口を完全公開にするか、完全非公開にするかのどちらかにしたい」(株式部)という。

しかし、現実には売買手口は証券会社を通じて広まっている。今さらそれを完全非公開にできるとは考えにくい。実際、完全非公開を求める投信会社に対して、大手証券会社の間からも疑問の声が上がっている。

出来高の少ない銘柄を市場で売ろうとした場合、買い手がいなければ売るのは難しい。売買手口が完全非公開になれば、いちいち買い手を見つけ出さなければならず、結果的に市場に特定の銘柄を売るという手の内をさらけ出すことになる。そうなれば、かえって売買コストが上がることもあり得る。

手口が分かれば、売りたい銘柄を買っている証券会社に直接売買を持ちかけることによって市場外で取引を成立させることが可能になる。その結果、「売買コストを抑えることができる」(準大手証券会社)。

売買手口を完全非公開とすることはもはや現実的でない。であれば、必要な議論はどういうルールで情報を公開するかということになるはずだ。市場関係者の間では「東証は情報を公表する代わりに情報料の収入を見込んでいるのではないか」という見方もある。東証がどの程度の情報料で公開することがいいのかという議論も必要だ。この問題は3年以上も議論されてきた。結論を急ぐべきだ。』
~~~~~

このような議論を経て結局2003年6月に東証は手口の非公開化に踏み切ったわけであるが、果たしてこの議論なり証券界(特に機関投資家やら投信)のなんて自分勝手な言い草よ!
自分の業界ながら改めてあきれ返ってしまったわい。
特に太字で書いた部分ね。
ここまで個人投資家がしっかりと市場に入ってきた時代にこんな議論がつい数年前にあったなんてことを振り返ると、冷や汗もんだね、証券界と東証の判断は。
このエゴは一体何なんだろう、って思う。

まあとにかくこのような議論を経て東証が踏み切ったわけであるが、それにしても例えば私がずっと書いてきているMSCBの発行に絡んだ、なんとも言えないグレーな株価の動きやら、或いは普通のファイナンスに絡んでの、値決め前の不可解な株価の動きやらがまだまだ散見される市場であることは事実で、これなんかは上述したように決して手口の公開だけで分かるような問題では無いかもしれないけれど、手口が公開されれば何らかの市場参加者の監視の目が光るわけで、きちんとしたバッファーになるのではないか。
今の世の中、ネットでの情報がとにかく早いわけであるが、これは取りも直さず参加者がほぼ無限大であることに起因するわけで、何かおかしな動きがあればこんなのはすぐにネットで話題になるだろうから、とにかく手っ取り早い。
プラス、この記事でDLJの社長さんがおっしゃっているように、投資機会と言うのはそれが一日何千万と言う手数料を業者に落とす投資家であろうが、ネット経由のミニ株投資家であろうが、平等でなければ本物ではないだろう。

例えば出来高の薄い銘柄に関しては、外人や大手機関投資家などは「出来高シバリ」的なオーダーを置いてくることが多い。
日頃10万株しか出来ない株式へのオーダーがトータルで100万株あれば、その投資家は「出来高の1/3まで」と言う様な置き方を言うが、それを受けている以上は、証券界も機関投資家のコストアップに繋がるなんて寝ぼけたことを言える時代では無いだろう。

特に昨年2月から始まった一連のライブドアに絡む動きでは、もしも手口が公表されていればかなりの部分がガラス張りになって、それなりに非合法的なやり方は未然に防げたかもしれない、或いは反対にそれらをさらにすり抜けるためにもっともっと複雑怪奇になっていた可能性もあるだろうが。

しかしながらこの手口の公表ってのは隠すような情報でも何でも無いと思うし、それが公表されていた頃は逆に我々自身それを積極的に使っていた覚えは実は無い。
たまに何かが取り沙汰されたらそれをチェックしてみる、とか、或いは一部それを気にしている投資家が居たのは事実ではあるが、その情報を元に大金が稼げるような情報では無いと個人的には思っている。まあ知的好奇心やら、やたらと勝手な妄想や憶測を膨らませるのには絶好のアイテムではあるがね。

言って見れば、プロ野球の結果が報道されて「○○ VS XX は、3対2で○○の勝ち」って時に、両チームのピッチャーやら誰が勝利打点を打ったかなんてのが全く報道されないのと同じで、結果は事実だけれどその中味が知らされない、その両チームなんて全く関係ない人にはあっても無くてもどうでも良いけれど、その両チームのどちらかを応援している人には欠かせない情報、って感じだろうか。

そんなもん、別に非公開にして、さらなる疑心暗鬼な憶測を呼んでそれで株価が動いちゃうとしたら、そんなバカバカしいことは無くて、全く持って本末転倒であることをご理解頂けようか?
