エウレカセブン「第七の幸運をもたらす宿」

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第26話「モーニング・グローリー」Morning Glory 前編

2006-02-11 01:42:56 | 各話ガイド(第2クール)


月光号に戻ってきたホランドを責め、エウレカはレントンを探しに、一人、月光号から飛び出してしまう。
その頃、レントンもエウレカを求めて、月光号を目指していた。
七色に輝く雲の中で、エウレカは州軍が攻めてきたことを知る。
月光号に知らせようとするが、時すでに遅く、彼らの攻撃に晒されてしまうのだった。【公式あらすじ】





空域ア557に、夥しい数の、軍の空中戦艦が続々と集結していた。
「州軍と連邦軍が連携して、月光号を襲撃地点に追い込んでいる。座標はジャクソンのマップページ286、日時は七日後。襲撃座標、日時は絶対に変更しない」
・・・ビームス夫妻がレントンに予告したとおり、軍の包囲網が形成されつつあった。



エウレカはレントンのことを思い出していた。いろんな事を知っているレントン。子供たちを喜ばせていたレントン。
コップにさしたストローに指をあて、オレンジジュースを吸い出し、ストローの袋にその雫を落とす。
ストローの袋は水分を含んで、生き物のように身をよじらせた。

「ねえ、ギジェット・・・『恋』ってなんだろう?」エウレカはテーブルの向かい側でボードにワックスをかけていたギジェットに尋ねた。
唐突なエウレカの問いに戸惑いつつも、ギジェットは答えた。「そ、それはそう・・・アレよ・・・アレ、『好き』ってことでしょ?」
「『好き』? 『好き』・・・」言葉の意味を実感できず、口に出してただ繰り返すエウレカ。グラスの氷が、カランと音を立てた。



格納庫で、エウレカは無理矢理ニルヴァーシュを動かそうとしていた。
しかし、ニルヴァーシュは彼女を拒絶するように、身をよじって暴れるだけで、前に進もうともしない。
「どうして? 私たち、ずっと一緒だったじゃない! お願い・・・ニルヴァーシュだって、レントンに乗ってほしいんでしょ!?」
「だったら!」叫んでエウレカは、なおもニルヴァーシュを発進させようとするが、ニルヴァーシュはこれを激しく拒絶して、踏ん張るかのように人型に変形しかけ、そのまま崩れ落ちた。



「おい、大丈夫か!?」メンテナンス用のアームが崩壊した轟音を聞きつけて、ムーンドギーが格納庫の入り口に現れた。
「あんまり無茶すんな、おとなしく待っていたほうがいい。ホランドが連れ戻すって言ってたんだろ?」
悲しげな表情を見せるエウレカに、ムーンドギーはフォローを入れた。「一番近いギアナスシティまでいったとしても、もうちょっと時間がかかる」
「ギアナス・・・?」「ああ、まともな町つったら、あそこぐらいだ。働くにしても、暮らすにしても──」



ムーンドギーの言葉に、格納庫を後にしたエウレカ。通路で子供たちに呼び止められた。
レントンに作ってもらった、うごかなくなったオモチャを修理してほしいという。
いつまで経っても戻らないレントンを気にして、エウレカにレントンのことについて尋ねるメーテルとリンク。
「え・・・と、それはね・・・」視線をそらし、口ごもるエウレカ。それを見て、「戻ってこないんじゃないの」とモーリスが呟いた。
「うそー」「戻ってくるよ!」残る二人が反発する。
「どうなの、ママ・・・」モーリスはエウレカに直接問いただした。
「大丈夫・・・ホランドが『連れてかえる』、って言ってたもの」エウレカがそう答えるが、ホランドは約束を守らないと子供たちは不満を顕わにする。
「ホランドは、ママとの約束は破ったことないよ。きっと・・・大丈夫だから・・・」自分の心を説得させるように、エウレカは子供たちに言ってきかせた。



