SIDEWALK TALK

終わらない祭り

Letter尾崎豊の生誕50周年を記念して、
豪華なボックスセットが発売されるらしい。
購入する気はないのだけど、バンダイのガンダム商法みたいで、
このニュースに僕は少し辟易した。
相も変わらず「十代の代弁者」「若者の教祖」として、
オザキを祭り上げていたからだ。


僕はオザキとタメ年だから、リアルタイムで彼の音楽に触れた。
佐野元春や浜田省吾をルーツとする
真っ直ぐな彼のロックンロールには、
同じ音楽を聴いて育った同世代として、
シンパシー以上の何ごとかを感じていた。
けれど僕は、オザキを「カリスマ」とか「教祖」などと崇めたことはない。
むしろ、狂信的に、盲目的に、彼に熱狂する当時のファンを苦々しくみていた。


オザキは、校舎の窓ガラスを壊してまわったりしてないし、
盗んだバイクで走り出したこともない。
これらのリリックは、オザキの、詩人としての、ストーリーテラーとしての、
理由なき若い焦燥感を伝えるための卓越した表現法に他ならない。
これは、彼が優れたソングライターだったことを意味する。
僕は、純粋にオザキのソングライターとしての、パフォーマーとしての才能を愛した。


「もしオザキが今も生きていたなら」と想像することは詮無いことだが、
恐らくろくなことになっていないと思う。
歌うことをやめているか、
少なくともシーンからは消えているんじゃないだろうか?


ティーンエイジャーの焦燥感や苛立ちを歌ったシンガーは、
オザキの他にも幾らでもいる。
オザキの凄みは、当事者の十代でそれについて歌ったことに尽きる。
だから自然、リリックがストレートな表現にならざるを得なかったし、
僕ら同世代の聞き手もすぐに共振できた。


生前のオザキの苦悩は、オザキの死の遠因は、
実像以上に「十代の代弁者」と祭り上げられたことだったと思う。
オザキが亡くなって20年以上の歳月が流れた。
そろそろ尾崎豊というシンガーソングライターを冷静に評価する時期だと思う。
終わらない狂想曲のようなバカ騒ぎは、泉下のオザキも望んでないにちがいない。

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コメント一覧

mf
こちらこそ、ごぶさたです!
http://www.kiribako.net/
ブログの更新頻度がすっかり落ちてしまって、最近は月イチ状態です。
存在する音楽さんのブログは健在で、さすがですね。

過去にも同じようなエントリーを書いたことがあったかと思います。
カリスマ商法は地下の本人も望んでないですよ、たぶん。

たしか「十七歳の地図」のアレンジは西本明で、
スプリングスティーンの「明日なき暴走」っぽくアレンジしたと語ってたような記憶があります。

文中にも書きましたが、
もし生きてても、ろくなことになってないと思います(汗)
存在する音楽
尾崎豊
http://yaplog.jp/danke-moon-s0/
ご無沙汰しております。

僕も尾崎豊は「カリスマ」と持ち上げられているのを気持ち悪く感じていました。歌詞も嫌いだなと思っていました。
しかし、10代の苦悩はよく表現できていると感心しましたし、

ライヴで浜田省吾とか佐野元春を聴いて来たんだぜ

というMCや町子寛治のアルバム参加もあって、音楽的な部分は良いなーと思っていました。

先日、『十七歳の地図』を久しぶりに聴いていたら、アルバムにない曲が思い浮かんで、なぜか最近、その尾崎豊の歌を口ずさんだりしてます。

残念ながら亡くなってしまって、今も思うことは、年齢とともに成長して、素敵な音楽を聴かせて欲しかったなと思います。
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