牧師の読書日記 

読んだ本の感想を中心に書いています。

2月18日(月) 「会社にお金が残らない本当の理由②」 岡本吏郎著

2013-02-18 09:35:22 | 日記

 副題は、ビジネス環境を支配する「7つのシステム」とお金を残すための「4つの数字」。前回は「7つのシステム」の箇所を読んだが、今回は「4つの数字」である。本書は、『10年後あなたの本棚に残るビジネス書100』(ダイヤモンド社)にて経営マネジメントに強くなる8冊の中に選ばれているようだ。


 著者は、4つの数字は管理すべき数値、目標すべき数値として有効で、この4つの数字をおさえればお金を残すことができるとしています。その4つは以下の通りです。

 1.一人当たり付加価値  売上から仕入れを引いたお金が付加価値。本からの引用。「立派な自社ビルを持つ会社で、一人当たり付加価値が300万円しかない会社がゴロゴロあるのが日本の中小企業の実態です。一人当たり付加価値が300万円ということは、社長を含めた社員の給料の平均額が300万円になったら赤字ということです。つまり、賞与と社会保険料も含めた給料の平均が300万円以下ということです。、、、、700万円ぐらいを目指すべきなのでしょうか?それは違います。1500万円以下を目指すべきです。1000万円以下の普通の会社をやっていたら、内部留保なんか大してできません。ちょっと何かあったらお陀仏です。」

 2.労働分配率 労働分配率とは、付加価値をどれくらい人件費に分配したかという指標。本からの引用。「役員報酬と社員給料は分けて考えます。、、、さて結論だけ言ってしまいましょう。私の経験では役員報酬を20%、社員給料は30%、合計50%という分配が適正だと考えています。つまり、先ほどの八百屋でいえば、稼いだ付加価値(粗利益)2000万円のうち400万円を役員が取り、600万円を社員がみんなで分けるということです。当然、この金額には所与や社会保険料などの厚生費用も入ります。」

 教会経営でも人件費は50%に抑えるべきであると言われている。人件費(牧師給与や教会スタッフへの給与)を払いすぎると教会は立ち行かなくなる。会社特に中小企業はそうであると思うが、人件費(役員報酬)を(実際に)払いすぎて経営が立ち行かなくなっている会社が多いのだろう。倒産する会社は年間およそ10000件である。

 3.一人当たり経常利益  本からの引用。「一人当たり経営利益が5万円。こんな数字の中小企業は世の中にたくさんあります。問題は、「こういった数字で会社は存続できるのか?」ということです。結論はできません。みんなで温泉に行けばもう赤字。私は、一人当たり経常利益200万円を最低基準にして経営するように言っています。」

 4.ROA(総資本経常利益率)、CROA(総資本キャッシュフロー率)    ROA(総資本経常利益率)=経常利益÷総資産  本からの引用。「おばあちゃんが1000万円持っていたら郵便貯金でもして利息を稼ぎます。私たちは企業家ですから何かに投資して利益を稼ごうとします。その利回りがこのROAです。ですからおばあちゃんには負けていられません。最低でも郵便貯金より高い利回りがなくてはいけません。そして、この指標は一般的には7%あればいいと言われています。しかし、それは大企業用の数値です。利回りは運用資産が少ないほど高くなるというのが常識です。、、、、私は中小企業では利回りにあたる総資本経常利益率(ROA)は20%は欲しいと考えています。特に総資産が少ない経営初期には50%は取るよう指導しています。」

 「さて、代表的な四つの指標を見てきました。これらの指標はそれぞれ関連しています。そして、集約すればROAだけを管理していれば良いことになります。」


 続いて本からの引用。「 「役員報酬」とは何なのでしょうか?一言で言うと「ただの数字」です。では、なぜ「役員の報酬」は「ただの数字」なのでしょうか? それは、役員報酬の最大の役目が税金を最小化することだからです。日本の税制が生んだ最大の鬼子は「給与所得控除」です。一般的に、サラリーマンは会社からもらう給料がすべて補足されているから自営業者より税金で損をしているという考えがあります。しかし、これは一面的な見方でしかありません。サラリーマンが税金を計算する時に使っている「給与所得控除」。野口悠紀男さんは、この「給与所得控除」を「合法的脱税に近い存在」と言っています。例えば、会社から給料を700万円貰っている人は「給与所得控除」を引いたら510万円が所得として認識されます。27%も所得が少なくなってしまうのです。こんなおいしい仕組みをサラリーマンだけに使わせておくのはもったいない話です。そこで多くの自営業者が会社をつくっています。そして、会社から役員報酬をもらうという形で節税をしています。」

 「役員報酬1000万円は「ただの数字」なのです。ところが、これを額面通りに取ってしまうからお金が残らなくなる。これが日本の中小企業のお金が残らない根本的な原因です。月並みな言い方ですが、実力以上の支出をするからお金が残らないだけです。単に使いすぎている。それだけなのです。」