食いしん坊ケアマネ の おたすけ長屋!

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「長屋付き合い」を始めようよ!
現代版人情長屋に寄っといで!

宴のあと…ぐるりぐるりと

2009-08-24 | 映画
昨日、納涼祭のあと、同僚三人と台湾料理店でささやかな打ち上げをしました。


ひとしきり納涼会の話をした後、家族や今まで就いた仕事の話に…つまり人生の話に移って行きました。

老人ホームの職員の給料は決して高いとは言えません。だから、
「あの仕事をずっと続けていれば今頃はなア…」
なんていうグチも出ます。

「でも」と、職場で事務をしている女性が言いました。
「ずっと同じ仕事をしていたら、今、こうして皆と呑んでいないわけよね。だから、これで良かったんだ…と思わなくちゃね」



私も、いつもそう考えるようにしています。
人生はアミダくじのようなものです。色んな局面で色んな選択肢があったけど、そのつど「こっちが良いかナ」と思って歩み続けていたら、思わぬところに着地していた。
それをいちいち悔やんでいても始まらないのです。たとえば、そこにいた四人が同じ職場で働いて打ち上げで台湾料理店に行く確率なんて、何十億分の一か何兆分の一か、それこそ天文学的な組み合わせの中にある、たった一つの「現在」です。
その奇跡的な出会いを思えば、そんなに簡単に同僚を「排除しよう」とは考えないハズですが…。



今日、何日か前に借りた『ぐるりのこと』という映画をDVDで観ました。

映画についてほとんど何も知らないで借りたのですが、始めは淡々とした進行とリリー・フランキーの素人くさい演技に少しイラつきました。

でも、観つづけていると、次第に心地よくなってきたのです。
リリー・フランキー以外は達者な俳優か個性派俳優ばかりで、面白いけれどその演技合戦をずっと観ていると腹にもたれる。そこをリリー・フランキーの文字通り「素の存在感」がサラッと洗い流してくれる…という仕組みになっているのです。

主演の木村多江は、この映画でたくさんの映画賞を受賞しました。
ふだんはしっかり者を演じているがゆえに、突如「なんとも知れず苛ついてしまう」女性…という実在感が、画面から匂ってきました。

後で調べて知ったことですが、監督の橋口亮輔は前作の『ハッシュ』で高い評価を得た後、しばらくウツ状態になったそうです。
そして、怒りや憎しみばかりの今の世でいちばん大切なものは「人と人とのつながり」である…という気持ちになって、「ぐるりのこと」、つまり日常の身の回りの人びとの繋がりをていねいに描こうと考え、この映画を作ったようです。



二時間二十分の長尺ですし、派手なエピソードはありませんから強くオススメするつもりはありませんが、庶民の日常の微細な心情をキチンと描く…という日本映画の伝統を継いだ、なかなかの作品だと思います。



人情長屋付き合いを提唱する私としても、ぐるり…つまり周囲の人びととの日常的な関係こそ大事にしようよ…と言いたい。

くだらないビジネス本とかに煽られて、「半歩抜け出そう」なんて料簡になっても良いことなんてないんだから!
それより「信頼できる身近な関係」をたくさん作ることの方が、ずっと財産だと思うなあ。






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