経営書の基本書であると言われている「マネジメント」。著者はビジネス界に、最も影響力を持っていた思想家として知られている。この本は「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」によって日本で一躍有名になった。「もしドラ」は切り口が面白く成功したのだろう。
序文からの引用。「今やあらゆる先進社会が組織社会になった。主な社会的課題はすべて、マネジメントによって運営される永続的存在としての組織の手にゆだねられた。」
パート1のタイトルは「マネジメントの使命」である。本からの引用。「マネジメントとは、組織の機関である。組織とは、社会的な機能を果たし、社会に貢献するための社会の機関である。、、、、マネジメントには、自らの組織をして社会に貢献させる上で三つの役割がある。」
1.自らの組織に特有の使命を果たす。
2.仕事を通じて働く人たちを生かす。
3.自らが社会に与える影響を処理するとともに、社会の問題について貢献する。
「企業とは何か」の項目からの引用。「企業とは何かを決めるのは顧客である。なぜなら顧客だけが、財やサービスに対する支払いの意志を持ち、経済資源を富に、モノを財貨に変えるからである。、、、、企業の目的は、顧客の創造である。従って、企業は二つの、そして二つだけの基本的な機能を持つ。それがマーケティングとイノベーションである。マーケティングとイノベーションだけが成果をもたらす。」
・マーケティング ー 顧客の欲求からスタートする これまでマーケティングは、販売に関係する全職能の遂行を意味するに過ぎなかった。それではまだ販売である。我々の製品からスタートしている。我々の市場を探している。これに対し真のマーケティングは顧客からスタートする。すなわち現実、欲求、価値からスタートする。「我々が何を売りたいか」ではなく、「顧客は何を買いたいか」を問う。
・イノベーション ー 新しい満足を生み出す
「事業は何か」の項目からの引用。「顧客にとっての関心は、彼らにとっての価値、欲求、現実である。この事実からしても、「我々の事業は何か」との問いに答えるには、顧客からスタートしなければならない。すなわち顧客の価値、欲求、期待、現実、状況、行動からスタートしなければならない。従って、「顧客は誰か」との問いこそ、個々の企業の使命を定義する上で、最も重要な問いである。」
「ほとんどの事業が少なくとも二種類の顧客を持つ。生活用品のメーカーは主婦、小売店という二種類の顧客を持つ。主婦に買う気を起こさせても、店が品を置いてくれなければ何にもならない。店が目につくよう陳列しても、主婦が買ってくれなければ何にもならない。」
教会の働きにおいてアメリカのサドルバック教会(リック・ウォレン牧師)は顧客(クリスチャンでない人)の必要からスタートして成功と成長をしている。農業においても売れ筋の(お客が欲しがっている)農産物というものがある。特に直売においてはそれらを陳列しておくことが大切であろう。直売の場合は、顧客が一種類(主婦など)ですむので大きな可能性があると思う。昨日、先週札幌で商談会をしたネット販売をしている会社から連絡があり、トマトジュースをネットに載せてもらい販売できそうだ。良いニュースである。これで一つの顧客をクリアできたので、次はネットを見たもう一つの顧客から選ばれるかである。
「事業の目標」の項目からの引用。「目標設定においても、中心となるのはマーケティングとイノベーションである。なぜなら、顧客が代価を払うのは、この二つの分野における成果と貢献に対してだからである。」
・マーケティングの目標 集中の目標は、基本中の基本というべき重大な意思決定である。集中についての目標があって初めて、「我々の事業は何か」との問いに対する答えも、意味のある行動に換えることができる。
・イノベーションの目標 イノベーションの目標とは、「我々の事業は何であるべきか」との問いに対する答えを具体的な行動に移すためのものである。いかなる企業にも、三種類のイノベーションがある。
1.製品とサービスにおけるイノベーション
2.市場におけるイノベーションと消費者の行動や価値観におけるイノベーション
3.製品を市場へ持って行くまでの間におけるイノベーション
続いて本からの引用。
「企業が業績をあげる上で必要とする三種類の経営資源それぞれについても、目標が必要である。経済活動には三つの資源が必要である。土地つまり物的資源、労働つまり人材、資本つまり明日のための資金である。これら三つの経営資源を確保しなければならない。特に良質の人材と資金を引き寄せることができなければ、企業は永続できない。」
「経営資源を手に入れ、それを利用することは第一歩に過ぎない。それらの経営資源を生産的なものにすることが課題である。あらゆる企業が、物的資源、人材、資金という三つの経営資源についても生産性の目標を設定しなければならない。同時に、生産性全体についての目標を設定しなければならない。、、、、生産性の向上こそ、マネジメントにとって重要な仕事の一つである。困難な仕事の一つである。、、、、利益が企業の目標を達成する上で必要となってくる。利益とは、企業存続の条件である。利益とは、未来の費用、事業を続けるための費用である。」
「そして最後の段階が、目標実現のための行動である。「我々の事業は何か。何になるか。何であるべきか」を考え、目標を検討するのは、知識を得るためではなく行動するためである。その狙いは、組織のエネルギーと資源を正しい成果に集中することである。従って、検討の結果もたらされるべきものは、具体的な目標、期限、計画であり、具体的な仕事の割り当てである。目標は、実行に移さなければ目標ではない。夢に過ぎない。」