地球の裏からまじめな話~頑張れ日本

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新聞記事、また斬っていいですか?

2006-02-12 02:50:24 | ライブドア問題
コメント欄にて、小株主さまが、長野智子さんのBLOGを紹介されていたので、私もこれを書いたらトラックバックしてみようと思っている。
長野さんと言えば私はどうしても「俺たちひょうきん族」に重なってしまうのだが、そうですか、朝まで何とかテレビとかにもご出演されているのですね。

直近スイスに関して書いてきたので一瞬私の中でも埋もれそうになっていた記事があったのをハタと思い出し、今日はその記事を今後も忘れないためにここに書いておきたい。

それは、読売の記事である。

『<ネット投資家、ライブドア騒動で4割が“損”>
ライブドア事件を契機とした株式市場の混乱で、インターネットで株取引をしている個人投資家の6割以上が保有株の下落に見舞われ、4割が何らかの損失を抱えたことが、読売新聞社とNTTレゾナントが共同で実施した消費者モニター調査で明らかになった。
ただ、8割強の投資家は、今まで通り株式投資を続けるとしており、株価の上昇基調を背景とした個人投資家の強気な姿勢も示された。
調査は、ライブドア事件の影響についての見方や意見を1092人に聞いた。
株式のネット取引をしている202人のうち、ライブドア事件の後に保有株が値下がりした人は、63・9%にのぼった。保有株を「売却して損をした」人は16・8%、「売却せず含み損がある」が25・7%で、ネット投資家の42・6%が“被害”を受けていた。
これらの人の損失や含み損の金額は、「10万円未満」が48・8%、これを含む「50万円未満」で9割近くを占め、「500万円以上」の人も1人いた。一方、今後の株式投資については、「投資姿勢を変えない」が80・7%を占め、「投資額を減らす」(7・4%)と「投資をやめる」(2・0%)を合わせた自粛派は1割に満たなかった。
株式投資の目的は、〈1〉資産形成(34・2%)〈2〉小遣い稼ぎ(32・2%)〈3〉趣味として(11・4%)――の順だった。昨年1年間の投資で利益を得た人は71・8%で、「500万円以上」も8人(4・0%)いた。購入した株式を売却するまでの平均期間は「1か月以内」が43・6%と多く、買った日に売る「デイトレーダー」も5・5%。
調査は今月1~2日、インターネット・アンケートサービス「gooリサーチ」に登録している消費者モニターを対象に、ネット上で実施した。』
(2006年2月7日 読売新聞)

私は調査内容に不備があるとは思えないし、アンケート自体も極めて公正に行われたものだと思うので、それらに対する不信感は無い。
しかしながら、そのアンケート結果が記事になると、こんなにも歪められちゃうの?って思ったのだが、皆さん一読されて如何ですか。

これらの結果を全て「ライブドア騒動によって」と結論付けてしまう。。仮に、このライブドア騒動とはすなわち東証のシステム混乱も入る、くらいの事をきっちりメンションしてあればまだ許そうと思うのだが、とにかく個人投資家、特にネット投資家の4割が損をしたのはライブドア事件のせいだ!ってことで片付けたいようで・・・
4割のうち、実損を出したのは16%で残りはまだ含み損の段階だし。これが今後値上がれば損は解消されちゃうし、そもそもその損がライブドア事件に直接関係のある損か否かなんて詳細は不明だし。ずっと塩漬けになってた株の含み損か、今回の下げで被った含み損か、その辺があいまい過ぎやしません?

さらにこの記事での読売の別の記事。

『新興株狙い鮮明に-ネット投資家調査
4割超が短期売買、ライブドアショック 4人に1人含み損

読売新聞社とNTTレゾナントの共同アンケート調査で、「ライブドア・ショック」が多くの個人ネット投資家に“被害”を与えたことが浮き彫りになった。投資家の4分の1が保有株に含み損を抱え、ネット投資家の多くが、事件で株価を大きく下げたIT(情報技術)関連の新興企業株に集中投資してきた実情もうかがえる。ただ、短期売買の多いネット投資家の8割が、今後も投資姿勢を変えないとしており、ライブドア事件の教訓が、どう生かされるのかは不透明だ。(尾関航也)
東京地検が1月16日に強制捜査に踏み切ったライブドア事件の影響で、東京株式市場で売りが殺到し、特にITなど新興企業の銘柄が多い東証マザーズの株価指数は1月17~18日の2日間で22・4%も下落した。
アンケート調査では、202人の個人ネット投資家のうち、事件発覚後に「値下がりした保有株を売り、損をした」という人が16・8%にのぼった。
さらに、注目されるのは、調査が行われた2月1~2日時点では、東証1部全体の値動きを示す東証株価指数(TOPIX)は事件発覚前の株価水準まで上昇していたのに、含み損がまだ残っていた投資家が25・7%もいた点だ。これは、個人投資家の多くが、事件で大きく値を下げた新興IT企業株に集中投資していることを意味する。
一般に、時価総額の小さい新興企業株は、ちょっとした取引材料で大きく株価が動き、上昇した時の利幅が大きい一方、値下がり損も大きくなる傾向がある。ネット投資家の多くは比較的リスクの高い投資行動を取っているようだ。』