これからも声を大にして言って行こう、手口を速やかに公開せよ、ってね。



ライブドア株を組み入れていたファンドの開示姿勢

2006-01-28 23:47:04 | ライブドア問題
昨日はBLOGはサボってしまったが、今日土曜日何もすることが無いのでのんびりと見付けた記事に関して書こう。

何度かBLOGなり拙日記にて触れていたけど「世界的規模のファンド」。
ついにある情報ベンダーがファンドがどの程度ライブドア等を組み入れていたのかに関する記事を出した。
恐らくベンダーオリジナルな記事なので、世の中全体には出回っていないと思われるのでここで勝手に紹介してしまおう。

『ライブドア株が16日と比べて80%値下がりし、新興市場全体も大きく下げた結果、ライブドア株を多く組み入れていたとみられる「JF中小型株オープン」が17日、18日、23日に各5%超値下がりするなど、小型株投信の基準価額も大きな打撃を受けた。HP上で基準価額の下落要因を説明する投信会社はみられたが、ライブドア株という個別銘柄の保有に関する情報はなかなか開示されなかった。

<小型株投信が多数組み入れ-フィデリティやJPモルガン>

ライブドアは昨年末の時価総額が7711億円と東証マザーズ全体の1割強を占め株式の流動性も高かったことから、小型株を投資対象とした投資信託などが組み入れていた。なかでも昨年末時点で発行済み株式の6.88%にあたる7218万9537株を保有していたフィデリティ投信の動向が注目されている。
同社は昨年7月末までにライブドア株をそれまでの5.13%から9.14%まで買い増しした。株価は11月から上昇基調となり、12月末には7月末より5割高くなったが、その12月末までに売却を進め、保有比率を6.88%まで引き下げた。ライブドア株が組み入れ上位10位以内のファンドは「フィデリティ・日本小型株・マザーファンド」、「フィデリティ・日本バリュー・マザーファンド」。
フィデリティ投信は17日にライブドア株の保有状況を開示。さらに24日にはコメントを公表。ライブドアグループは経営陣の逮捕でブランドイメージが大きく損なわれたことを考えると、今後の事業展開に深刻な影響が出る可能性は否定できない。上場廃止の可能性も含め予断を許さない状況で、今後の展開を注意深く見守り、必要な対応を迅速に取る、としている。
JPモルガン・フレミング・アセット・マネジメント・ジャパンも昨年末までに発行済み株式比でそれまでの5.66%から6.86%まで買い増しした。昨年11月末時点でライブドア株を組み入れ1位としているのは「JF中小型株オープン」。

<野村やメリルなども保有表明>
フランクリン・テンプルトン・インベストメンツは2本のファンドでファンドの純資産総額の0.36%程度保有していると18日に表明。野村アセットマネジメントは20日に「ライジング・ジャパン・オープン」などで保有していると公表。興銀第一ライフ・アセットマネジメントは24日に、「DIAM成長株オープン」など6ファンドで保有していると発表。メリルリンチ・インベストメント・マネジャーズも24日に「メリルリンチ日本株式オープン」など3本で保有していると公表した。
フィデリティやJPモルガンを含めたこれらの会社から、その後の対応についての発表はない。モーニングスターの朝倉智也代表取締役COOはフィデリティ投信について、「ライブドア保有に関する情報の開示を求めたが、開示は従来通りと突っぱねられた。個人投資家に対する説明責任を果たしていない」と痛烈に批判。
前日に行われた同社の「ファンドオブ ザ イヤー 2005」の受賞ファンドに運用成績面からフィデリティ投信のファンドがノミネートされたものの、同社の真摯でない対応が受賞に値しないと判断し、外した。

<すでに全株売却-大和、三菱UFJなど>
