キツネノマド

松岡永子
趣味の物書き
(趣味とはなんであるか語ると長くなるので、それはあらためて)

群盲象を撫でる

2010-10-16 07:18:00 | 掌編
これはなんだろう。 どうみても象の足だ。 しかし。大きすぎる。 TVかなにかの撮影セットだろうか。おそるおそる、触れてみる。 かすかにあたたかい、だろうか?  つめたくはない、しかし。象は皮膚が厚すぎて体温が伝わらないのだろうか。 おそるおそる撫でてみる。ごつごつと硬くざらざらしている。古い木に似ているかもしれない。象の足に似ているだろうか? わからない。象の足には触ったことがないのでわからない。 . . . 本文を読む

秋咲き

2010-10-09 07:36:12 | 掌編
石段の、最後の段で足を踏みはずした。 みっともなくなんとか着地したら、くすくす含み笑いの声。声の方を見上げると一輪だけの赤い花がすっと視線を逸らして知らん顔した。 . . . 本文を読む