日光に迫る板垣退助ら迅衝隊は、大鳥圭介らがいると思われる日光東照宮にその砲門を向ける。
板垣退助は、日光の松並木の参道に大砲四門を据え、歩兵・砲兵を散開させる。
このとき、板垣退助は「この緑濃い荘厳な日光を砲火にさらして灰燼に帰するのか」と感傷を覚えたという。
しかし、未だ抵抗し続ける大鳥圭介らをこのまま放ておけない、板垣退助は発砲を命じようとしたそのときに、総督府下参謀・藤堂藩士の吉村長兵衛が
進み出た。吉村長兵衛は板垣退助にたよりすがった、「砲撃はしばらくお待ちください。お願い申し上げます。どうかお待ちください」
驚いた板垣退助はひれ伏した吉村長兵衛の顔を上げて、その嘆願を聞く。
「我らはただ今、朝敵討伐のため、決死の覚悟で賊軍を攻撃しております。しかし、この日光東照宮は我ら藤堂藩の藩祖藤堂高虎が心血
を注いで建築の指揮をとったものです。藤堂藩士として、どうしても撃破するにしのびません」と必死に嘆願する。
吉村の青ざめた顔を見て、板垣退助は「よろしい。貴藩には貴藩の事情もごぞろう。砲撃はしばらく中止致す」
板垣退助は、吉村の肩を叩きにっこり笑ったという。
これで、日光東照宮が荘厳な建築美が今日まで残ることとなる。
板垣退助は、日光の松並木の参道に大砲四門を据え、歩兵・砲兵を散開させる。
このとき、板垣退助は「この緑濃い荘厳な日光を砲火にさらして灰燼に帰するのか」と感傷を覚えたという。
しかし、未だ抵抗し続ける大鳥圭介らをこのまま放ておけない、板垣退助は発砲を命じようとしたそのときに、総督府下参謀・藤堂藩士の吉村長兵衛が
進み出た。吉村長兵衛は板垣退助にたよりすがった、「砲撃はしばらくお待ちください。お願い申し上げます。どうかお待ちください」
驚いた板垣退助はひれ伏した吉村長兵衛の顔を上げて、その嘆願を聞く。
「我らはただ今、朝敵討伐のため、決死の覚悟で賊軍を攻撃しております。しかし、この日光東照宮は我ら藤堂藩の藩祖藤堂高虎が心血
を注いで建築の指揮をとったものです。藤堂藩士として、どうしても撃破するにしのびません」と必死に嘆願する。
吉村の青ざめた顔を見て、板垣退助は「よろしい。貴藩には貴藩の事情もごぞろう。砲撃はしばらく中止致す」
板垣退助は、吉村の肩を叩きにっこり笑ったという。
これで、日光東照宮が荘厳な建築美が今日まで残ることとなる。