ライブドア株は17日以降ストップ安(制限値幅いっぱいの下落)比例配分(午後2時40分で全銘柄の売買が停止された18日は気配値のまま終了)が続いていたが、25日は7営業日ぶりに全株一致で売買が成立。当日の売買高は4億2160万株に膨らんだ。この日ようやくまとまった株数を処分する機会があったといえ、その後売却したと発表する投信会社が出てきた。
24日に計10本の投資信託でライブドアを保有していると発表した三菱UFJ投信は、25日に155円で全株を売却したと26日に公表。大和証券投資信託委託も25日、計6ファンドで保有していた全株式を売却したと発表した。新光投信は「ジャスダックオープン」など4本で保有していると24日に公表した後、27日に全株式を25日までに売却したことを明らかにした。
ライブドア問題が起きてからの公表はしていないが、月次レポートなどから保有が推測されるファンドもある。昨年末時点でSBIアセットマネジメントの「ニュージャパン・インデックス・ファンド」が組み入れ比率0.65%、MFSインベストメント・マネジメントも「MFS日本株ファンド」で組み入れ比率5位にしていた。コメルツ投信の「レオス日本成長株ファンド」も17日時点で1.59%組み入れていた。
半面、保有していないことを表明したのは国際投信投資顧問、朝日ライフアセットマネジメント、三井住友アセットマネジメント、第一勧業アセットマネジメント、日本投信委託、東京海上アセットマネジメント、富士投信投資顧問、安田投信投資顧問など。
各社の情報開示姿勢はまちまち。いち早く保有していると開示した会社、保有の事実を売却してから公表した会社、さらに保有の有無すら開示しない投信会社も多い。日本中の注目を集めて急落したライブドア株が自分の保有する投資信託に組み入れられているかどうか、個人投資家が知る必要はないという考えのようだ。』

しかし良く調べてあるなぁ、と。
本来の報道のあり方と言うのを考えた場合、堀江氏がどうしたとか広報の女性がどうしたとか、なんてのは、まあ多少の興味本位はあって良いと思うが、本当に知りたい情報ってのはこうあるべきだろうと思う。

これだけ個人投資家動向が注目を集めているわけで、当然直接株式投資を行わないまでも、ファンドを買っている人間は相当数増えているはずだから、この手の報道がもっとなされてしかるべきだろうね。

投信各社もインデックスと言う指標を考えた場合、ライブドア株を組み入れざるを得なかった事は十分理解出来るので、単に各社のファンドが組み入れていたからと言ってそれを非難の対象には出来ない。
また各社の開示姿勢をこの報道は問題にしているようだが、基本従来どおりの開示しか出来ないとしても、それも仕方の無いことのように思う。つまりこの問題は、やはり市場にとっては個別問題だ、と言う事である。
社会的にはあれだけ世間を騒がせてきたヒストリーのある会社だから、まあ大きな社会問題として取り上げるのは構わない。もちろん大半がどうでも良い事柄を大きく見せたり、まことしやかな方々がどうでも良いことを述べたりしているだけであるが、市場はライブドア問題は個別としてとっとと切り離して行くべきだろう。
しかしながら東証なんかがどうも世間に迎合しようとして、根幹があのような態度をとっているから話が終わらない。

モーニングスターの方がフィデりティの姿勢を批判しているようだが、でもこれは少々お門違いな気がするなぁ。
ファンドってのは、その売りがどうであれ、とにかくパフォーマンスが良ければいいのであるね。全体のパフォーマンスを考えた場合、ファンドの中味にライブドアが入っていようが無かろうが、我々がガミガミ言うことでは無いだろう。
パフォーマンスが良ければみんな買うし、悪ければ買わない。
各社とも下手にライブドアの組み入れていたからパフォーマンスが悪化しましたぁ・・・なんて言えないでしょうが、だってみんなプロなんだから。仮にファンドのパフォーマンス説明で、ライブドアのためにそれまで良かったパフォーマンスが一気に悪化して皆様にご迷惑を掛けております、なんてのがあったら私は同じ同業のプロとしては軽蔑するね。