ケンゴウはレーダーで606の接近に気づいて、驚きの声をあげた。連絡もしないで、いきなり帰艦してきたことに異常を感じたのだ。
交信できない理由があるのだと悟り、タルホにハッチを開けさせるハップ。
格納庫で606から降りてくるなり、ホランドは出迎えたクルーに針路変更を告げた。「軍の奴らか?」ハップが尋ねた。
「いや、チャールズとレイが来る。州軍と連携しているようだ。幸い、まだ包囲網は完成しきっていない。今なら『ジャクソンの286』からギリギリ抜けられるはずだ」急いでブリッジに向かおうとするホランド。
「待って」タルホがホランドを呼び止めた。「レントンはどうしたの?」
「・・・家出少年と月光号、どっちを優先するかなんて、ガキでも分かる」目を合わせずにホランドは答えた。
「・・・じゃあ、あんたはガキ以下ね」



言葉を返さず、格納庫を去ろうとしたホランドが目にしたのは、異様な姿勢のまま動かないニルヴァーシュだった。
「マシュー・・・エウレカは?」「た、たぶん部屋だと思う」
そのままエウレカと子供たちの部屋へ直行するホランド。エウレカの姿はなかった。
ベッドに、こどもたちの描いたヘタクソなレントンの絵がある。穏やかな表情になるホランド。
反対側のベッドには、きちんと畳まれた赤いジャージが置いてあった。
なんとなくジャージを手に取り、眺めてみるホランド。そこへエウレカが現れた。



ホランドがジャージを手にしているのを見て、エウレカは抱えていたぬいぐるみを取り落として彼に駆け寄り、その手からジャージを引ったくった。
大事そうに力を込めて、ジャージを胸に抱きかかえるエウレカ。沈黙が流れる。
「レントンのか?・・・それ」
「見つかった?」

「悪いが航路を変更する。イ・709だ」ホランドは答えない。
「・・・ギアナスシティは?」

「補給ならカルザスで十分。相手はチャールズだ。アイツら──」ホランドは答えをはぐらかした。
「どうして・・・?」

「どうやら州軍と連携しているみたいなんだ──」ホランドは話をそらし続けた。
「そうじゃないよ!! ギアナスシティに行くって!! レントンを連れ戻してくるって言ったじゃない!! どうして!!」



「しょうがねェだろう! 月光号が危ないんだよ!!」追求をかわし切れず、ホランドは怒鳴り返した。
「軍隊なんて、今までいっぱい相手にしてきたじゃない!!」エウレカはホランドに詰め寄った。
「相手はあのチャールズだぞ! お前だって知ってるはずだ!」

「・・・ホランドはレントンが嫌いなの?」
「ちげぇよ、あいつがガキ臭せぇから」
「だから置いてきたの?」エウレカの言葉に、ホランドは目を見開いた。
「だから殴るの?」「だから蹴っ飛ばすの?」エウレカは畳み掛ける。

「──違う。ただ俺は、俺は・・・レントンよりお前が大事なだけだ」ホランドには、それだけ言うのが精一杯だった。
エウレカの瞳が険しくなった。それは、強い決心が彼女の中に生まれたことを表していた。
「あたしは・・・あたしはそうじゃないよ」そう言い捨てると、レントンのジャージを抱きしめたまま、エウレカは部屋から走り出ていった。

ためいきをついてベッドに座り込むホランド。
出て行く際にエウレカがけとばしたぬいぐるみが自動ドアにはさまって、何回も開閉を繰り返していた。



「数は力か──フン、頼もしいな」「でも指揮官がアイツじゃねぇ・・・」
白鳥号のコックピットでは、チャールズとレイが言葉を交わしていた。
ディスプレイには、白鳥号の周りに続々と集結する空中戦艦が表示され、途切れる間もなくコンピューターによる認証が実行されていた。

そこへ通信が入った。ディスプレイに表示されたのは、この作戦を指揮する、チャールズとも面識のある州軍指令だった。
「本艦隊指令、ムアルド・ダールである」当人はレイが悪態をついていたことなど、知る由もない。
「お久しぶりです。連邦軍遊撃部隊所属、チャールズ・ビームスです」画面に向かって敬礼するチャールズ。

