部屋にもどると机の上に手紙が届いていた。
冷たく蒼い封筒のなかには同じ色の便箋がはいっていて、そのなかには遠く旅立ったきみの姿があった。
長い長い船旅だったこと。思っていたより小さな船だったこと。でも不思議と酔わなかったこと。着いた島は花であふれていて図鑑に載っていないものも次々見つけられたこと。言葉は通じなかったけれど買い物には困らなかったこと。今では毎日新しい言葉を覚えていること。すっか . . . 本文を読む
この世界を作った神って奴は、よっぽど悪意が有ったか、それともよっぽど能無しだったか、どっちかだね。それはこの世界のできをみれば、一目瞭然だ。
(このような言葉をどこかで読みました。どこで読んだか思い出せません。ご存知の方、いらっしゃいましたらご一報ください。 創造主) . . . 本文を読む
小説家に、漫画家にも例があるから誰も不審を抱かない。ぼくと君が二人で一人だということに。一緒に二人の名を共有していることに。ひとびとは勝手に想像をめぐらせている。二人はとても円満なのだ、とか、実は冷えきっている、とか、口もきかないらしい、とか。
ひとびとはほんとうのことを知らない。知る必要もない。
ぼくは今でも君のことを想っている。傍に君を感じている。だから。僕には思い出せない。いつから君は . . . 本文を読む