しゃがみこんで、というよりほとんど寝ころがってほおづえをつく。そうして露地を見おろす。
窓からの風景は、明度も彩度もみるみる落ちていく。ビーズをばらまくような音。ビーズの粒はどんどん大きくなっていって、もう自分がなにを言っているのかも聞こえない。ここでの記憶は雨ばかりだ。
この店は焼け残った戦前の建物を使っているらしい。二階のギャラリー――二階とは名ばかりの、立ち上がったら頭をぶつけてしまう屋根裏部屋――に上ると窓から石畳の露地が見える。^部屋の壁には、外国の古い写真で作ったアンティークなアクセサリーがならんでいる。
懐かしい、と思う。見知らぬものなのに懐かしいなんておかしなことだ、と思う。そう思いながら、懐かしいと思う。
ここでの記憶は雨ばかりだ。
窓からの風景は、明度も彩度もみるみる落ちていく。ビーズをばらまくような音。ビーズの粒はどんどん大きくなっていって、もう自分がなにを言っているのかも聞こえない。ここでの記憶は雨ばかりだ。
この店は焼け残った戦前の建物を使っているらしい。二階のギャラリー――二階とは名ばかりの、立ち上がったら頭をぶつけてしまう屋根裏部屋――に上ると窓から石畳の露地が見える。^部屋の壁には、外国の古い写真で作ったアンティークなアクセサリーがならんでいる。
懐かしい、と思う。見知らぬものなのに懐かしいなんておかしなことだ、と思う。そう思いながら、懐かしいと思う。
ここでの記憶は雨ばかりだ。