
松江市議会議員として活動させていただき、二度目の新年を迎えました。皆様からの励ましを支えに、原発問題を中心に再生可能エネルギー推進の取組み、教育の場における子どもの人権問題、サービス低下を招く介護保険制度改悪問題、化学物質過敏症対策など様々な問題について、議会質問や日常活動に取り組んでまいりました。新年を迎え、また新たな気持ちで、引き続き市民の皆様がなお一層暮らしやすい町となるよう、努めてまいりたいと思います。なにより、原発のない町づくりは、あらゆる問題の基礎として築いていかなければならないと考えて取り組んでまいります。
原発を今後も活用するのか、それとも再生可能エネルギーの活用に切り替えていくのかという問題については、原発が立地する松江市にとって地域経済や雇用に影響する問題でもあり、意見は割れる所ではあります。ですが、ドイツでは昨年度の上半期で再生可能エネルギーの占める割合が28.5%へと増加し、ついに再生可能エネルギーが主要な電源の位置を占めることになりました。一方で、化石燃料による発電量は、褐炭による火力発電が前年同時期比で4.9%減、石炭は11.1%減、天然ガスは16.7%減と減少し、原子力による発電も2.1%減少しています。(自然エネルギー財団:2014年9月連載コラムより)そして、この取り組みはドイツだけでなくEU諸国でも拡大し、2000年から2009年の間で自然エネルギーの経済を切り開き、何十万もの雇用が生まれることになったといいます。
一方で、原発事故から4年が近い福島では、故郷に帰ることができない方たちがたくさんいらっしゃいます。また、子どもたちの間では、県の健康調査によって108人の子どもたちに甲状腺がんとその疑いが確認されています。国は、原発事故が原因ではないと説明していますが、WHO分類で発生頻度0.8%とされる希ながんが、福島では3.6%も見つかるのは異常なことです。
現在、原発では様々な安全対策が取られ、原子力規制委員会では基準に適合しているか審査が行われています。ですが、田中規制委員長は「原発の安全性について審査しているわけではない」と言います。“二度と福島のような事故は起きない!”とは誰も断言してくれないのです。このまま原発を再稼働すれば、いつか、私たちの町で同じことが繰り返されるかもしれません。フクシマを繰り返さないためには、二度と原発を動かさないことです。
電力需要についても、福島原発事故以前から最大電力需要が頭打ちの傾向が続き、事故後は減少が続いています。このことは、中国電力の株主総会案内資料にも明確に示されており、どんなに猛暑でも最大電力が伸びないことがはっきりとしていました。むしろ、人口減少が深刻な問題としてクローズアップされており、需要は減少が続くのは確実と見るべきです。これ以上に供給電力を増やす必要はありません。現在、原発の代わりに大きな割合を占める火力を計画的に再生可能エネルギーに切り替えていけばいいのです。
豊かな自然が残るこの松江市において、新しい地域経済をけん引していくことにもなる再生可能エネルギーの活用に取り組んでいくことこそ、命を守り、市民が豊かに暮らしていく要になると信じます。