市場は常に様々なリスクに覆われていて、そしてそれらを最小限に抑えながら最大限のゲインを取って行くのが彼らの仕事なのだから、それを1銘柄のせいにするような人は居ないはずだろう。
だからライブドア株に関するファンドの開示姿勢で世間が騒ぐ必要は無いし、ただ上記のような事実を淡々と述べてくれればそれで良いのであろうと思う。

だからSBI系のファンドも保有していたようだ、と言う記事を見ても、私は(本当はちょっと笑いたいのだけれど)笑わないぞ、だって個別問題だし(笑)。


Brand Premium(拙日記と同じお題だけど・・・)

2006-01-27 09:14:24 | ライブドア問題
拙日記にざっくりしたことは書いたが、本日のヨーロッパ(恐らくアメリカもそうだろうけど)はもう「SONY・SONY・SONY!」一色であった。
第3Qの決算(引け後に発表)が想像以上の好決算で、一気に盛り上がった。

ざっくり書くと、通期の営業損益を200億円の赤字から一気に1200億円の黒字へ上方修正、中味をざっと見てみると、ソニー生命の運用益が500億、PSPが結構好調を維持して100億、あとはエレクトロニクスが良くなって700億、と言った内容だ。
またエレキの部分700億のうち、為替の円安分が300億、Bravia(液晶テレビね)が200億、後はVaio、半導体のところで200億、と言った感じだそうで。

とにかく目玉はこの液晶テレビ「Bravia」。もちろんテレビ自体はまだ赤字のようだがこれが売れているそうで。
アナリスト氏曰く、テレビに関しては「プラズマの松下、液晶のソニー」で勝ち組が確定した、と。
ついこの間まで液晶と言えばご存知シャープだったわけで(亀山第2工場への設備投資も話題になったのは記憶に新しい)、しかしながら氏曰く、シャープ、ビクター、パイオニア、ついでに言えば韓国のサムソンが相対的に苦しい立場に追いやられた感があると。
サムソンはプラズマ、液晶の両建てでやっているため結局2兎追うものは・・状態だそうで、シャープのアクオスも随分話題にはなっていたけれども有楽町のBカメラでは昨年のモデルの45インチが28万円と言う極めて廉価で売られており、つまりこれは自らブランドを傷つけている行為だよね、と。

またソニーの常に話題になるコンテンツ分野であるが、音楽配信に関してはこれは素人でも分かる(つまり私でも分かる)ように、アップルに完全に十八番を奪われているし、また映画も昨年はパッとしたものが無かったのだが、ただ映画に関してはご存知「ダヴィンチコード(トムハンクス)が決まっているようで、これはスパイダーマンのように老いも若きもに受けるものでは無いだろうが、まあそれなりのヒットが見込める、と。

さて、日記にも書いたけど私が毎朝必ず電話で今日の相場概況をお伝えさせて頂いてる氏は、もうハイテク系に関してはそんじょそこらのアナリストも全く歯が立たないくらいの知識の持ち主。当然ソニーなんかは氏のもっとも得意とする会社であるのだが、電話での氏の開口一番は「ソニーにCongratulations!のメールを送った」と言うものだった。
ソニーのトップの外人さんとは近々に1対1の面談をするそうで(汗)、私なんかもう相場概況を話すどころか反対にいつもご意見を伺っている始末なのである。。

氏さらに曰く「ソニーのコンテンツのところの資産価値をきちんと計算してくれる人が誰も居ない。その部分をどう見るかってかなり重要である。また今回の件でのこのBrand Premiumをどの程度に算出するかによって、今後ソニーをどこまで買えるのか、或いはどこで売りなのか、と言う結論が出る」と。ははぁ~~、と言う感じであるなぁ。
ちなみにアナリスト氏にもそれをぶつけてみたけれど、「コンテンツのところの資産価値計算ってほんと難しくてね・・・」であった。

