ある展示会での話

2019-09-25 | 椅子
 
ある展示会での話です。
ご夫婦が来られ、ご主人が試しにジャングルチェアに座ってくれました。
少しして、奥様と顔を見合わせ「これはいい」と静かにおっしゃって、即ご購入いただきました。
お話を聞くと、胸を患っていらっしゃって、椅子に長く座っていられないということでした。
この椅子だと腕を高めに支えてくれて、その腕が両端の椅子の脚のでっぱりで止められるので、
「この椅子なら長く座っていられます。」という訳でした。
ありがたいお話でした。
作る時には全く意図していなかったことで、思いもよらないお答えをいただいて、またひとつ勉強になりました。
このように、自分が考えていたこと以外の感想や効果等をいただけるのが、展示会でたくさんの方々に座っていただく意義のひとつです。
もちろんダメ出しもとても良い学びです。次はこう改良して作ってみよう。とやる気が湧いてきます。
椅子一つ一つにストーリーがあって、これも椅子作りの醍醐味です。

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柿渋塗り

2019-09-19 | 椅子

ジャングルチェア、柿渋塗装しました。
比べる意味で、となりに15年ほど使っている柿渋仕上げのカウンターチェアを置いてみました。
塗った直後は白木のようです。
柿渋を塗り、拭き取って乾いたら、オイルフィニッシュクリアで仕上げます。
この仕上げは、時間と共に発色し濃くなっていきます。1、2年もすると濃茶褐色になり落ち着きます。
銑や切り出し等一枚刃で面を活かすように削り、そこへ柿渋の自然な色、艶が乗ると素晴らしいです。
手斧でハツられた民家の梁が煤でてかてかになった感じです。
この感じがぞくぞくします。

柿渋は強烈な匂いを放ちます。例えるなら銀杏のような匂いです。
でもこれも慣れてくると結構好きな香り?になります。
使っている本人はどっぷり浸かっているのでいいのかもしれないけど、柿渋塗りをした人が部屋に入って来たら、
「何このにおい、くっさー」ってなりますね。
くさやとか納豆と一緒ですかね。
どちらも食べちゃえば美味しい。
10日もすれば匂いは完全に消えますからご安心を。

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ジャングルチェア 部材木取りから加工組み立てまで

2019-09-16 | 椅子
ジャングルチェア
なんでこんな名前になったかというと、椅子枠が組み上がり、あとは座編みを残すのみという状態の時にうちの子がまだ小さい頃に中に入って貫をつかみ、登ろうとしてまるでジャングルジムで遊んでいるかのように見えて、この椅子の名前はジャングルチェアにしようと決めました。
その息子達ももう家を離れています。頼もしくて嬉しいやら寂しいやら。子育ての時間なんてあっという間ですね〜。

 
素直な目の通った丸太を割り、皮、白太を除いて貫の材料にします。
焚き木にしか見えないけどどっこい、素晴らしい椅子の材料です。
ナラ、サクラ、クリ、クルミ、タモ、セン(ハリギリ)などなどの広葉樹は生の時、とても柔らかく割りやすいのですが、乾くと硬く加工しにくくなります。

 
ジャングルチェア2脚分の部材です。
ホゾ先を強制乾燥中。ホゾの太さを約5%太く加工しておき(例えば直径18ミリの穴の場合、19ミリに加工)、強制乾燥すると細くなりちょうど良い穴との相性になり、その時接着剤を入れて一気に組み上げます。
その塩梅は長年の慣れと勘です。
すると、通常の生活湿度に戻した時、ホゾも元の太さに戻ろうとして、長年緩みのない椅子ができあがります。

 
この椅子の場合水平方向に入る貫は同じ高さになるため、穴の中でホゾが喧嘩し合う所を拝むように切っておきます。

 
通しホゾにはクサビを叩き込みしっかり固めます。
左右真ん中と三方から座れる椅子です。

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Audoux-Minetの椅子修理と編み換え完了

2019-09-08 | 椅子
 
Audoux-Minetの椅子修理と編み換え完了しました。
国東産七島い(しっとう)による三つ編み織り仕上げ
オリジナルのアバカによる三つ編み織り仕上げとは少し趣が変わりますが、それぞれの良さが感じられます。
発送を済ませ無事到着、ご依頼主のご感想も座り心地、編みの仕上がり共にご満足いただきほっとしました。
ありがとうございました。


編み方も本当にいろいろあり、自由な発想でいいんだと目からウロコでした。
お陰様で今後の椅子の座編みの幅が広がりました。

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スペインの揺り椅子のリフォーム

2019-09-01 | 椅子
 


片方のロッカー部(裏側)が傷んでいたので、弱くなった部分は削り落とし、脚に深く縦にアンカーを埋め込んで、巻き込むようにエポキシ樹脂で固め、強化しました。
もともとここのホゾにはカンヌキが打ち込んであって、抜いてみたらドリルの刃、思わず笑っちゃいました。
多分下穴を開けて木のカンヌキを打ち込むところ、途中でドリルの刃が折れてしまいあ〜悲し〜、抜こうにも抜けずそのままいっちゃえー、と言ったところでしょう。
スペインらしくオリーブの木のようで、とても丈夫で硬い素材です。

 
スクレーパーで古い塗料を落としている時、スペインを旅した時に教会で同じような香りがしたのを懐かしく思い出しました。
祭壇やベンチ等オリーブの木が使われていたのか、その匂いだったのかなぁ。
木目は入り組んでいて、木肌は少し油っこさも感じる奥深い艶があります。
仕上げは着色オイルフィニッシュをすり込むように塗って拭き取りました。
風格を感じさせる揺り椅子がよみがえりました。
これにはやはり草で編み込んだ座面がぴったりです。楽しみ。


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