賢太郎の物書き修行

IT系と政治関連の事件を中心にコラム風に書いています。趣味は舞台、だけど最近は殆ど観てないな~。

ソーシャルメディアとは?

2009-04-14 09:35:01 | ビジネス

ロフトワーク林千晶さんのブログで「ソーシャルメディアとは?」というテーマで社内勉強をするという話しが紹介されていた。

「でも「ソーシャル」とは一体何なのか、と聞かれると答えるのは案外難しい。「CGMとは何が違うのか?」と聞かれて返事に困ってしまいました。「Web2.0」と同じくらい曖昧な言葉のように感じます。」

確かに難しい。そもそも「ソーシャル」「メディア」と英語をカタカナ表記のまま使っている時点で曖昧だ。「Social Media」を直訳すると「社会的媒体」となるが、社会的じゃない媒体って何?と益々訳が分からなくなる。英語版Wikiを見てみると、英語圏でも必ずしもちゃんと合意された定義があるわけではないようだ。「ソーシャルメディア」と「CGM」の区別がついていないというのはCGMも明確に定義されているわけではないということなのだろうと思う。

CGMは「消費者(もしくは、利用者)共同制作媒体」と解釈すると、ソーシャルメディアよりははっきりとしたものだなと思うが、CGMと3文字なった時点でさっぱり分からなくなる。外国語のコンセプトを解釈するのは難しく、適切な訳語をあてるのは無理なのかもしれないが、その言わんとするところが正確に理解できれば適切な訳語や造語が出来そうなものなのにと思う。

ということで、ソーシャルメディアだ。Socialという言葉は個体同士の関係性、相互作用などがある程度秩序化された枠組みやそのものを意味するらしい。しかし、それにMediaという言葉がつくと良く分からない。ここはSocialを形成する、つまりSocialiseを促進するMediaということなのだろうと思う。そう考えるとSocial Mediaというのは「社会形成媒体」とでも訳すことになるのだろうか。ここで言う社会形成というのはある種の秩序化なので、カテゴリーに分類されたり、似通ったものが寄り集まったりしてコミュニケーションが密なコミュニティが形成されて、その中の構成員が複数のコミュニティにいることによってコミュニティ同士が緩やかなつながりで社会が形成されるようになるということだ。

ソーシャルメディアと言われるものには代表的なものとしてブログやSNS、電子掲示板などがある。情報流通媒体だけの機能を考えれば何だって入るだろうが、社会化を促進するという点でいうとコンテンツの作成者同士のつながりを促進したり、似通った性質のものや属性のものをカテゴライズする機能を有しているかということが重要になる。また、コミュニティ形成には双方向のコミュニケーションが核となるのだろうから、機能としてはコメントやトラックバックなどユーザ間をつなぐものが必要となる。

機能としてのソーシャルメディアは以上のようなものであろうが、コンセプトとしてのソーシャルメディアを考えてみるともっと広がりがあるのではないかと思う。ある集団やコミュニティを考えた場合、そこには器と構成員がいる。最初は器の輪郭はぼやけていて、構成員も参加意識は希薄な状態だ。例えていえば拡げられた風呂敷に様々な形のブロックをばら撒いたような状態。それが徐々にコミュニティの輪郭がはっきりしてきて構成員の参加意識も芽生えて構成員同士のコミュニケーションが始まる。風呂敷の端を少し持ち上げて中のブロックが徐々に混ざりあっているような状態。そして、ある日突然コミュニティが大混乱するような事件が起きて構成員同士がぎゅっと凝集する。風呂敷を袋状にしてブロックが中でぐちゃぐちゃになる状態。そしてコミュニティはある瞬間に安定する。更に、コミュニティは時々または頻繁に新参者を迎える。新参者はコミュニティを荒らして事件を引き起こすが、それが刺激となって新参者も巻き込んでコミュニティは更にぎゅっと凝集していく。

ソーシャルメディアと言われるものも、この「形成」「混乱」「統一」というプロセスを繰り返す仕組みをもっているのだと思う。それがうまく回れば非常に良いソーシャルメディアなのだろうし、それが回らなければ良いとは言えないだろう。するとソーシャルメディアは「機能」(例えば、ブログとかSNSとかメーリングリストとか・・・)と「プロセス」と「構成員」のバランスによって成り立つものといえるのではないだろうか。企業がこのソーシャルメディアに関わるとき、どうしても「機能」に注目してしまいがちだが、本当は自分達も含めた「構成員」の性格を考えて、その構成員にマッチした社会化の「プロセス」を考えて、最後にそのプロセスを実現する「機能」を実装することを決めたほうが良いのかもしれない。もしかしたら、構成員の性格と社会化のプロセスを考えたらITなんて使わない方が良いことだってありうるのだと思う。

そう考えると、ソーシャルメディアというのをもっと広い概念で捉えなおして、ITは当然ながらアナログな媒体や直接のコミュニケーションも含めてデザインするということが出来るのではないだろうかと思う。最近は新聞社のHPでもトラックバックやコメントなどが出来るようになった。しかし、情報の送り手である新聞社からトラックバックやコメントに対するフィードバックはなかなかない。下手にすると「炎上」しそうだが、その事件=混乱も含めて飲み込んでいくような媒体のあり方が考えられるのではないかと思った。


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