
そのことを感謝されてるかどうかは微妙だけど、
彼女は毎回はげしく僕を叱責しながら
真夜中にうなぎを貪る。
先週、野暮用で、浜松を訪れた。
昼、駅前のうなぎ屋さんに立ち寄って、蒲焼きと白焼きで一杯やった。
もちろん美味しかったんだけど、費用対効果からいえば普通だったかな?
もっともこの感想は、うなぎの仕入れ値はそれこそうなぎ登りらしいから、
うなぎ屋さんには酷だろう。
九州は、基本、関西風なんだけど、
地元には関東風に蒸してから焼く専門店があって、
深夜まで営業している。
本場浜松に負けず劣らずの味だと、僕は思っている。
さて、わが家のうなぎ噺。
真夜中のうなぎ、僕は決して勝手に買って帰ってるわけじゃない。
店に立ち寄る前に、必ず電話で確認する。
彼女はいったん断るんだけど、さらに僕がワンプッシュすると、
僕も「一緒に食べる」という条件付で渋々承諾する。
僕はのれんをくぐり、お持ち帰りと生ビールと焼き鳥をオーダーして、
うなぎが焼けるのを待つ。
で、帰宅後、嫁さんをたたき起こして、うなぎを差しだす。
約束の「一緒に食べる」を毎回反古にして、はげしく怒られる。
昨夜も、例のこの惨劇が繰り返された。
彼女の「もう二度と買って帰らないで!」という悲痛な叫びは、
僕の耳には「今度もお願い!」という懇願に響いたのはいうまでもない。