前にもちょろっと書いたけれどこの投資家氏の持論は「これからの日本に残るのはコンテンツ、ソフトの部分」であるので、今後の様々な投資対象を考えるに当たってはこの辺の価値計算と言うのが非常に重要になることは論を待たない。
しかしながらこの手のモノはその前提の置き場所によって結果がどっす~んと違ってくるであろうことは簡単に想像出来る。
またいくら音楽がPCにダウンロード出来ようが、動画やテレビ番組が簡単に録画出来ようが、やっぱり欲しい人はそれでも音楽CDなり映画のDVDを買うだろうし、ってことでそうなるとソフト部分に伴う価値観ってのも杓子定規で計れないのは分かる。
しかしながらこの辺の価値観を一定の算式にして計算出来るとしたら、その辺は今現在も株式市場で使われているPERやPBR、果てはEV/EBITDAとかに匹敵する尺度にもなるかも知れないので、もし考えた人が居たら私に一報入れるように(笑)。

さて、長々とソニー復活の日に関して書いたが、やはりここで関連付けて書きたいのが、ライブドアなんだよな、しつこいけど。
このブランドプレミアム、これをどう見るか、どう育てるか、ってのが企業にとっても外部の我々にとっても非常に重要であることが認識できた日であったのだね、今日は。
ソニーのブランドなんてもちろん一朝一夕に確立されたものでは無くて、一時期はソニー製品以外は雑魚、的な論調があって、その後その神話が崩れて今日まで来て、そして再び復活した、と言う言ってみれば紆余曲折を経ている訳で、それなりの時間と企業側の努力がそれを築いているわけだ。

現在の大手企業のIRチーム(Investor's Relation)の重要な仕事にはどうも、如何に各証券会社のアナリストに自社のきちんとしたレポートを書かせるか、と言うのがあるようで、当然アナリストの評価が良ければその会社の株価に影響があるわけだから、その辺を非常に意識しているようだ。ソニーも例外では無いようで、ロンドンにもIR室を置いており、常時投資家サイドとソニーをつなぐ役割を果たしている。
ソニー自身の長い低迷期、このIRチームの努力は尋常では無かったはずで、それに加えて本体の努力の結果、今日という復活の日を迎えた訳である。

新興企業に関して個人的な意見を言えば、やはりこのIRに対する取り組みが遅れていることが挙げられると思う。海外でプレゼンテーションを行えばそれなりの費用もかかるし、また海外IRってのは継続的にやらないとなかなか投資家の認知を得られないのだね。頭の固そうな老舗企業なんてのが結構地道にそれをやっていたりして、その辺に差を感じたりすることが多い。

実は私は手前味噌かもしれないけど、あのライブの一件が出るほんと数日前にふと、ライブドアの海外IRなんてのを提案したら面白いかもなぁ、なんて話を同僚にしたら「でもホリエモン、国内の○○とか言ってプレゼンやってたみたいですよ」って話を聞いた。
また彼自身が良くも悪くも広告塔となってあの会社の認知を一気に高めたのは紛れも無い事実で、やはり彼は彼なりに「ライブドア」ブランドのプレミアムアップに尽力していたのだろうな、と思う。
結果的に、と言うか、或いは彼がメディアに頻繁に出始めた頃から、ライブドアのブランドイメージはどっちかって言うと悪いほうに傾いていった気がするのだが、現在取り沙汰されているフジテレビによる買収とか、或いは外資による買収が起こった場合、果たしてライブドアの名前を存続されるのかどうかに私は非常に興味がある。
マイナスプレミアムを負っているけれど、認知度は高い。
マイナスを消したいから、認知度を諦める。
この選択になろうけど、でもフジなんかバッチリ広告代理店が付いているだろうから、ライブドアのマイナスプレミアムをプラスに転化出来たら、私は誉めてやっても良いかな、なんて偉そうなことを考えているのだかね。

古畑任三郎 ライブドアショックの謎をとく??

