努力万能

目標は生活を支配し、夢は人生を支配する
二兎追う者のみ二兎を得る

宮部みゆき『模倣犯』全5巻, 新潮文庫, 2005-2006(2001).

2007年08月29日 | 本の感想
8月29日

文庫本で5巻約2500ページの超長編社会派ミステリー小説。

『火車』や『理由』を読んだ時くらいの衝撃を受けた。
本書はそれらの作品よりも長さが段違いなだけに、
その衝撃の長さは比較にならないくらいであった。

連続婦女暴行殺人事件を、
その遺族、警察、さらには殺人犯など様々な立場から描く。
そして、視覚障害の問題、大衆心理の怖さ、マスコミ批判、
安易なジャーナリズム批判、
そして、
被害者加害者の遺族をケアするシステムが社会にないことを提起している。

こういった様々な社会問題を取り上げており、
もちろん小説はフィクションであるが、
こういった問題は現代の社会問題であることは間違いない。

といっても、やはり内容に引き込まれる。
夜中にひとりで読んでいると、
何回もドアが閉まっているか確認しに行くくらい、
怖すぎる内容ではあるが、
先が気になってなかなか寝れず読み進めてしまうくらいである。

あまりにも長すぎるので、
いざ読み始めるには勇気がいったが、
一冊読めば、流れが分かるので、
残りの4冊はすぐ読んでしまいました。
模倣犯1 (新潮文庫)
宮部 みゆき
新潮社

このアイテムの詳細を見る
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

宮本輝『私たちが好きだったこと』新潮文庫, 1998(1995).

2007年08月28日 | 本の感想
8月28日

文庫本約400ページの長編恋愛人間小説

飲み屋で出会ったある男二人と女二人が、
ふとしたきっかけから四人で一緒に暮らすようになる。

そこに二組のカップルが成立し、
一方のカップルが復縁など有り得ない断絶状態から、
まさかの復縁をとげると、
別れるなど有り得なかった主人公カップルに別れが訪れる。
最後の数ページまで、その復縁を期待しつつも、
残念ながらそれはかなわなかった。

しかし、そういった恋愛話が本書のすべてではない。
四人の共通点はなぜか自分ではない他人のために生きてしまうというものだった。
それはお人よしとかいい人という次元を越えて。

最初は四人が四人自身やその友達のために借金を重ねていき、
やがてはそれぞれの人生までも犠牲にしだす。
そしてそういった行動の歪みが徐々に大きくなり、
次第に四人がばらばらになってしまう話。

人はどこまで耐えられ、どこで限界がくるのか、
それを表現した小説とも言える。

まあ四人の限界がくるのが遅すぎるが。

やはり時間は魔法である。
そのことを感じさせてくれた恋愛小説におわらない恋愛小説。
私たちが好きだったこと (新潮文庫)
宮本 輝
新潮社

このアイテムの詳細を見る
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

谷村志穂『結婚しないかもしれない症候群男性編』角川文庫, 1999(1996).

2007年08月27日 | 本の感想
8月27日

男性編、
女性編と同じ構成。

私が男性なだけに
女性編より男性編の方がおもしろいというか共感を覚える点が多い。

そして解説はあのピーコ、
有名人だからというだけでなく何かおもしろく、
谷村志穂のまた別の面が見える。
谷村志穂は以前ピーコとワイドショーのコメンテーターをしていたらしい。
本書巻末にある著者作品一覧を見ても、その多彩さは理解できる。

ぜひそのころに谷村志穂を見てみたい。
結婚しないかもしれない症候群 男性編
谷村 志穂
角川書店

このアイテムの詳細を見る
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

重松清『流星ワゴン』講談社文庫, 2005(2002).

2007年08月24日 | 本の感想
8月23日

妻子ある38歳の会社員が主人公。

その主人公はリストラにあい、
息子は中学受験に失敗し引きこもりになり、
妻はテレクラにはまり、離婚を申し出るようになるというように、
家庭は完全に崩壊してしまっている。
そして数年前に父の会社を継がないことから喧嘩別れした父親は危篤状態。

このような状況に陥り、もう死んでもいいと思っていたとき、
目の前にふとオデッセイが現れ、呼びかけられるがままにその車に乗り込むことになる。

そのオデッセイには、
交通事故で亡くなったが
現世に悔いを残しているため成仏できずにドライブを続けているある親子が乗っており、
主人公はその親子とタイムマシンのようなその車によって、
自分の人生のターニングポイントに連れて行かれ、
自分の人生を振り返る話。

人生を考えさせられる小説、妻子があればより響くかなと。
なんちゅうか深い物語でした。
流星ワゴン (講談社文庫)
重松 清
講談社

このアイテムの詳細を見る
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

唯川恵『キスよりもせつなく』集英社文庫, 1997(1991).

2007年08月23日 | 本の感想
8月24日

文庫本300ページ弱の作品。

平凡なOLである知可子が主人公。
その知可子は二年付き合った恋人と別れ、
その傷が癒えぬうちに、
元恋人は知可子の同僚と付き合いはじめ、
やがてその二人は婚約に至る。
しかし、その元恋人は知可子の親友と浮気していたことがばれ、
婚約破棄となる。
知可子は元恋人への思いを吹っ切れず苦しむも、
取引先のバイトと恋に落ちていく。

流れは恋愛小説にありがちかもしれないが、
知可子の心理描写が絶妙で、
様々なトラブルを経た知可子の変化が物語の中心だろう。
全ての登場人物がそれを引き立ててくれる。
キスよりもせつなく (集英社文庫)
唯川 恵
集英社

このアイテムの詳細を見る


あと、やはりガジンとしては、
佐賀北高校の甲子園優勝に触れざるを得ません。
昨日はネットでその結果を確認したあと、
話をしたくてわざわざ事務室に行き、
同じガジンの方々と喜びました。

ちなみに僕はこの四月に、
去年まで優勝優勝準優勝の駒大苫小牧のある北海道から
佐賀県に引越してきたのですが、
今年は佐賀北が優勝してしまいました。
いやいやただそれが言いたかっただけです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

森博嗣『すべてがFになる』講談社文庫, 1998(1996).

