こども

こどもたちのスイミングスクールで、
小学高学年くらいの男の子に
突然話しかけられた。

なあなあ、
ティッシュちょうだい。
ティッシュ持ってないの？
鼻水がでる～。

ぽよんぽよんのお腹を突き出し、
うつろな目、
滑舌の悪い口調、
なんと言っても違和感を感じたのは、
とても「平気そう」だったこと。

私はその男の子と一度の面識もなければ、
話したこともない。

不快だったので
「ない。」
ときっぱり言った。
するとそれまた平気そうに私の後ろに立っていた
別の女性に同じことを尋ね、
その人は優しい人なのだろう、
手持ちはなかったにせよ
丁寧に対応してあげていた。

以前にもこんな体験をした。
体験農園で一緒になった小学生、
「すみませ～ん、トイレどこにありますか。
トイレを探しているんです。教えてください。」
と、畑のど真ん中で、
真顔で尋ねてくる。
せっぱつまった様子で。

二人とも大人に話しかけることができて
勇気がある、
というふうにも思えるけれど、
なにかが狂っているように感じた。

まっすぐにこちらを見つめるまなざし。
なんだかまっすぐすぎて、こわい感じ。
唐突なところもなんだかこわい。

恥ずかしくないのだろうか。
恥ずかしくてモゴモゴしているほうが
まだまともな気がするのは意地が悪いかしら。
小学高学年にもなって、ハナ水出たからって
知らないオバちゃんに甘えるなよ。
Tシャツかスイムタオルで適当に拭けよ。
誰も見てないところへ行って、
こっそりタチションでもしろよ。
それのほうがまだましじゃないの？

それになんとなくろれつの回らない
どこか不自然な口調。
やつら、昼間っから一杯やってるのか？

大人や自然を恐れ敬う、畏敬の念、
罪の意識を感じながらもマナーを破るこどもらしさ？
そんなものが全く感じられない。

大人も子供も、物も生き物も、
なんだかすべて同じうすっぺらな物体にしか
映っていないのではないのかな。

こんなふうに思うこと、
最近よくあるのだけど。

自分の子へはやっぱり思い入れが強いし、
また他の子を見てもかわいいなあと思うのだけど、
あの手の、
わんぱくいたずらっ子でもなければ、
繊細クラ路線でもない、
優等生でもなければグレ路線でもない、
ブニョブニョと中身も見た目も
つかみどころのないこども、
不思議な存在。

登園

園へは車で送り迎え。

園に到着すると
とたんに「違う子」みたいになる。

目の先ににあるのは
ただひとつ、
門の奥の園舎。

こちらなど
振り向きもしない。

話しかけても上の空。
車を降りた瞬間に
私の存在などきれいさっぱり忘れて
頭の中は園での生活で
いっぱいになるみたい。

吸い込まれるように
門を通り抜けていく。

園へ通い始めた最初の数日間だけだったな。
泣いたのは。

いろんなタイプのこどもたち。
下の二人は
どんな園生活を送るようになるのかな。