牧師の読書日記 

読んだ本の感想を中心に書いています。

9月10日(火) 「 「食える農業」の秘密② 」 長谷川久夫著

2013-09-10 06:04:13 | 日記

 本書を読み終えた。

 本からの引用。「農業を産業として成立させるには、やはり原価計算を考え、利益が出るやり方を実践しなければならない。、、、、作りっぱなしではなく、きちんと商品の品質に責任を持って届けるから、それに見合う対価を支払ってもらえるようになる。これが農業を産業に育てる方法だと思っている。、、、、直売所でしか売れない農産物、直売所でないとできない売り方にもっと力を入れるべきだ。」

 著者はスーパーと競って安さ合戦をしても勝ち目はないと書いて、直売所は品質や直売所らしさで勝負すべきことを強調している。


 本からの引用。「みずほは農産物の品質重視を理念に掲げている。、、、、今、日本にはおよそ約1万7000ヶ所の直売所があるそうだが、ほとんどが理念もなく、農家が作ってきたものを並べているだけのところばかりだ。いったい何のための直売所なのか分からない店が多い。」

 「みずほに出荷している農家は、早くから原価計算をして計画的な作付けや出荷をしている。作りっぱなしの農家とは違い、売り上げまで責任を持ち、自覚も備える経営者の視点を持っている。、、、、全国にある直売所が、原価計算も何も考えずに安売りに走っている。もう共倒れ状態であるに違いない。いつまでもボランティア感覚で安売りをしていては、農家が農業だけで食べていくことは難しいのだ。直売所が価格を引き上げる牽引役になるくらいでなければ、農業の産業化をサポートすることはできないだろう。」

 さすが20年以上もトップクラスの直売所を経営している人らしく、随所に感心させられる文章がある。著者は農家が農業だけで食べていけるようになるにはどうしたら良いかを真剣に考えている。そのためには農業を産業にしなければならないと主張している。まさにその通りだと思う。

 ただ少し残念なことは最後の方で書いてあった放射能検査についてである。放射能の危険に対する認識が甘い。汚染されている茨城県に直売所があるのだから、その自覚をもっと持ってやっていかないといけない。そもそも原発事故後に国が農産物に設定した放射能の基準が甘かったのだ。放射能の被害実態が明らかになるのはこれからだ。そのような中で東京でのオリンピック開催が決定した。韓国が日本の魚の輸入を禁止したが、これは当然である。これが世界の認識である。東京でのオリンピック開催が決まったことにより、これからますます海外に対しても国内でも、国と国から圧力がかかったマスコミによって放射能被害の実態は隠されるようになるのはまず間違いない。そのことに気づけている日本人はどれくらいいるだろうか。 

 私たちの自前の直売所もまだオープンして一ヶ月経っていないが、9月に入ってきてから感謝なことに少しずつお客さんの数が増えてきている。旗の数を増やして宣伝していること、地域の人に認知されはじめてきたこと、食欲の秋がきていること、果物が増えてきたことなど要因はいろいろとあると思う。理念をしっかりと持って、試行錯誤しながらやっていきたい。