DrKの株日記

現役医師が仕事の合間をぬって株と格闘するブログ

一日雨

2006年07月17日 | 今の医療について
もうそろそろ梅雨も明けるかな?
今日も一日雨です。

療養病床削減に2000億円・社会的入院解消へ重い先行費用
日経の記事ですが何をいまさらって感じ。
7月になってすでに症状の軽い、いわゆる社会的入院の老人は
入院拒否あるいは退院強制によって行き場がなくなっているのに
いまさら受け皿を作るの?
順番が逆だね。

療養病床というのは
急性期病床から社会的入院の老人を追い出すために作られた病床。
そこに患者を誘導するために
診療報酬を高くして全国に一杯作らせたのに
利益を回収する前にはしごをはずされてしまった。

現在どの病院も急性期病床や外来は大赤字で
療養や回復期病床の黒字でかろうじてやっていけてる状態なので
この改革であらゆる病院が赤字に転落することになる。

私は雇われの身なので
病院がつぶれなければ赤字だろうとなんだろうと
給料は変わらないのでどうでもいいが
今回の改革で倒産の可能性が少なからず上昇したことは確かだ。

厚生労働省は自宅で老人を看取るなどと
机上の空論を描いているが
入院してくる老人で
90を超えて一人暮らしの人なんてザラにいるし
そんな人はどこにも帰るところは無いんだよ。

今の社会では「死」=「病気」との考えが一般的になってきた。
すなわち、老人になれば誰でも死を迎えるのだが
そこには「寿命」という考えは無くなり
「病気」で死亡するという考えが支配的になった。
だから老人は「病院」で死ぬのである。
病気は治療しなくてはならないからだ。

この理論では老人は病気にならない限り
永遠に生き続けることになる。
笑い話ではなく
高齢で入院する老人の家族は皆こんな風に考えている。

100歳にもなろうという老人が
腰が痛くなって歩けなくなり外来を受診する。
そこで家族が10人中10人同じ言葉を言う。
「ちゃんと歩けるようになってひとりで生活できるようにならないと
自宅に帰ることはできません」

つまり100歳の老人が歩けなくなるのは
「病気」だから、それをちゃんと病院で治せというのである。

繰り返すが10人中10人同じなのである。

これは老人医療を無料化し
これまでの社会習慣をすべて崩壊させた国策の結果なのだ。





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