7月26日(日)。かっと暑い。風強し。錦糸町のすみだトリフォニー大ホールで
OB四連が開催された(開演1時)。すみだトリフォニーは新日フィルにとっても
私にとってもホームグランドである。
錦糸町ではドトールで眠気覚ましにコーヒーを一杯。12時30分、ホールに到着。入
り口でプログラムをもらうや、早速2階で「予習」をする。プログラム登録メンバ
ーは新月会(関学)86名。稲門(早稲田)70名。クローバー(同志社)92名。ワグ
ネル(慶應)88名であった。
当日はワグネルの多田武彦委嘱作品(東京初演)を除き、「知った曲」ばかりでど
んな演奏になるか楽しみだった。(座席は1階9列-13)
1.エール交換(新月会、稲門、クローバー、ワグネルの順)
2.新月会 多田武彦「雪明りの路」(広瀬康夫指揮)
3.稲門グリー 團伊玖磨「岬の墓」(西田裕己指揮、ピアノ前田勝則)
--休憩--
4.クローバークラブ 「魂の叫び」~Afro-American Spirituals
5.慶應ワグネル 多田武彦「過ぎし日」(委嘱作品、東京初演)(畑中良輔指揮)
6.合同演奏 石井歓「枯木と太陽の歌」(佐藤正浩指揮、ピアノ前田勝則)
1.エール交換--ステージは330人の大人数でぎゅうぎゅう詰めである。--のフ
ァースト・インプレッションは(どうしてもTopを聴いてしまう。)
新月会 大人の声(響きがちょっと・・・・・・)
稲門 いい声。現役に見られるリキミも感じない。
クローバー 若々しい声。最後のBrotherhoodがよかった。
ワグネル 2番まで歌った!やや速めのテンポで前に前に行く指揮。
2.広瀬氏の「雪明りの路」を聴くのは初めてだろうか。1曲ずつピアノで音取りを
する「安全運転」だった。続けて聴くのとはまた違った印象である。①「春を待
つ」に注目したが、アゴーギクといい、気持ちゆっくりのテンポといい、大変よ
かった。②「梅ちゃん」の「あの藁家が崩れた」ではいかにも関学らしい、意味
ある、見事なディミヌエンドに惹きつけられた。(お互いに聴き合うことが徹底
している。パートの声、ピッチの均質性のすばらしさ!)③「月夜を歩く」には
なんともいえない柔らかさ、寂しさの中に温かさがあった。④「白い障子」はあ
えてあっさり。⑤「夜まわり」でのベース系のユニゾン・ソロの思い入れはいか
ばかりであろう。⑥終盤「しずかなあおい」はスケールが大きかった!関学は多
田武彦作品ではどちらかというとさっぱりとした歌い方の印象を持っていたが、
今回は造型の大きな、大変ロマンティッシュな演奏を聴かせてくれた。大きなブ
ラボーを叫んだのはいうまでもない。
3.4団体の中では唯一ピアノ伴奏付き。(前田さんのピアノはいつもステキ!)西
田氏は昭和50年度の学指揮。その白髪にビックリ。福永先生のイロも加わってい
るのかもしれないが、これがまた造型の大きな「岬の墓」を聴くことができた。
深い呼吸!粘るべきところで粘りを見せた。子音もよく聴き取れる。*友会より
いいのではないか。「永遠の休らいと暗い影」--ここで感じるのは初めてであ
る。途中から自然背中が離れた。「船出 せよ~」で大きなタメを見せた。ソリ
ストも十分。「風は何を語るや」は80年版の編曲で、魅力的だった。大きなスケ
ールで、私のやってもらいたいことをすべてやってくれた。西田さん(存じ上げ
ないけれど)有難う!「僕のことならほっといて」さんもご満足でしょう。→こちら
それにしてもブラボーが私一人とは納得がいかない。
4.いわゆる「黒人霊歌集」である。ワグネルより英語がうまいのは伝統だろう。
(エールも英語である。)中では④「Steel Away」の静寂な、悲しみの世界がす
