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宇宙の神様

2009-11-28 | 信仰
私のホームの最年長は、今年101歳になるK様という女性です。


とても声が大きく、お食事もしっかりと召上っておられます。

今は80代でもお元気な方が多いですが、やはり90歳を超えると、心身とも大きな坂

に差し掛かったような感じになります。

「老い」の進行ペースが、日に日に早くなっていくのを実感するのです。

そんな中、101歳で大きな声で喋り、三食きちんと召上るK様は、他のご入居者から

も特別の敬愛と憧れの念を抱かれておられるようです。



昨日、2階ホールでこんな光景があったそうです。

80代後半のある女性は、この二、三ヶ月でグッと食欲が落ち、ホールで車椅子に座っ

ていてもウトウトされている時間がめっきりと増えました。

もともと小柄な方ですが、背中がすっかり丸くなってズーッと目を瞑っている姿は、元気

のなくなったカタツムリを連想させます。


すぐ近くでその様子を見ていたK様は、指を差しながら、

「可哀そう、可哀そう。元気ないね。可哀そうだね…」

と、哀感のこもった口調で訴え続けました。

するとその念が通じたのでしょうか。くだんの女性が目をフト開けると、何事かを呟かれ

たそうです。

K様は、すっかり打たれたように喜ばれ、手を合わせてひときわ大きな声で、

「ああ、ありがたい!宇宙の神様!ああ、ありがたい!」

と、拝み始めました。

K様の視線と念の先にあったのは…、ホールの換気扇だったのです。

つまり、三菱か日立かパナソニック製かは判りませんが、ありふれた空調機器を、我ら

のアイドルK様は「宇宙の神様」と崇め、その祈りの力によって、一人の女性を「目覚

めさせた」のでありました。



でも、K様の姿は、「信仰」の最も大本の形だと思います。

祈りの対象が何であるかより、とにかく「よくなってもらいたい」という気持ちを尽く

す、そのエネルギーを生み出す仕組みが大切なのです。

私はその話を聞いてもちろん笑ったけれど、どこか神聖な気持ちになりました。









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