ぎゃはは、「ライブドア事件の教訓が、どう生かされるのかは不透明だ」
これはそっくりそのままマスコミ諸氏にお返ししたい言葉ですなぁ、尾崎さん。
今回の下げでは既に明らかになっているように、その週の個人投資家は買い越し、売ってたのは自己勘定でしたね。その辺はまずきちんとお調べになられたのだろうか。
それに加えてこの記事で本当に恐ろしいなぁ、と感じてしまうのは、例えばここ。
「含み損がまだ残っていた投資家が25・7%もいた点だ。これは、個人投資家の多くが、事件で大きく値を下げた新興IT企業株に集中投資していることを意味する。」

おっとぉ、ちょっと待ってよ、この調査ってネット投資家はたったの202人を対象に行ったんでしょ?その25.7%ってさ、たったの52人じゃないの?その結果を持って「個人投資家の多くが~」なんて結論付けるようなことを大新聞で堂々と述べちゃって良いのか?
百歩、いや百万歩譲ってそうだとしても、新興IT企業株に集中投資することが何か??

例えば巨大なファンドだの機関投資家にはそれなりの投資クライテリアってのがあって、例えば東証1部じゃないと買えない、とか、格付けがナンボ以上じゃないと買えないとか、って言う縛りが結構ある。ゆえに彼らはなかなか新興企業の株に投資出来ないってことがまずある。そんな中で新興企業が本当に正しい形で市場で認知されるには、その企業の努力もさることながらそれを応援する、例えば個人を中心とした投資家が居て、それで企業もどんどん大きくなっていくんでしょうが。
今じゃ立派なピカピカの一部上場企業だってそういう時期があって、そして花開いていると思いません?
それをとにかくマスコミは味噌も○ソも一緒くたにして、新興IT企業はうんたらかんたら・・・
天下の大新聞がもう日本の個人投資家ほとんどから取ったかの如くのアンケート結果を振りかざし、だから言わんこっちゃ無い!ってな論調で良いのかな。

この記事って見出しだけ飛ばし読んだ人は、ほぉ~そうかぁ~って思っちゃうだろうね。
いい加減、きちんとしようよ、マスコミの方々。


3 コメント

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有意差 (通りすがり)
2006-02-12 23:27:10
視聴率とやらも地区ごとにわずか200軒のサンプルから割り出しているいるとか。それで統計学上は明確な有意差が表れるそうです。読売アンケートの202人も、それほどバカにできる数字じゃないかも?
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未熟な個人投資家 (通りすがり)
2006-02-12 23:40:01
連投ですみません。



その昔、10年以上前なら証券会社は店頭公開銘柄について「経験の浅い個人投資家には不向きです」とはっきり説明していたような…。業績が不安定とか、情報公開が不十分だとか、株価が乱高下しやすいとか、さまざまな理由で玄人向けだという共通認識があったように思えます。



それが今は、猫も杓子も新興市場のIT銘柄。若い未熟なネットトレーダーが増えたのをいいことに、証券業界は新興IT銘柄を煽っているように見えます。適当にIT銘柄の情報を出して、「あとはネットでお好きにどうぞ」と。雑誌や株初心者向けの解説本も新興銘柄を煽っている。実は10年前の店頭市場と同様にリスクの高い銘柄なのに…



読売の記事が、そんな問題意識から書かれたとすれば、私には素直に読めるのですが…?
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一言付け足し (一応)
2006-02-13 15:06:21
 視聴率調査のビデオリサーチ社はあの電通の子会社ではありませんでしたか?

 電通に都合良く出そうと思えば、出来てしまうと思います。

 こないだの紅白の歌手別の視聴率は特に都合が良すぎる数字だとネット上では言われました。

 そう言えば、公正取引委員会が出した実質3社による独占のTV広告料金を明確にするように言った事はどうなったのだろうか?

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