ばらしかった。⑤「Listen to the Lambs」の哀愁もよかった。最後の「Ev'ry
Time I Feel the Spirit」ではステージいっぱいに広がって歌い終えた。(一般
的には楽しいステージ。3、4人からブラボーがかかった。)
5.2:40 譜面台、大きな譜面、台付きのマイクが運び入れられた。2:42 ワグネルO
Bが入場。90名近いので5段である。2:44畑中先生がゆっくり登場。マイクを片
手に「え~、今日はOB四連にお運びいただき有難うございます」と多田武彦委
嘱作品(東京初演)、北原白秋の詩の解説があった。畑中先生はオーバーにいえ
ば「北原白秋博士」である。「この『過ぎし日』は白秋の『思ひ出』のなかでも
独特の、5歳くらいの時代をおぼろげに思い出しながら綴った詩です」--そう
か!目から鱗(うろこ)だった。
①「源平将棋」、②「水ヒヤシンス」ともに「やり過ぎない」子音が美しく、言
葉がハッキリ聴き取れ、情緒の世界が繰り広げられた。ベース、セカンドのパー
トソロもいい。曲間はすべてアタッカでつながれていく。③「糸車」ではとくに
見事なフレージングだった。とくにセカンドの声がワグネルらしい、しっかりし
た声--大好き!④「汽車のにほい」は柳川(河)に「汽車が来た」という面白
い曲。最後の「面白いな」で会場から笑いが来た。⑤「見果てぬ夢」では「しみ
じみ性」に思い入れたっぷり!最後のフレーズ「過ぎし日の、その夜の、言はで
過ぎにし方思ひ」にはppでえもいわれぬ世界が浮かび上がった。⑥「秋の
日」の「光ながめてひと雫」には沈殿する気持ち。曲のラストではTopを中心に
見事な滑舌(かつぜつ--子音の立て方)を繰り広げた。ブラボーを独り、2回
叫んだ。
初演の多かった岩城宏之氏は「初演はばくちみたいなもの」といっていたが、新
作「過ぎし日」は順風満帆の船出をしたといえるのではないだろうか。
6.合同演奏。数えられないがオンステが300人以上であることは間違いない。長身
の佐藤先生は白のブレザーに黒ズボン。この曲は「声」と「滑舌」が勝負といっ
て過言ではない。300人以上という人数は「声」にはプラスだが、言葉の「滑
舌」にはリスキーである。しかし、それもなかなかよかった。稲門T氏のソロ
も、満を持した、抜けるような強い声でよかった。合唱はほとんどが暗譜。一部
の冷静さをキープして歌い切った。佐藤先生は、水準高いメンバーを相手に、入
魂の指揮を繰り広げた。いかにも指揮棒がふさわしい、ためのある、大きな指揮
だった。私は40年近く前にオーケストラ指揮者で演奏したが、合唱にはやはり声
楽を知った指揮者の方がいい。会場からは盛んにブラボーがかかっていた。
(終演3:39)
(聴きに来られているのかどうか)ロビーでワグネルOBにほとんど会わないのが
寂しかった。
OB四連が開催された(開演1時)。すみだトリフォニーは新日フィルにとっても
私にとってもホームグランドである。
錦糸町ではドトールで眠気覚ましにコーヒーを一杯。12時30分、ホールに到着。入
り口でプログラムをもらうや、早速2階で「予習」をする。プログラム登録メンバ
ーは新月会(関学)86名。稲門(早稲田)70名。クローバー(同志社)92名。ワグ
ネル(慶應)88名であった。
当日はワグネルの多田武彦委嘱作品(東京初演)を除き、「知った曲」ばかりでど
んな演奏になるか楽しみだった。(座席は1階9列-13)
1.エール交換(新月会、稲門、クローバー、ワグネルの順)
2.新月会 多田武彦「雪明りの路」(広瀬康夫指揮)
3.稲門グリー 團伊玖磨「岬の墓」(西田裕己指揮、ピアノ前田勝則)
--休憩--
4.クローバークラブ 「魂の叫び」~Afro-American Spirituals
