賢太郎の物書き修行

IT系と政治関連の事件を中心にコラム風に書いています。趣味は舞台、だけど最近は殆ど観てないな~。

日航労組の「整理解雇無効訴訟」を支持しないワケ

2010-12-29 18:27:10 | モブログ
日航が人員整理に「奥の手」整理解雇を実行する。200人の整理解雇対象者のうち、希望退職に応じたのはわずかに30人。170人が整理解雇となった。これに対してパイロットと客室乗務員の労組は訴訟を起こすという。

破綻企業が税金で再生するにあたって解雇出来ないでは、また倒産に至るだろう。国内線にせよ、国際線にせよ、需要より多い路線は経営を圧迫した。再生計画が路線縮小を求めているのは収入と支出のバランスを考えると当然だ。路線縮小は飛行機の削減であり、そこにあるパイロットと客室乗務員の仕事の減少だ。

人が余った場合、多角化企業であれば他の職場や新規事業に吸収出来るかもしれない。しかし、日航は他に200人もの労働需要がない。また、客室乗務員はまだしも、専門職であるパイロットは職場を代わることが難しい。

パイロットにせよ、客室乗務員にせよ、日航という枠を外して見回せば再就職は可能だ。スカイマークなどの新興会社やLCCは人手が不足している。問題は待遇だろう。

スカイマークのパイロットの年収は日航の半分だという。LCCも似たようなものだろう。これはパイロットという職業が成熟して普通の仕事になったということだ。今までよりも低い報酬に甘んじることを良しとするかどうかだ。

整理解雇されるパイロットや客室乗務員は発想を変えた方が良い。これから日本向け航路を開発するLCCは絶対増える。日本の空港を知るパイロットは必要とされるだろう。収入は落ちるだろうが、思い切ってLCCの母国であるアジアの国に移住すれば良い。生活レベルは維持できる。

似たようなことは多くの日本企業にも言える。行き詰まった会社に身動き出来ない従業員がいるのだ。大企業の従業員なら中小企業に、都市部の企業から地方に行くことで生活レベルを維持した上で、より高いレベルの企業で身につけたノウハウを活かして活躍出来る。

官僚制は身近に存在する

2010-12-20 19:57:36 | モブログ
民主党のスローガンのひとつは「脱官僚」だった。しかし、官僚制の研究が示しているのは「民主主義の未成熟の結果としての官僚依存」である。すなわち、「官僚を統治する制度としての民主主義の未成熟」が指摘されているわけだ。かつて牛尾電機の牛尾会長が小泉内閣への入閣を請われた時に、「娘が“朱に交われば赤くなる”から政治家にはならないで」と言われて辞退した様に、選挙や政治任用によって優秀な人が政治に参加するのではなく、政治家が“必要悪”とばかりに優秀な人が敬遠する職業となっているのは、国民が国家経営を敬遠するのと同義で、民度が低いと言われても仕方がないだろう。

会社でも同じことで、従業員が経営者にオンブにダッコでは本当に働いているとは言えない気がする。経営者が様々な事情で弱っている会社はたくさんある。その場合にも会社が機能するのは官僚制が敷かれているからだ。危機にあって官僚制が一時しのぎに機能した会社は、延命に役立った官僚制によって滅亡に向かう。官僚制は自己肥大を招くので会社の危機と関係なく組織が大きくなる。危機にあってリストラで組織縮小を図ろうにも細分化された仕事を盾に改善が行われない。

官僚制の打開には組織を粉々にするしかない。血を入れかえて官僚制を排したマネジメントを再構築するのだ。ただし、解雇規制が強く多様な事業展開をしていない中小企業では難しい。血を排出出来ないのでリストラが業績につながり難い。

そう考えると事業再生のオプションって本当に限られている。

エコポイントと地デジで国内テレビ製造業は完全に崩壊するだろう。

2010-12-01 07:30:44 | モブログ
テレビの11月一ヶ月の販売台数が600万台を突破したという。単月では過去最高らしいが、今後を考えると明るい話題でもない。この売れ行きは12月から“エコポイント”が半減することを見越したものというが、明らかに買い替えサイクルを越えたものであるので、今後は急激に売れ行きが鈍ることが予想される。

更に、来年の地デジ完全移行の直前にも買い替えが行なわれるだろうが、それ移行はテレビは売れなくなるだろう。数年分の買い替え需要が先食いされた格好なので、数年間は売れない。3Dテレビは地上波放送が全て3Dにでもならない限り売れないだろうし、地デジ対応で投資が嵩んだテレビ局が投資することはないだろう。3Dは映画館業界のカンフル剤というところだろうか。

売れないということは製造のための投資が行われなくなる。開発も細り、イノベーションも起きにくくなる。振興国をはじめとする海外は、ひとつは海外の価格競争力のあるメーカーとの競争には勝てないだろう。加えて、日本で大量に発生した中古アナログテレビが振興国の需要を吸収し、新品の販売余地はドンドン少なくなる。

政府の産業への強い関与や規制がその産業を結果的に潰してしまう好例となるのではないだろうか。