早川千絵監督のPLAN75を観ました。第75回カンヌ映画祭の「ある視点」
部門に出品され新人監督賞に該当するカラメドールの特別表彰を受けた作品です。
内容は衝撃的で、超高齢化問題の解決策として国会は「プラン75」という制度
を可決する。75歳以上の高齢者に自らの最後を選ぶ権利を認め支援するシステ
ムです。75歳になれば全て死となるわけではない、個々の考えで自由に選べる。
考えられないテーマだが遠い将来には現実となるのだろうか。
高齢者はこの制度をどう受け入れるのか、78歳の主人公の角谷ミチ(賠償千
恵子)は夫を亡くし一人暮らしだ仕事は高齢を理由に退職となる、新しい職を探
すがない。住む場所もなくなりプラン75を検討する。監督によると「かわいそ
う」と同情するのではなくこの人を好きになる、この人に生きていて欲しいとの
自然に思える凛とした人間的な魅力のある倍賞さんをキャスティングと思ったと
のことです。観ていてしっくりと感じた。本作は9年振りの主役だそうだ。
映像は全体がドキュメンタリー仕立てで観客寄りではなく事実をやや突き放し
た感じだ。説明はせず見る側が良く見つめて考えなければならない。「一人一人
異なる感性で、自由に映画を解釈することで観客にも映画の共演者になってもら
いたい」とある。
ファーストシーンではピントがあっていない暗く何なのか判らない不自然な映像
から始まる。暫くすると手前に銃をもった青年が現れた、ピンは来ている。こん
な撮り方で良いのかと感じた、理解出来ない表現だ。
何かの施設で撃ちまくり最後は自死する。2016年の障碍者施設の事件を取り
入れている様ですが、人の命が軽い現代を象徴しているのか。
ラストでは、夕陽を見ているミチの姿があり暫くし立ち去る。何処へ行くのだろ
うか、そして自分は・・・。
パンフレットは購入して欲しい、より深くこの作品を理解出来ます。