5.慶應ワグネル 多田武彦「過ぎし日」(委嘱作品、東京初演)(畑中良輔指揮)
6.合同演奏 石井歓「枯木と太陽の歌」(佐藤正浩指揮、ピアノ前田勝則)
1.エール交換--ステージは330人の大人数でぎゅうぎゅう詰めである。--のフ
ァースト・インプレッションは(どうしてもTopを聴いてしまう。)
新月会 大人の声(響きがちょっと・・・・・・)
稲門 いい声。現役に見られるリキミも感じない。
クローバー 若々しい声。最後のBrotherhoodがよかった。
ワグネル 2番まで歌った!やや速めのテンポで前に前に行く指揮。
2.広瀬氏の「雪明りの路」を聴くのは初めてだろうか。1曲ずつピアノで音取りを
する「安全運転」だった。続けて聴くのとはまた違った印象である。①「春を待
つ」に注目したが、アゴーギクといい、気持ちゆっくりのテンポといい、大変よ
かった。②「梅ちゃん」の「あの藁家が崩れた」ではいかにも関学らしい、意味
ある、見事なディミヌエンドに惹きつけられた。(お互いに聴き合うことが徹底
している。パートの声、ピッチの均質性のすばらしさ!)③「月夜を歩く」には
なんともいえない柔らかさ、寂しさの中に温かさがあった。④「白い障子」はあ
えてあっさり。⑤「夜まわり」でのベース系のユニゾン・ソロの思い入れはいか
ばかりであろう。⑥終盤「しずかなあおい」はスケールが大きかった!関学は多
田武彦作品ではどちらかというとさっぱりとした歌い方の印象を持っていたが、
今回は造型の大きな、大変ロマンティッシュな演奏を聴かせてくれた。大きなブ
ラボーを叫んだのはいうまでもない。
3.4団体の中では唯一ピアノ伴奏付き。(前田さんのピアノはいつもステキ!)西
田氏は昭和50年度の学指揮。その白髪にビックリ。福永先生のイロも加わってい
るのかもしれないが、これがまた造型の大きな「岬の墓」を聴くことができた。
深い呼吸!粘るべきところで粘りを見せた。子音もよく聴き取れる。*友会より
いいのではないか。「永遠の休らいと暗い影」--ここで感じるのは初めてであ
る。途中から自然背中が離れた。「船出 せよ~」で大きなタメを見せた。ソリ
ストも十分。「風は何を語るや」は80年版の編曲で、魅力的だった。大きなスケ
ールで、私のやってもらいたいことをすべてやってくれた。西田さん(存じ上げ
ないけれど)有難う!「僕のことならほっといて」さんもご満足でしょう。→こちら
それにしてもブラボーが私一人とは納得がいかない。
4.いわゆる「黒人霊歌集」である。ワグネルより英語がうまいのは伝統だろう。
(エールも英語である。)中では④「Steel Away」の静寂な、悲しみの世界がす
ばらしかった。⑤「Listen to the Lambs」の哀愁もよかった。最後の「Ev'ry
Time I Feel the Spirit」ではステージいっぱいに広がって歌い終えた。(一般
的には楽しいステージ。3、4人からブラボーがかかった。)
5.2:40 譜面台、大きな譜面、台付きのマイクが運び入れられた。2:42 ワグネルO
Bが入場。90名近いので5段である。2:44畑中先生がゆっくり登場。マイクを片
手に「え~、今日はOB四連にお運びいただき有難うございます」と多田武彦委
嘱作品(東京初演)、北原白秋の詩の解説があった。畑中先生はオーバーにいえ
ば「北原白秋博士」である。「この『過ぎし日』は白秋の『思ひ出』のなかでも
独特の、5歳くらいの時代をおぼろげに思い出しながら綴った詩です」--そう
か!目から鱗(うろこ)だった。
①「源平将棋」、②「水ヒヤシンス」ともに「やり過ぎない」子音が美しく、言
葉がハッキリ聴き取れ、情緒の世界が繰り広げられた。ベース、セカンドのパー
