キツネノマド

松岡永子
趣味の物書き
(趣味とはなんであるか語ると長くなるので、それはあらためて)

わたしのお人形

2020-11-29 06:45:33 | 掌編
 まことに愛らしい少女であった。  白い肌にはしみひとつなく、ふっくらとした頬は薄紅に輝き、紫色の目は宝石のよう。豪奢なドレスからはえくぼのある可憐な手がのぞいている。 「つまんなぁい」  もう口癖になってしまった言葉を、少女はまた呟く。  昔、誰かが少女を抱きしめた。誰かが言った。 「貴女のお友達ですよ。仲良く遊びなさい」  ずいぶん昔のことだ。  少女にはたくさんの「おともだち」があった。お姫 . . . 本文を読む