風箱の徒然ブログ

旅の思い出話から、木工、日常の徒然を気ままに

京都・奈良に入る

2010-09-03 21:20:00 | 1996~97原付日本一周後半編
1997年6月8日

晴れ。
9:25養父市場近くの運動場公園の空き地より出発。

13:32京都駅前通過。

昼飯は奈良市内の餃子の王将。
餃子180円。

唐招提寺、薬師寺、そして法隆寺へ。


ここ数日、「見る」旅がとても充実しているなと思う。
「出会う」旅は、道を通り過ぎてゆくライダーの何人かと手を上げたあいさつくらいのものだ。
鳥取のを過ぎた辺りから、国道9号線はけっこうライダーが多い。
バックパッカーもいたが、道中歩くのに夢中みたいだった。
近い将来、自分もあんな格好をして歩くのかな、と走りながら想像してみた。

バイクが時々、カキン、カキン、とイヤな音を立てる。
またスポークが折れたかなと見てみたが、それはなかった。
しかし、すでに3本は折れているから他の所に無理がきて、キシんでいるのかも知れない。心配だった。

昨日、テントを張り終えた時に、点検と注油をした。
チェーンにたっぷりとチェーンオイルを吹き付ける。
クラッチワイヤにも、ブレーキへの連動部にも。
エンジンオイル量を見てみたが、半分くらいに減っているが、粘度も割合あるし、汚れ具合もまあまあ。何とかなるだろう。

一番心配なのはやはり後輪だ。
タイヤ溝もツルツル、スポークが全部折れたらどうしようと思うと気が気でないが、金が無いから、どうしようもない。
早く帰らなきゃと思う反面、家に帰りたくないというのもある。

さて、京都に入った。市街地に入るのは3年振りだ。
あの時は、専門学校の同級のY君と一緒だったが、あまり楽しい旅行とは言えなかった。
道に迷わないようにと、しっかりと道路の案内板を確認し、走った。
おかげでスムーズに通過できた。
今日は日曜日。観光客がいっぱいだ。外人も多い。
駅はギラギラのガラス張りの大きな建物に生まれ変わっていた。
巷ではけっこう話題になっていたようだが、思えば約1年、僕は外に出っぱなしで、映像のニュースを見る割合がとても少なく、どんな事が起きているのか分からない。
ラジオでは物の姿は見えないから。

店に入ると、関西弁だ。
生の関西弁である。子供もしゃべっている。
あたりまえか。
関東の自分にとっては珍しいと思って聴いてしまうのだ。

京都を通り過ぎて、奈良へ。
京都と奈良の距離は、関東に例えると、厚木から新宿へ行くような感覚だ。距離にして40kmくらいか。

法隆寺が見たかった。
そして薬師寺。西岡常一棟梁が手がけた五重の塔を見たかった。
空は曇ってきた。車が多い。

山陰から京都方面に向かうにつれ、一日走り終えると、顔は排気ガスで黒く汚れる。
顔を拭くとタオルがとても汚れる。
良い気持ちはしない。

まず薬師寺。
拝観は500円。高くも安くもないが、今の自分にはこの金額はつらい。
外から見るしかなかった。
しかし、西岡氏の見事な仕事は、塀の外から見ても良く伝わった。
今は無き西岡氏に深い敬意を表す。

次は法隆寺だ。
高校の時に見そびれて、見たいと思い続けてから7年も経ってしまった。
それがついに見ることが出来る。
16:45
ああ、やっと来れた。
そこは駅とバス停のすぐ近くだった。
これなら電車で来てもつらくは無い。

バイクはこう言う時に良い。
停める場所には困らない。
寺は17:00に閉門してしまうので、人は少なかった。

世界最古の木造建築。1000年もここに建ち続け、風雪に耐えてきた偉大な文化遺産。
その姿はとても美しく、力強かった。
その存在感は、チベット山々や植村さんの冒険などと同じく心にキーンと突き刺さる。

やっぱり来てよかった。
僕も何か作る時、深く人の心に残る物を作りたい。

今回はここに来るのが遅くなってしまい、境内には入れなかった。
また来るよ。