――でも、あたしは…
そういうと彼女は目を伏せうつむいた。ぼくは、吾にもあらず抱き寄せかき抱いた。すうーっ、と一本の赤い線がぼくの手の甲にあらわれ、ひりひりと痛みだした。これは、彼女の傷だ。彼女にとってこの惑星の空気は重すぎるので、身動きするたび傷つかずにはいられないのだ。ぼくは、彼女が傷つくべき傷のひとつから彼女を守ったのだ。誇らしさに頭がぼうっとなった。ぼくは彼女の心臓の裏側に掌をあてた。つめたかった。こんなつめたいものを抱えて生きているのだと、いとおしかつた。つめたかった。つめたさは掌から伝わってぼくの全身にひろがった。このままだとこごえて死ぬかもしれないと思った。こごえて死んでもいいと思った。黒目がちの、大きすぎる目がぼくを見た。ころりと涙のつぶがころがり落ちた。つぎからつぎへと落ちた。そのまま、彼女は全部涙になって流れていってしまった。ぼくはひとりでそこにいた。掌は涙で濡れていた。
そういうと彼女は目を伏せうつむいた。ぼくは、吾にもあらず抱き寄せかき抱いた。すうーっ、と一本の赤い線がぼくの手の甲にあらわれ、ひりひりと痛みだした。これは、彼女の傷だ。彼女にとってこの惑星の空気は重すぎるので、身動きするたび傷つかずにはいられないのだ。ぼくは、彼女が傷つくべき傷のひとつから彼女を守ったのだ。誇らしさに頭がぼうっとなった。ぼくは彼女の心臓の裏側に掌をあてた。つめたかった。こんなつめたいものを抱えて生きているのだと、いとおしかつた。つめたかった。つめたさは掌から伝わってぼくの全身にひろがった。このままだとこごえて死ぬかもしれないと思った。こごえて死んでもいいと思った。黒目がちの、大きすぎる目がぼくを見た。ころりと涙のつぶがころがり落ちた。つぎからつぎへと落ちた。そのまま、彼女は全部涙になって流れていってしまった。ぼくはひとりでそこにいた。掌は涙で濡れていた。
私のブログからリンクを貼らせてもらいました。最近楽しみに見てます。めっちゃ素敵なブログですね。いつか本にしてください。