2006-01-26 03:40:13 | ライブドア問題
そういえば数年前に日本経済がガタガタしていた時に流行ったのが、
『日本経済クエスト』。
これはドラクエを模したもので、ドラクエを知らないと全く面白くないかも知れないが、知っているとかなり面白いモノであった。ちなみに私がPCを覚えたての頃、楽しくて仕方が無かった時に作成したHPがあるのだが(汗)、そこにこれを載せてあったので、ここにリンクをしておく。
こちらのページの一番下の「日本経済クエスト」からお入りいただくとそれが読めるので、気になる方はどうぞ(笑)。

さて、それと同様に出回っている(だろうと想像されるが)のが、この古畑~シリーズのようで、誰が原作か分からないのでもしも何か言われたら削除すると言うのを前提にここに転記させていただこう。

『古畑任三郎 ライブドアショックの謎を解く』

え~~~古畑です。今回の事件はあのマネックスの松本氏がGSの手先となって市場操作したという疑惑についてです~~
すでに明らかになっているように、ライブドアの証券取引法違反が発覚した翌日、前場まではそれほどライブドアショックの影響は無く、前場を終えた段階では+引けでした~~。と・こ・ろ・が・です。なんとマネックスが~

え~~~非常に由々しき問題なのですが、なんと場中にもかかわらずLD関連銘柄すべての信用の掛け目をいきなり0%にしてしまったそうです~~~。証券関係者の話ではこの決定はどう考えてもおかしいという意見ばかりのようですが~~え~~とにかくそんなバカのことをやってしまったものですから`~追証を払えない投資家が続出して、株を現金化する動きが活発になり~え~後場に入ると日経平均は暴落し、大引けには400円以上値下がりして取引を終えました~~。

ここで疑問が2つあります~~~。

ひとつはな・ぜ・マネックスはこんな非常識なことをしたのでしょうか~~という点ですが~~え~~~松本氏は早期に投資家に注意喚起する目的だったと(笑)~~言っています~しかしこれは注意喚起というよりも、追証を納めろ、できなければ持ち株を売れ!といっているに等しいんですねハイ~当然多くの投資家はとりあえず持ち株を売ることにしたんです~~。

もうひとつの疑問は、掛け目をいきなり0%にしたことによって、日経平均が400円以上も値下がりするほど大きな影響力が果たしてあるだろうかという点です~~。これについては松本氏自らいい情報を提供してくれています~~。
かれのblogです~~~。1月18日つまり掛け目を0に変更した日の翌日ですが~~松本氏はGS系ヘッジファンドのJM氏と面会したと書いているんです~~。GSといえば、松本氏も過去に務めていたことがある証券会社ですが~~JM氏は米在住で、めったに日本にヘ来ないそうです~~。何のために、松本氏と面会していたんでしょうか~~。

そうです~これが今回の事件を紐解く最大のポイントでした~~。まずこれが、今泉君に調べてもらった、1月16日の日経先物プットの手口情報です~~。これによれば、GSは16日にプットを6000枚仕込んでいます~~。プットのみを~~売りだけですハイ。

さらに~証券関係者の証言から、1月17日の後場、掛け目を0にしてからすぐに、外資系ヘッジファンドからの猛烈な空売りが観測されています~~。まるで、掛け目を0にするのを知っていたかのようなタイミングです~~。追証に伴う投売りと、他の証券会社も追従するかもという連想売り、さらに外資の空売りと、ライブドア関連銘柄のストップ安が、この市場操作には必要十分な条件でした~~。すべてが同時に起こってはじめて大きな利益になると~~考えたのでしょう。外資とグルになって、混乱に乗じて個人投資家を食い物にした仕業、許されるものではありませ~ん。

