☆ 食品廃棄物の有効利用
一方、小売業から出る食品廃棄物は年間262万トン、食品産業全体の23%を占め一向に減る様子はない。
この食品廃棄物を減らそうという取り組みも始まっている。
全国にアピタなど233店舗のスーパーを展開する「ユニー」の野菜売り場には、エコ野菜コーナーの一角がある。
一般の野菜より1割ほど高い値段にもかかわらず売れている。
実はこの野菜、店舗から出る廃棄食品から作った堆肥で育てられた野菜だ。
スーパーでは毎日余った野菜や、刺身や焼き魚などにした後に残る魚のあらなど大量に食品廃棄物が出る。その量はユニー全店で年間2万トンにもなる。
同社ではそれを専門業者に回収してもらい、堆肥など資源としてリサイクルするシステムを作った。
しかし、その回収には問題があった。
食品廃棄物は同じ市町村の中でしか処理できない法律があり、店舗が少ない地域では堆肥にするほどの量が集まらない。
そこで、ユニーは堆肥業者や農協と大規模なリサイクルシステムを作り、特例的に他の地域からの食品廃棄物を回収できるように認められた。
食品廃棄物からできた堆肥は、落ち葉からつくるものに比べ、窒素が多く含まれ、この堆肥を使った野菜は品質も高いようだ。
この堆肥はユニーの契約農家で使われ、エコ野菜として店頭で売られる。
利益を生むリサイクルのシステムだが、まだ回収率が低いという課題も残る。
回収されているのは233店中47店に留まっていて、回収店舗を広げるためにはそれぞれの地域で回収方法を確立しなければならないという。
スーパーで進むゴミのリサイクルだが、個々の努力には自ずと限界があり、地域や国が大きなシステムとして取り組む必要があるようだ。