2007年08月22日 | 本の感想
8月22日

ようやく森博嗣の小説を読んだ。
友達から進められ、興味を持ちつつも、
なかなか手に入れることができす、
手に入れてもその分厚さからなかなか手に取らなかったが、
ようやく一冊読んだ。
そしてもちろん、これからもっと他の作品も読んでいこうと、
この著者に惹きつけられる結果となった。

本書はかなり複雑なミステリーである。
本格派ミステリーとも言うべきかもしれない。
かなり複雑であるが、しかしその複雑さが、
思考して論理的に考える楽しみを演出しまくる作品。

登場人物が大学の助教授や助手や院生。

そして、著者は某国立大学工学部助教授ということもあってか、
内容には研究者らしき大学への不満やら、
その他思考パターンやら生き方やら考え方なりが書かれているのも、
まあこれなかなかおもしろすぎる。
すべてがFになる―THE PERFECT INSIDER (講談社文庫)
森 博嗣
講談社

このアイテムの詳細を見る

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

盛田隆二『おいしい水』光文社文庫, 2005(2002).

2007年08月20日 | 本の感想
8月20日

マンションに住む主婦を主人公とする約450ページの恋愛家族小説。
主な登場人物は同じマンションに住み、
子供が同じ幼稚園に通う主人公を含めた五組の夫婦。

ありそうな話しが続く前半、乱れだし現実実が掛けてくる後半、
という感想を持つのはまだ自分が若く、
結婚に幻想を抱いているからなのか。
その答えは人生の歩みとともにでるものとしておきたい。

本書を手に取ったきっかけは、
何か読んだことのない作家の書いた恋愛結婚家族小説はないかと、
アマゾン上をネットサーフィンしたことにある。

これまでは読む本は知ってる作家の作品や
知人にすすめられたものにほぼ限られていたので、
一気に世界が広まった気がする。
ネットサーフィンはなかなかいい本に巡り会わせてくれた。

そしてイーブックオフという1500円以上で送料無料システムをもつ
古本ネット販売を利用。
これまで小説はほぼブックオフ店頭に限られていたので、
購入方法も広がりました。
おいしい水
盛田 隆二
光文社

このアイテムの詳細を見る
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

けらえいこ『セキララ結婚生活』講談社文庫, 2000(1991).

2007年08月17日 | 本の感想
8月17日

「あたしんち」の作者が書いた漫画、
ほんわか面白い、
笑いにやけながら何度も読める。
セキララ結婚生活 (講談社文庫)
けら えいこ
講談社

このアイテムの詳細を見る
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

谷村志穂『結婚しないかもしれない症候群』角川文庫, 1992(1990).

2007年08月10日 | 本の感想
8月10日

著者自身のエッセイと、
著者が友人など多くの結婚していない人に対してインタビューを行い、
その人の生活や考え方を紹介しながら、
それに対する著者の感想をつづったもの。

今から17年前の本だけあって、内容は多少時代が違う気もするが、
女性がバリバリ仕事をしてマンションを買う話、不倫話など、
自分の周りでは聞かない話が読め、
こんな人もいるのかあと思え、
様々な生活スタイルが見えてくるのが面白い。
一つ一つも長すぎす、読みやすい。

私も未婚なこともあってか、
これだけ未婚話が続くと、
人はどういうタイミングで結婚するのだろうか、
なんて思ってしまう。
もう友達の結婚式にも何回も出席している年齢ではあるが。

あの『ドラゴン桜』で私を魅了してくれたサエコが、
結婚してしまうということを聞くと、そういうものかと思いつつも。

本書終盤には男性読者からの手紙が紹介されており、
それをきっかけとしてなのか、
本書の男性編も出版されているので、
またいずれ読んでみたい。
結婚しないかもしれない症候群
谷村 志穂
角川書店

このアイテムの詳細を見る
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

門倉貴史『ワーキングプア:いくら働いても報われない時代が来る』宝島新書, 2006.

2007年08月08日 | 本の感想
8月8日

五章構成で、各章ともまず数字を多用した分析記事があって、
そのあとに、ドキュメントとしてワーキングプアに陥ってしまっている人々などの
インタビュー記事が掲載されている。

分析記事はもちろん興味深いが、
どうもさまざまな数字が多用されているためか、
全部理解しようと思って読むとかなり疲れるので、
飛ばし飛ばしになってしまいました。

それよりも、インタビュー記事はおもしろいです。
本書の価値はこのインタビュー記事にあるのでは、と思うくらいです。
様々タイプのワーキングプアの現状が浮かび上がってきます。
その多彩さから、
ワーキングプアに定型は当てはまらないと思いますので、
このように事例が多く掲載されている本書は読み応えありです。
ワーキングプア いくら働いても報われない時代が来る (宝島社新書)
門倉 貴史
宝島社

このアイテムの詳細を見る
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする