リコーダーアンサンブル夢笛

リコーダーの魅力に取り憑かれて
早30余年。
月二回の練習(第2・4土曜日)を基本に
活動しています。

旋法のはなし

2017-10-29 00:42:09 | Weblog

練習の時は、音階練習で音出しした後、吉沢実さんの「リコーダーアンサンブルの基礎と技法」の中から抜粋で何曲かやります。今日は「いつもあまりやらない曲」ということで、「12の小さなファンタジー」を。「ドリア調」「フリギア調」といった教会旋法の各調ごとに、4声で書かれた対位法的な作品です。「教会旋法のそれぞれの響きの特徴を味わうことも大切」と記されています。

「教会旋法」というのは、ひと言でいうとグレゴリオ聖歌時代の音階。音階といえば今は「長調」ドレミファソラシドと「短調」ラシドレミファソラの2種類しか思い浮かびませんが当時は、
 「ドリア調」 レミファソラシドレ (「レの旋法」とも呼ばれる)
  (すべて白鍵、シャープやフラットは原則つきません。以下同じ)
 「フリギア調」 ミファソラシドレミ (ミの旋法)
 「リディア調」 ファソラシドレミファ (ファの旋法)
 「ミクソリディア調」 ソラシドレミファソ (ソの旋法)
もあったということ。
シャープやフラットが付いてないハ長調のキィだとするなら、どれも同じではないの?何が違うの?と現代人は思ってしまいます。
「和音」や「調性」の概念がなく、単旋律の歌、朗誦がすべてだった当時の人にとっては、旋律の動きかたが何よりも重要だった。どの音で始まってどの音に落ち着くか、それによって雰囲気が違うこと、その違いに着目して旋法(mode)と呼んだのかもしれません。

ドリア調(レの旋法)は、ルネサンス時代の曲ではごく普通というかメジャーなもので、現在のポピュラー音楽でも健在です。例えば「スカボローフェア」、遠藤賢司「カレーライス」も典型的なドリア調ですね。

フリギア調(ミの旋法)で、まず思い浮かぶのがフラメンコです。コードネームでいうと「G-F-E」で終わる感じです。美織さんの「椋」アルバムに入っている「Sea Green」もフリジアン・スケールでしたね。

ミクソリディア調(ソの旋法)は、ビートルズの「ノルウェーの森」の初めに出てくる旋律の感じ、でしょうか。ド始まりに置き換えるとドレミファソラシ♭ドになるので、ロックやブルースでよくあるシがフラットするのも、ミクソリディアと言えなくもない。

リディア調(ファの旋法)は、現在ではほとんど耳にすることがありませんが、独特の雰囲気があります。ヘ長調のシがナチュラルになった感じということもできます。敢えて探すとこんな動画がありました。
https://www.youtube.com/watch?v=nVYb-GyDco4