人生ブンダバー

読書と音楽を中心に綴っていきます。
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1/30 『タンホイザー』(新国立劇場)(長文)

2019-02-03 05:00:00 | 音楽

1月30日(水)、ラウンジ懇話会を早めに失礼し、昼食後、新国立劇
場の歌劇『タンホイザー』を観る。

忘れていたが、新国立劇場の『タンホイザー』を観るのは2回目だ。
前回は、平成25(2013)年1月30日だからピッタリ6年前だ。その年
は、「R.ワーグナー生誕200年」だった。

そもそも新国立劇場で『タンホイザー』が上演されるのは平成19(2007)
年、25年に続いて3回目で、演出はすべてハンス=ペーター・レーマン
だ。--今回も同じ演出を観たことになる。

H=ペーター・レーマンはドイツの演出家でヴィーラントとヴォルフガン
グ、両ワーグナーの助手を務めたこともあり、シンプルな舞台装置だ。
しかし「現代演出」という感じではない。


三つの「版」について
『タンホイザー』は、上演の順に「ドレスデン版」、「パリ版」、「ウィ
ーン版」があり、当演出のH=ペーター・レーマンは、「ヴェーヌスベル
クとヴァルトブルクとの対比を明確にするためにも」ウィーン版を採る
必要があると言っている(休憩中、Hさんに三つの版について少しく教
えてもらった)。

しかし、改めて稲田隆之氏の小論(「『タンホイザー』の改訂プロセス
と三つの『版』の問題」)を読むと、問題はいささかややこしいようだ。
要するにワーグナーは必要に応じて、修正を重ねており、ワーグナー自
身が「~版」という意識をもたなかったということのようだ(「ウィー
ン版」も人によって何をさすのか違う?)
入れたり出したり、折衷版という言い方もあるくらい?かしらん。
(フランスでは[いい]テノールがいなくてヴァルターの歌をカットし
たとか)。

Cast
領主ヘルマン;妻屋秀和
タンホイザー;トレステン・ケール
ヴォルフラム;ローマン・トレーケル
ヴァルター;鈴木 准
ビーテロルフ;萩原 潤
ハインリヒ;与儀 巧
ラインマル;大塚博章
エリーザベト;リエネ・キンチャ
ヴェーヌス;アレサンドラ・ペーターザマー
牧童;吉原圭子
4人の小姓;前川依子、福留なぎさ(Sop.)
      花房英里子、長澤美希(Mez.)

指揮;アッシャー・フィッシュ
演出;ハンス=ペーター・レーマン
合唱;新国立劇場合唱団
バレエ;新国立劇場バレエ団
管弦楽;東京交響楽団

第1幕 
第1場 バッカナール (バレエ)
第2場 
 タンホイザーとヴェーヌス(ヴェーヌスベルクの洞窟)
第3場 
 牧童「美しい5月が来たのだ」
 老巡礼たち(ローマへ向かう)「巡礼の合唱1」
 タンホイザーと領主、狩りの一行(ヴァルトブルクの春)

第2幕 (ヴァルトブルク)
 エリ-ザベト、ヴォルフラム、タンホイザー
 領主とエリ-ザベト     
 騎士たち、貴族たち、領主 「入場行進曲」
 ヴォルフラム、タンホイザー、エリーザベト 歌合戦

第3幕 (ヴァルトブルク)
 ヴォルフラム、エリーザベト、巡礼たち 
 「巡礼の合唱2」
 「夕星の歌」
 タンホイザー、ヴェーヌス
 歌手たち、騎士たち、貴族たち
 巡礼たち 「フィナーレの合唱」


歌手について、妻屋ヘルマンはいつもながら貫禄十分で立派なもの。

T.ケールのタンホイザーは、「現代最高のヘルデンテノールの一人」
とのことだが、さほど「重い」とは感じなかった。「重い」のは体重
で膝がよくないような歩き方。
それにしても、タンホイザーはほとんど出ずっぱりで大変な役だ。

R.トレーケルのヴォルフラムはややスリムな長身。ベルリン州立歌劇
場を中心に活躍しているベテラン。「夕星の歌」だけを取り上げれば、
谷口伸さん(古くは中山悌一)も「負けず劣らず」ではないかしらん。
(「優るとも劣らず」?)

