kirekoの末路

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犯罪が出てこないミステリー大賞編

2009年06月12日 08時19分37秒 | 企画感想物
疲れ目には、文字が鋭く刺さる@kirekoです。

>今日の感想と批評

五月のブログ月間更新目標も達成できなくて、血が滲むような悔しさで六月を迎えたkirekoですが、皆様お久しぶりです。
というわけで、依頼されていた企画作品の感想をちょろちょろ書いていきます。
企画依頼を受けた今さら、言い訳になるかどうかはわかりませんが、kirekoはジャンルとして『ミステリー』や『推理』というものが、はっきり言って得意ではありません。
毛嫌いというわけではないですが、読む回数が少なく、読み手としての興味も薄いため、作品によっては、感想自体の量が少なかったり、かなり辛口になってしまうかもしれません。
あと、前回のリハビリ感想編から相当時間が経っているので、kirekoの的外れな感想が、さらに的外れになるかもしれません。
が、もし覗いてくださっている参加者がいても、「何いってやがるこいつ」程度の、特に気にしないぐらい大きな気持ちで覗いてくれれば幸いかと。

今回は企画ページ
http://nekocorone.web.fc2.com/sakuhin.html
に記載されているものを、↓から昇順で追っていこうと思います。

つーわけで。
テケトーな感想をテケトーに受け取ることこそ、長命の秘訣ってことでひとつおねげーします。


*感想テンプレ

■(タイトル+小説直リンク) ジャンル(ジャンル) 作:作者名
:あらすじ(小説家になろう投稿時に書いてあるあらすじ)
:感想(kirekoの感想)

*感想テンプレ終わり



============はい開始==============


揺れて、揺れる  ジャンル 推理 作:イボヤギ

:あらすじ
隣で眠っている彼の口から漏れた、マリという名前。誰なんだろう……気が気でない私だった。※『犯罪が出てこないミステリー企画』参加作品です。

:感想
人生を大きく変えるほどの出会いをし、目下その彼氏にゾッコン続行中な女子大生が聞いてしまった、彼氏の寝言から始まるミステリー。企画のメインテーマでもある『犯罪が出てこないミステリー』という枠内での話の筋立ては、書き手に発想力が求められると思う。小説全般、あるいは書き物全般、何にでも言えることだと思うが、特に刺激的展開に欠ける推理物は、刺激がないからこそ、読み手を飽きさせない簡潔構造が必要となってくる。この話にそういう工夫がなされているかというと、個人差はあるだろうが、kireko個人は読みやすい種類だなと思った。前フリで語られた、想いの大きさ(人生を変えるほど)の割には必要以上に猜疑心旺盛な主人公の、わかりやすい行動(名前を調べる、携帯を覗くなど)と話の展開は、設定と状況を飲みやすくさせるし、主人公と彼氏の合間に『彼氏と同じ高校出身』の女性の友人を登場させるあたりは、推理物にありがちなキナ臭さがあって良いと思う。そういった「わかりやすさ重視」の簡潔構造であるので、基本的に手に取りやすく、難しくないというのが売りの話だと思う。ただ、個人的に感じたのは謎解き特有の「読者に思考させる」のシーンがあるのに、読者の思考に対して「答え」がなかったように感じた。だから、やや断定の形で終わってしまっている最後のシーンには少々のクエッションマークが浮かんだ。主人公が追い詰めて、そこまで言ったなら、主人公の推理が当たってるにしろ外れているにしろ、読者に対する答えが是非欲しかった。この答えが出ていないせいで、話のオチとしてすっきりせず、どうも話全体が煮え切らない感じに終わってしまっている気がする。話のニ転三転を好むkirekoとしては、もう少しひねりが欲しかった。


犯罪は絡んでいません/六百文字 ジャンル その他 作:近藤義一

:あらすじ
犯罪が出てこないミステリー企画参加作品。

:感想
一つ一つの話がバラバラになっている、単発ミステリーの目録と言ったところだろうか。読者へ不確かさを提供するミステリー小説の雰囲気が伝わる不明瞭な文章、その不明瞭さを吹っ飛ばす強いオチ、あまり他人の作品と比べてはいけないと思うが、↑で感想を言った作品とは、非常に対照的な話だった。感想という感想ではないが、ミステリー小説独特の雰囲気の造り方が非常に上手かった。謎の書籍群あたりで使われたカギカッコと繰り返すような物言いといい、読者の思考を「謎」に集中させるという手法は非常に上手いなと感じた。それ以外の文章でも、不明瞭な部分を不明瞭に伝えて、読者に考えさせ、考えさせて読ませているうちに、灰汁の強いオチで話の全てをかっさらっていくというやり方は、文章自体は短いものの、二度、三度と見返したくなる話の作り方だ。ただ、やはり↑で紹介した作品と違って、ミステリーの本質である「謎」について強く本文中に語りかけてしまい、一般読者には、その「狙った不明瞭さが」少々退屈を感じさせてしまうかもしれない。その一点以外は、テーマにそったいい作品だと思った。
個人的な話なのだが、この作品の序文を読んで驚いてしまったことがある。それは、この企画の感想に取り組むにあたって、kirekoにも「犯罪の出てこないミステリー」というメインテーマに言いたいことがあり、もしこの作品の序文がなければ、その辺の話を書こうと思っていた。つまり、この作品の序文が、kirekoがこの企画に感じた殆どを解説してくれているということだ。


