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お城でグルメ!

ドイツの古城ホテルでグルメな食事を。

ヴァルトブルク (ヴァルト城塞)

2021年06月28日 | 旅行

旧東ドイツにあるマイマールからの帰路に、アイゼナハという町に途中下車した。ヨハン・セバスチアン・バッハ生誕の地である。そして、町の中心部から3km程離れた、町を見下ろす約200mの岩壁の上に建てられたヴァルトブルク(ヴァルト城塞)を訪れた。

 

 

城塞とホテル・レストランの全景 (パンフレットより)

 

  

入城門 ・ 城壁

 

大変古い城塞で、築かれたのは11世紀の半ばであるらしい。ゲーテに絶賛された立派な山城である。宴会場を造る際にリストが音響効果の観点から助言を与えたり、ワーグナーのオペラ『タンホイザーとヴァルトブルクの歌合戦』の舞台になったり、この城塞を巡る逸話は幾つかあるが、最もよく知られている話は、ローマ法王から追放されたマルチン・ルターが1521年にこの城塞に庇護を求め、表向きは „ユンカー・イェルク“ という名の囚人ということで追跡をかわして10ヶ月間滞在したことであろう。ルターはその滞在中に新約聖書をドイツ語に翻訳した。1838年から1890年にかけては、傷みの激しかった城の大規模な修復が行われたそうである。そして、すでに19世紀から20世紀への変わり目には毎年10万人を超す巡礼者が訪れ、1912年には城塞から高度差10m程下にホテル・レストランが建てられた。外壁はヴァルトブルクと同じ岩石を使い、しかしながら城より立派にはならないように建造されたらしい。この35の客室を持つホテルは、今日5ッ星ホテルとして営業している。

 

マルチン・ルターが滞在した部屋

 

ホテル・レストラン

 

ヴァルトブルクは1999年にユネスコの世界文化遺産に登録された。東ドイツであった時代も城塞は巡礼と観光で訪問者が絶えず、ホテル・レストランはその間ずっと営業を続けていたそうである。

 

意外とこじんまりした入り口を入ると右手に小さいホールがあり、大きなテーブルがフロントデスクだ。今どき珍しく、ポーターが部屋まで案内してくれる。

 

 

ホテル・レストランの入り口 ・ 門から見るホテル・レストラン

 

フロントに立つスタッフ

 

客室はシングルを予約していたので小さいけれども清潔で、黒い鉄製のカーテンレールやコート掛けの金具やドアの取っ手のデザイン、そして桟入りの窓ガラスを見ると、古城程では無いが、それでも古い造りであることは分かる。浴室は狭くてシャワーしかないけれども、良い資材を使ったモダンな機能的な造りである。窓下には所々に雪を残したチューリンガーヴァルト(中部ドイツの山地)が広がる。5ッ星ホテルなのでやはりスリッパと浴用ガウンが備えてあり、驚いたことに、量は少ないが一応ワインもビールもあるミニバーの飲み物が無料である。

私の部屋

レストランに行く途中に結構な広さのサロンがあり、木材の床で年代物のテーブルや椅子やソファーが沢山置いてある。暖炉には火が燃え、明かりを落とした壁灯に、クリスマスが近いのであちこちにローソクが灯してある。ゆっくりくつろいで夜を過ごすのに最適だろうと思わせる空間だ。

 

サロン

レストランは城塞の中ではないので歴史に押し潰されそうな重厚さはないが、天井も床も茶色の木製で約100年の歴史を感じさせる。レストランから少し奥まったところに大広間があり、50人くらいの人がディナーを食べながら観劇することができる。

 

レストラン ・ 大広間

さて夕食であるが、5品のコースメニューを注文した。

厨房からの挨拶の突き出しは、鮭の燻製をクレープの生地で巻いて、ハチミツ・カラシ・ソースと生の葉野菜をほんの少し添えてある。しかし鮭の燻製とクレープの組み合わせは良くないと思った。その代わり、と言うのも変だが、パンが焼き立てで美味しかった。

