きりのみやこ

ソプラノ歌手「みやこ」の音楽する日々

音について

2007年11月15日 | 音楽のこと
ふっと気付くと、秋も深まって、家の周りの木々も色づいている。
紅葉狩りに今年こそはと思いつつ、またきっと、行けないのだろう。。。

くるくると動き回る生活の中で「気付く」という事が少なくなったと感じる。

思えばイギリスにいた頃は、毎日空を見上げた。
人に会ったら、まずお天気の話をしなくちゃいけないから。(笑)

あたたかい日差しが顔に当たる日は、何ともしあわせだった。
きーんと張った冷たい空気が、心地よかった。
バスを待つ間に、飛行機雲がどんどん伸びて行った。
自分の足の周りで、落ち葉ががさがさとおどり歌っていた。

そう、そこでやっと気付く。「音」である。

思えば私の人生、生まれてからずっと音に接してきた。
音は多分、私にとっては空気とご飯の次に大事なものだと思う。

そのくせ私は、耳が弱い。
音の専門家でありながら、自分はすごく人に比べて耳が悪いと感じる。
3年前日本に戻り、池袋で働きはじめた頃、駅に降り立った瞬間から聞こえて来る車の音、人の声、お店のアナウンス、その他、色々いろいろな音が、全部いっぺんに襲ってきていた。
その頃、私の耳には、ただひたすら「が~~~っ」と聞こえた。
何が何の音なのかわからない。頭が毎日くらくらした。

そしてもっと恐ろしいのは、私の耳は現在、それに違和感を感じない
そればかりか、車の音と、人の声の区別が出来る!!(笑)

そして私の耳はとても疲れている。


大学時代、だいっ嫌いだった教授が一言だけ、良い事を言った。
この言葉だけでも、私にとって彼はきっと教授なのだろう。(詳しくはいずれ書きたい)

「無音は音楽のキャンバスである」

真っ白なキャンバスが欲しい。
そこに美しい音だけを描いてみたい。