イチゴ大福隠滅大作戦 ジャンル その他 作:黒燕

:あらすじ
姉に頼まれ買ってきたイチゴ大福「夢いちご」。しかしこのイチゴ大福がとんでもない代物で……。『犯罪が出ないミステリー企画出展』作品です。

:感想
姉の命令で、評判のイチゴ大福を買いにいく弟の話。どうも推理とか、ミステリーとかいうと、読み手が身構えてしまう堅苦しい雰囲気が漂うが、この作品は『イチゴ大福』をメインにした算数の文章題のような話であり、読者にわかりやすい仕組みになっている。「店側からのサービスで値下げをしてもらった」「サービスしてもらった金銭をちょろまかして自分に儲けをだす」などは、とてもミステリーとは思えないような庶民的な感覚だし、その後に続く「イチゴ大福が美味しかったので、数をちょろまかす」という人間的な欲が絡んだ主人公の思考は面白いと思った。個人的には、おつりを誤魔化した主人公が、食べた途端にもう一つ欲しいと思えるほど美味しいイチゴ大福の、味覚的美味しさや視覚的外観についてもう少し方って欲しかった。そういう本筋には関係ない、脱線をミステリーに求めるのはkireko本人としてもナンセンスだと思うが、どうしても平坦になりがちな文章題には刺激が欲しくなるものだ。


六花、舞い落ちなくなり ジャンル 文学 作:広江 七横

:あらすじ
私の住む街に珍しく雪が降ったあの日の夜、私はお母さんと喧嘩をした。そして翌日、朝から様子が変だったお母さんは私に何も告げず家から居なくなった。【犯罪が出てこないミステリー企画】参加作品です。

:感想
些細な事で母娘が喧嘩をし、家を飛び出した娘が体験する、その次の日からのミステリー。どうも今まで謎や推理という固定観念で、企画作品を読み進めてしまったせいか、この話を途中まで読んで「謎かけにしては中途半端だな」と感じてしまった節がある。が、この話のオチまで読み終えたとき、それは読み手であるkirekoの、ミステリーに対する固定観念が悪かったと思わせる作品だった。ようするに、楽しみ方が違ったのだ。そういう意味で、この作品にはkirekoの目を覚ますような効果があった。メインテーマの解釈の仕方が書き手によって変わる、それを再認識させてくれたのだ。と、個人的な驚きはこの辺にして、感想に入っていこう。携帯電話の料金を巡って喧嘩をする母と娘という構図は、読み手にとって決して難しい話ではないし、最後のオチまで話を引っ張っていく、書き手の構成力は十分にあった。オチに向かうまでの台詞や伏線の立て方も、やや足早ではあるが申し分なく、理屈もちゃんとしている。ただ、話の展開としては一本調子というか、ありがちであり、もう少し展開にオリジナリティがあったほうが良いかもと個人的に感じたのと、文章内の細々としたミス(推敲不足による脱字)や、やや変な言い回しが目立つ。本文中でいうところの
 私が黙って母の後ろ姿を見つめ、声を掛けるタイミングを見計らっていると、失礼な事に私の気配に気付いた母は振り向きビックリした表情で、我が子へお化けを見るような眼差しをむけてきたのだった。
この「失礼な事に」という言葉の使い方(意味合いはわかるが、果たしてこの場面で一番適切な言葉だろうか?)と、母の「ビックリした表情」と「お化けを見るような眼差し」という表現は、何となく意味合いの重複を含んでおり、読んでいて変だなと感じた。部分部分、そういった気になる箇所が存在するので、細かいところで読者を読み詰まらせない工夫がなされていれば、話としてもっと読みやすくなったのではないだろうか。


占い師アルシオネ ジャンル その他 作:羽村奈留

:あらすじ
登場人物、占い師アルシオネ、本日の占い希望者:加納。『犯罪が出てこないミステリー企画』投稿作品です。

:感想
事業に失敗し、家族からの信頼を失いつつある男が、占い師と対面し、その占いの結果を聞くという話。良くも悪くも読者に想像(推理)させる話だと思う。文章中にヒントを出すが、決して答えはしない。このあたりが答えを求める人の感性を刺激する、ということだろうか。こういう話は、語り合える第三者が居て初めて面白いと思える作品だと思う。1つのテーマにそって第三者たちが考え、答えを導きだす、そのための問題提起と、ヒントのばら撒き方、という推理物の旨味に当てはまる書き方は上手いと思う。そういう意味で、個人的に推理しながら引っかかったのは、1話で加納が語った「確かに今の家族は事業に失敗した自分に対して冷たい。」の「今の家族」という部分。この辺のわざとらしいヒントを手繰っていくのも推理要素として楽しいのではないだろうか。ただ、文章全体に本企画のメインテーマであるミステリー的な旨味が入っているかというと、占い師アルシオネの容姿と、その存在ぐらいしか感じられなかった。答えのない問題文という終わり方も、人によっては投げっぱなしに見えてしまい、オチとして、どうも煮え切らない気がする。


===========終了============


>ミステリー

推理物もミステリーも、あまり感想をやらないジャンルなので、感想もかなり大雑把になってしまった気がする。
書き手としての気持ちを考えると、この企画の意図として存在する縛りプレイにかなり苦労されたのではないだろうか。
やはり小説なのだから、読者の眼を惹くような刺激が必要だ。
だけどそこに犯罪(刺激)が入る事は許されない。
となると、話の展開や設定、またはそこからくる雰囲気で奇をてらうしかないわけだ。
感想をいう側としては「工夫」と一口に言ってしまうがが、これは難しい話だと思う。
「ミステリー」に固執するのもいいが、話として面白くなければ読まないという、読み手の心理を掴みながら物を書くというのは、とても難しい。
企画の中で、まだ読んでいない作品も多いが、素直に万人が面白いと思えるようなミステリー作品は、果たして存在するのだろうか。
その辺を発掘するのも、感想人としての楽しみ。

あと、読みながら感じたが、ミステリーの定義というのは結局なんなのだろうか。
謎が出てくりゃミステリーなのか?
読み物としての感想の判断基準が曖昧なのも、その辺が関わってきている気がする。


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