トソロもいい。曲間はすべてアタッカでつながれていく。③「糸車」ではとくに
見事なフレージングだった。とくにセカンドの声がワグネルらしい、しっかりし
た声--大好き!④「汽車のにほい」は柳川(河)に「汽車が来た」という面白
い曲。最後の「面白いな」で会場から笑いが来た。⑤「見果てぬ夢」では「しみ
じみ性」に思い入れたっぷり!最後のフレーズ「過ぎし日の、その夜の、言はで
過ぎにし方思ひ」にはppでえもいわれぬ世界が浮かび上がった。⑥「秋の
日」の「光ながめてひと雫」には沈殿する気持ち。曲のラストではTopを中心に
見事な滑舌(かつぜつ--子音の立て方)を繰り広げた。ブラボーを独り、2回
叫んだ。
初演の多かった岩城宏之氏は「初演はばくちみたいなもの」といっていたが、新
作「過ぎし日」は順風満帆の船出をしたといえるのではないだろうか。
6.合同演奏。数えられないがオンステが300人以上であることは間違いない。長身
の佐藤先生は白のブレザーに黒ズボン。この曲は「声」と「滑舌」が勝負といっ
て過言ではない。300人以上という人数は「声」にはプラスだが、言葉の「滑
舌」にはリスキーである。しかし、それもなかなかよかった。稲門T氏のソロ
も、満を持した、抜けるような強い声でよかった。合唱はほとんどが暗譜。一部
の冷静さをキープして歌い切った。佐藤先生は、水準高いメンバーを相手に、入
魂の指揮を繰り広げた。いかにも指揮棒がふさわしい、ためのある、大きな指揮
だった。私は40年近く前にオーケストラ指揮者で演奏したが、合唱にはやはり声
楽を知った指揮者の方がいい。会場からは盛んにブラボーがかかっていた。
(終演3:39)
(聴きに来られているのかどうか)ロビーでワグネルOBにほとんど会わないのが
寂しかった。
単なる合唱オジさん達のお祭りではなく、非常に質の高い演奏が繰り広げられるのが素晴らしいですね。
朝のステージ練習で新月会が発声練習をし、カデンツをffからppまで。隣にいたホールのスタッフの人が「凄い合唱団ですね。綺麗だなぁ!」と話しかけてきました。確かに!
ブンダバーさんのブラボーは、舞台袖まで聞こえてきましたよ。
ブラボーは当日通算5回!叫びました。(下品なブラボーにならないよう往生しました。ブラボーをかけるのは1階最後列がベストでしたが、ちょっと近すぎました。)
お客様は、オンステメンバーの奥様・知人方が多いせいか大人しかったですね~。あれだけの水準、本来だったらブラボーの嵐でもおかしくなかったでしょう。
関学・新月会は「声を聴き合う」というアタリマエのことが本当に徹底していますね~。伝統とはいえ、一朝一夕にはできるものではないでしょう。(S50年卒のセカンドYさんには会われました?)
皆様にはお会いしたかったのですが、打ち上げは失礼して帰宅し、ブログ作りに励みました。5000円のパーティー代が高いと感じるようになってはオシマイですね~(笑)。また今度!!
ハイドンIIさんの隣の席、空いてました?
可成り近くの席にいたようです。後ろ姿を拝見したのかもしれません。お顔を見ていないところがミソです。
私は打ち上げにも参加させていただきました(有り難いことに女性はもう少し低い金額でした)。何かに代え難い楽しい時間でした。
OBメンバーズの演奏会も是非聴いてくださいね。
もちろんワグネルOB演奏会も聴く予定です。
たしかに私の隣の席はなぜか2つ空いてました。
なんでお分りになったのでしょう?ブラボーがうるさかったかしらん(笑)。
昨日、友人と電話していたら「yumeさんって誰なんですか?」と訊かれましたが、「まったく知らない」といっておきました(笑)。
夏休みも過ぎれば、音楽シーズンですね~。