キツネノマド

松岡永子
趣味の物書き
(趣味とはなんであるか語ると長くなるので、それはあらためて)

お伽噺

2021-02-01 15:09:02 | コトリの宮殿
「そうして、ふたりはいつまでも幸せに暮らしましたとさ」  古い本がパタンと閉じられる。 「それからどうなったの?」  小さく幼い指が表紙に描かれた異形の者の姿をなぞりながら訊く。 「それでおしまいだよ」 「そんなのへんだよ。ここにすんでたふたりはいつまでもしあわせにくらしたんでしょ。いまはどこにいるの?」  本棚に囲まれた小部屋を見回しながら訊く。そのとき彼が話を取り違えていることに気づいた。 「 . . . 本文を読む