ただしこの犯罪において、松本氏は掛け目を0にしただけです~これでは不法行為に問えませ~ん。しかも、掛け目を0にしたことと値動きとの因果関係を証明できませ~んから、松本氏は疑われても決して逮捕されない立場がはじめから約束されています~~。

わたしはこれほど完璧な証券取引法違反を知りませ~ん。

以上 古畑任三朗でした

~~~~~~~~~~~~~

と言うモノである。
私は正直この話の真偽はどうでも良い。どうでも良いと言うのはここで古畑氏(?)が言っているように、これらの因果関係は全く証明することが出来ず、ゆえに事の真偽は関係者のみぞ知る、と言う事でこれをどうこう議論しても仕方が無いのであるね。
私がここで言いたいのは拙日記で先ほど書いたように、機動性なのである。
仮にGSがその情報を活用してPUTを6000枚自己で仕込みに行ったとしたら・・
このような機動的な運用は日本の少なくとも機関投資家には馴染みが薄いはずだ。即断即決の慣行が無い。
外資系ってのはボトムアップであろうがトップダウンであろうが、そこにきっちりとした論理があればすぐに動けるのだろうと思う。
そしてそれを我々には馴染みが無いので「ハゲタカ」呼ばわりしてしまうのだろうと思う。そしてそれをアングロサクソン流と言う事で片付けてしまう。

確かに一般事業会社の例えば設備投資に関してはそれなりの時間が必要であろうと思うけれど、こと金融の世界においては即断出来なければ置いていかれる。なんたって市場は24時間必ず世界のどこかで開いているわけで、そこにグローバルに展開出来る企業がこれからも生き残っていくのだろう。
東京の仇をロンドンで打って、そしてニューヨークでさらなる追い討ちを掛ける、くらいの考えがないとならないのかな、これからは。
東京での仇を次に東京が開くまで待っていたのでは話にならないのがこの世界な気がする。
もちろんこれが良いか悪いかは別問題であるけれど。

例えば今日の東証、明日からはライブドア株の立会時間を1時間にして、しかも自己売買の禁止(つまり証券会社は顧客からの注文の取次ぎのみ)、さらには買い付け代金は即日入金、と言う異例尽くめのアクションを決めた。
言い分は常に同じで「ライブドアの影響でシステムに云々かんぬん」
結局全て後追いなんだよね。
そこに機動性を売りにしている外資系やら外人投資家は「ふざけんな」って思っているはずで、そうして徐々に彼らのマネーが逃げて行って・・・なんて構図が考えられる訳ですな。

そう考えると日本ってのは本当にアジアの1国に成り下がってしまったように感じるのが寂しい。
このライブドア問題で我々が今後学ぶことはとてもたくさんある気がするけれど、こと前向きな考え方を推し進めていかないと必ず日本は置いていかれる。
それでなくてもこの間書いたように既に日本のハード部門ってのはほとんど外に出て行っちゃっている。残るはソフト部門、コンテンツ部門であろうことは論を待たない。ライブドアはやり方は結局違法であったわけだけど、でも会社はきちんと残っているし個人的には償いをしながらもその特色を生かして存続していくことを希望している。
いつまでもホリエモンがどうのこうのではなくて、ここで少し考え方を前進させようではないか。
アナリストがこの間言ってた一言を思い出す。
「ライブドアって会社はマーケティング力は高いんですけど、それを金にするのが下手なんですよ・・・」