1品目はこの地方の子羊のアスピック料理にポテトとヤギ・チーズのグラタンをのせてある。周りにサイコロ状の赤カブの酢浸けと刻みパセリを混ぜたオリーブ油を散らしている。赤と緑が鮮やかでよろしい。

2品目は西洋梨の済ましスープで、中にニンジンとセロリの千切り及び鹿のソーセージの小さな団子が数個入っている。熱々で、酸っぱい様な甘い様な良い味である。

口直しの3品目はプラムのシャーベットと果実がふた切れ。

メインディッシュは猪だ。煮込んだイノシシのもも肉を黒ビール・ソースで食べさせる。付け合せは西洋キャベツとベーコンを冷搾りのナタネ油で炒めた料理とダンプリング(小麦粉の団子)であった。ドイツではよく牛肉を煮込むのであるが、私には牛肉との差が判らないくらいイノシシの臭みが無い旨い料理だった。

デザートは赤ワイン用の葡萄から作ったクリーム、バニラ・アイスクリーム、球形の揚げ菓子パン、そしてパフェのサクランボ・ソースかけ。もう満腹であるからか、デザートを美味しく感じない。次回コース料理を食べるときはデザートを省略してもらおうかと思う。

全体的に、レストランはこの地方の食材を使って土着の又はそれに近い料理を供するのであるが、量的にも視的にも味的にもアクを取って垢抜けさせているようだ。私が今まで食したうちで最も美味しい庶民的料理のひとつだと思う。

朝食はやはり昨晩のレストランで取るのだが、大きな窓から見渡せるチューリンゲンの山々の景色が素晴らしい。食事の内容は5ッ星ホテルのスタンダードである。サーヴィス・スタッフの対応も良い。各種ジュースの他にブルーベリーの飲むヨーグルトがあったり、ソーセージと卵料理は作り置きではなくて注文を受けてから作る、というのが目新しい。 „チューリンゲン・ソーセージ“ を注文した。全国的にその名を知られているのであるが、私には何が特別なのか分からなかった。際立って美味しいという訳でもないのだが、、、、。

ホテルと城塞の中庭には無数のクリスマスマーケットの屋台が立てられている。週末には店開きして中世のマーケットを再現するそうである。

2日目の夕食は、コースメニューが昨晩の1種類しかないので、ア・ラ・カルトで注文する。調理場からは鴨の胸肉の燻製がサーヴィスされる。あまり旨くない棒状のパンとまずまずの味の野菜のトマト煮が添えてある。

前菜として胡桃の実を使った小団子が入ったセロリ・クリーム・スープをたのんだ。ベーコンを焼き込んだスポンジケーキが付いている。

メインディッシュとして少々変わったものを注文した。地元の惣菜を色々少しずつ湯飲みのような食器に入れて一度に供してもらう。この地方の美味しいものを知るのに手っ取り早いやり方だ。焼いた脂肪の少ない豚のひき肉(少しパサパサでやや塩辛い)、焼きソーセージの自家製辛子添え(不味くは無いが、もう少し味に個性が欲しい)、ハチミツとキャラウェーの実入りのヤギ・チーズ(予想に反して癖が無い、キャラウェーの実は合わない)、レバーペースト入りポテト団子のムラサキキャベツ添え(旨い)、アスピック・ソーセージと二十日大根のサラダ(さっぱりしていて美味しい)、揚げホタルジャコの甘酸っぱ漬け(新鮮な魚がまだ暖かく良い味だ)、自家製の鹿肉ハム(少し塩辛くて美味しくない)。付け合わせとしてまだ暖かいジャコウソウ入りの黒パンが供されたが、不味くて殆ど残した。

この地は山の中の田舎だし旧東独なので、アレンジしていない地場の惣菜は繊細さに欠けると思う。中には美味しいものもあるけれど、、、、、、。

〔2010年12月〕〔2021年6月 加筆・修正〕

 

 

 

 

 


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