「全く災難なことだ。あと20キロ南なら、カルザスシティの管轄だったものを・・・本当に現れるのか? その──」
事なかれ主義の無能な高官には興味がない。ただ利用するだけだ。チャールズは指令の愚痴を遮り、作戦の骨子を説明した。
「お願いした包囲網には、わずかに隙があります。ジャクソンのマップページ、286」
「その隙をつかれたらどうする?」
「つかせるんですよ、アイツならこの隙を見逃すはずはない。必ず、必ず──現れる」
白鳥号のメインスクリーンには、前方に広がる、七色に輝く雲が映し出されていた。



誰もいない食堂で、エウレカはコートで身を包み、帽子とゴーグルをつけ、バッグにレントンのジャージを入れて肩からかけると、そばに置いてあったギジェットのボードをつかんで通路へ走り出した。

「イ・709だ。この空域から離脱する」ブリッジではホランドが命令を出していた。
「本当にいいの?」タルホはホランドに聞き返した。
「一旦脱出するだけだ、心配するな」
「もう一度聞くわ。本当にいいのね?」変化してしまったエウレカ、レントンなしでは運用できないニルヴァーシュ・・・今の状況でレントンを欠くことの意味をホランドに再認識させ、ホランドの最終意志を確認する。
「・・・ああ、本当だ」ホランドは力なく答えた。

ボードを手に、通路を駆けていくエウレカ。
「ニルヴァーシュは動いてくれない。ホランドも頼れない・・・あたしが・・・あたしが行くしかないじゃない!」
月光号の下部、ドッキングベイにたどり着いたエウレカ。迷わずエアロックのパネルを操作して、扉を開放する。



「いつもはレントンからだったね・・・でも、今度は──」ゴーグルを下ろしてエウレカは強く念じた。
そのとき、彼女は気配を感じ、ゴンジイの姿に気づいた。「お茶・・・飲むかね?」
差し伸べられたゴンジイの手には湯飲みが握られていた。淹れたてのお茶が、柔らかい湯気を放っていた。
笑ってそれを断るエウレカ。エアロックが完全に開き、外の光と強い風が吹き込んできた。
エウレカはボードを抱え、足元に広がる空へ飛び降りた。
かつてレントンが月光号を飛び出していったときと同じように、ゴンジイはエウレカが出て行くのをただ見守っていた。



飛び出すなりボードに乗って、すぐさまトラパーの波をつかんで高空を滑り出すエウレカ。
巨大な月光号の船体が後方へと流れていく。
「待っててね、レントン・・・待ってて!」エウレカは、目の前に広がる七色雲海へ向けてボードを走らせた。

同様にボードで高空を飛び、月光号を探していたレントンは、眼下の雲海にその機体を見つけた。
「ジャクソンの286・・・チャールズさんの言っていた通りだ!」ならば、戦いも確実に避けられないものとなる。
「待ってて、エウレカ・・・今行くから!」彼女がレントンを求めてすでに飛び出した後だったとは、知る由も無い。
レントンは月光号に接近し、並行飛行に入り、相対速度を調整した。

「ねえ、ちびっ子たち・・・ここに置いておいたアタシのボード知らない?」
食堂で子供たちに尋ねるギジェット。彼らはまたレントンの絵を描いていた。
ギジェットの問いに、三人とも知らないよと答えを返す。そのとき、モーリスは窓の外に、輝きを放って飛行する、何かの姿を見つけた。
「あ~~~、ゲロンチョだ!」「レントンだーーー!!」
ボードに乗って飛ぶレントンの姿を確認すると、子供たちは歓声をあげた。




→後編につづきます。




【今週のみどころ、ツっこみどころ】A-part
●くねるストロー袋を見て驚くモーリスのリアクションが、トトロそのまんま! 静止画像では伝えられないのが残念!
●レントンの作ったネズミのオモチャが、ガンバに出てくるキャラっぽかったです。
●レントンに会いに行くエウレカがジャージを一緒に持っていった件。再会して、真っ先に着せたいのか(笑)。すみません、お守り代わりですね。



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