エリーザベト(L.キンチャ)とヴェーヌス(A.ペーターザマー)は、
それぞれ「持ち役」としているだけによかったのではないかしらん
(--お二人とも立派な体躯--とくにA.ペーターザマーは)。

「エリーザベトの祈り」はいつ聴いても感動する。

日本人歌手も大健闘だが、吉原さんの牧童はなかなかのものだった。



新国立合唱団は世界的に見ても聴いても立派なものだと思う。各幕の
合唱ともいつもながらすばらしいと思いながら聴いていたが、フィナ
ーレの合唱では、女声合唱から全員合唱になるタイミングでズレが生
じるという珍しい場面があった(さすがプロで、すぐに持ち直して本
当のフィナーレとなった。--やはり!この場面は感動する)。

こういう、どこで起こるか分からないハプニングがあるのも(Liveの)
オペラのおもしろさと言えるのかもしれない。

この日、ピットに入った東響について言えば、出だしのホルン--
「巡礼の合唱」のテーマは立派なものだったが、「入場行進曲」に入
る場面のトランペットは、この日は一瞬だがはずしていた(笑)。


生だから、毎回がCDのように完璧でもないだろう。これは本当に大切
なことだ。ベルリン・フィルでも必ず誰かがミスしているという(つま
りはミスも音楽のうち?)。ミスを聴くのではなく、「全体として音楽」
(の流れ)を聴かなければいけない。

日本人の聴衆はレコードと比較して聴くから怖いと外来演奏家の誰かが
言っていた(何十年も前の話)--と吉田秀和さんが書いていた?
ミスしようとしてミスできれば上手いものだが(笑)。

(「コンクール主義」の弊害?)



<その他>
お客の入りはよく入っていた。マチネの方が入るのかもしれない。

お隣の老夫婦のご主人が風邪でマスクをしていたが、第1幕などガーガー
いびきをかくのにはまいった(奥さまに注意いただきたかったのだが
・・・・・・[笑])。




プログラム



11:58 正面の棟は足場解体へ


12:00


12:00 ゴミ置き場も塗装中


12:06 あざみ野2丁目


12:07 旧カリタス女子短大跡地 再開発中


12:07


12:10 新しいお店?


12:16 もう河津桜の季節だ。「もうすぐ春ですね~」


12:17 あざみ野


12:42


12:44 井の頭線へ


12:48


13:00 明大前経由


13:02 明大前


13:06 笹塚


13:11


13:15


13:16


13:17 開場したばかり


13:18


13:20 プログラム売場


13:41


13:42


13:46


13:47 2階R12列3へ


15:18 1回目の休憩25分間


15:23 1回目の休憩中 Nさんとオペラ談義
突然、Hさんが現れる。
「あれっ、ボクが今日来るって知ってたんだっけ(笑)」
「バックステージツアーが当たりました」
「お~、よかったね~」(と言ったかしらん)


15:36


16:51 2回目の休憩時間 Hさんに「版」について教えていただく。


18:14 お開き


18:26 初台


18:31 笹塚


18:35 明大前


18:37 明大前


18:47 渋谷


18:51 田園都市線渋谷


18:52 いよいよ渋谷にもセーフティーガードが


19:23


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2 コメント

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Unknown (田中文夫)
2019-02-03 22:59:20
今日(2月3日)、大田区民ホールで開催された一橋大学男声合唱団・コールメルクール創立100周年記念演奏会へ行きました。
配布されたプログラム(パンフレット)に各演奏曲目の解説が記載されており、
歌劇「タンホイザー」より(作曲/R.Wagner 編曲/福永陽一郎)の曲目解説の最後に
“なお本日の演奏で使用する楽譜は慶應義塾ワグネル・ソサイエティのご厚意により、特に提供いただいたものです”と書かれていました。







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Unknown (katsura1125)
2019-02-04 05:53:56
田中さま、早速のコメント有難うございます。
コール・メルクール100周年、おめでとうございます。
大正8年創立ですね?さぞや盛り上がったことでございましょう。
インフルエンザが流行っているので、体調管理も大変だったかと。
返信する

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