きりのみやこ

ソプラノ歌手「みやこ」の音楽する日々

日本人はせせこましい??

2011年05月21日 | 音楽のこと
ちょっと古い本だが、武満徹氏と小沢征爾氏の対談をまとめた「音楽」と言う本を読んだ。

そこで両氏が共感していた言葉に、「日本人はせせこましい」と、いうものがあった。

私はもともと、「日本人は」とか、「女は」などと言ういい方が嫌いで、
「日本人にだって色々いる」
と、思ってしまう性質だが、正直、この言葉にはドキッとした。

と、いうのも、良く自分の演奏を後で聴き返していつも不満に思うのが、
「間の取り方がヘタ」だということだから。

どうしてそこであと一歩、待てないのだろう?
どうしてそんなに焦って次に音へ移行してしまうのだろう?
なぜ別に息が苦しかったわけでもないのに、音をキープしなかったんだろう?

と、聞きながらとてもイライラする。

ピアノを弾いているときも同じだったので、先生にそう打ち明けた事がある。
もらった答えは
「テレビのせいだ」
と。
画面が次々と切り替わり、話がどんどん展開する。
おまけに途中で全然関係ないCMまで入ったりする。
それに慣れてしまうと、今度はひとつの音、ひとつの思いや場面に集中できなくなるのだ、と言うもの。

でも私は、ほとんどテレビを観ないので、上記は当てはまらない。
しかも私は20代を英国で過ごしたため、バス亭で1時間待たされても余り気にしないほうだ。

それでもやはり、200年も前の人々に比べたら、時間の感覚はずいぶん違ってきているのだろう。
だからって昔の人と同じ生活を現代社会において送る術があるわけでなし・・・

ふと思いついて、最近は演奏するとき、音楽や詩に入り込むだけでなく、
昔の人になりきって演奏する事にしている。
演技は得意なほうなので、オペラの役や、詩人にになりきって歌うのと同時に、それを歌う「昔の歌手」の役もこなす事にした。

それでずいぶん、間の持ち方が変わってきている気がしている。

後は私生活でも、もうちょっと心に余裕を持って生活できたら・・・
そちらのほうは、まだ問題山積だ。。