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二期会60周年記念「カヴァレリア・ルスティカーナ」、「パリアッチ(道化師)」 畑中先生の思い出(4)

2012-07-23 05:00:00 | 音楽

今年は、二期会創立60周年である。二期会は、昭和27(1952)年、東京音楽
学校の卒業生である三宅春惠(当時34歳)、川崎静子(33)、柴田睦陸(39)、
中山悌一(32)を中心に若い声楽家16名によって結成された。畑中良輔先生
(30)もむろん参加されている。二期会としての最初のオペラ公演は「ラ・ボエ
ーム」(指揮;マンフレート・グルリット)だった。

二期会50周年記念の平成14(2002)年には「ニュルンベルクのマイスタージ
ンガー」を聴きに行った。(福井敬さんのヴァルター、佐々木典子さんのエーファ。)
60周年記念にも何かオペラに行きたいと考え、「パルシファル」と迷ったが、「カ
ヴァレリア・ルスティカーナ」、「パリアッチ」を選んだ。(東京文化会館、4階 L-
1-20)


指揮;パオロ・カリニャーニ
 1961年ミラノ生まれ。51歳。「ウィーン国立歌劇場、メトロポリタン歌劇場、ベ
 ルリン・ドイツ・オペラ、英国ロイヤルオペラ、パリ・オペラ座、ケルン、ローマ、
 ナポリ、ジュネーヴ、バルセロナなどの劇場のほか著名な音楽祭を指揮。ま
 たオーケストラも数多く振っている。我が国には読売日本交響楽団の指揮者
 として登場。来年には新国立劇場での指揮も予定されている。(ヴェルディ
 「ナブッコ」)」
合唱;二期会合唱団
管弦楽;東京フィルハーモニー
演出;田尾下 哲
 東京大学工学部建築学科卒業。同大学院学際情報学府修士課程修了、同
 博士課程単位取得。「ミヒャエル・ハンペとの出会いを機に本格的に演出を学
 び、2000年から演出家として活動。03年から09年まで新国立劇場に所属し、
 オペラ・チーフ演出スタッフを務め、約70のプロダクションに参加した。09年
 チューリヒ歌劇場『カヴァレリア・ルスティカーナ』、「道化師」で、共同演出・振
 付を担当し、ヨーロッパ・デビュー」

<メイン・キャスト>
1.カヴァレリア・ルスティカーナ
サントゥッツァ;大山亜紀子(芸大、同大学院修了。第39回日伊声楽コンソル
  ソ入選、第74回日本音楽コンクール第2位および岩谷賞など)
トゥリッドゥ;岡田尚之(芸大、同大学院修了。文化庁派遣研修員としてイタリ
  アへ留学。第21回五島記念文化賞オペラ新人賞を受賞)
ルチア;栗林朋子
アルフィオ;小川裕二
ローラ;富岡明子

2.パリアッチ
カニオ;大野徹也(芸大、同大学院修了。第16回民音コンクール第2位。東京学
  芸大学教授)
ネッダ;嘉目(よしめ)真木子(国立音大、同大学院修了。二期会オペラ研修所マ
  スターク ラス終了(優秀賞)。文化庁の助成を受け来春よりイタリアへ研修予
  定)
トニオ;桝 貴志
ペッペ;小原啓楼
シルヴィオ;塩入功司

今回の公演、注目の指揮者、イタリアの名匠カリニャーニ。メイン・キャストは、む
ろん全員が二期会会員である。
これらのオペラは、イタリアのヴェリズモ・オペラである。ヴェリズモというのは、一
種の自然主義かしらん、一般的には現実主義と訳すようだ。ロマン派への反動か
な。実際にあった事件などを題材にしている。(「週刊新潮」黒い報告書?)

1.カヴァレリア・ルスティカーナ
緞帳が開いている。オケ盛んに練習。ステージには、セットもなく、木のイスが雑
然と10個ばかり。コンマス入場でチューニングが始まると、その間に子供たちが
イスを舞台から片づける。これも演出のようだ。その後は、シンプルなステージに、
このイスがオペラの動きに合わせて使用されていた。大道具さんはお休みであ
る(笑)。

サントゥッツァの役に没入した大山さん(Sop.)がすばらしかった。テノールの岡
田さんも期待どおり。有名な、間奏曲のカンタービレで、サントゥッツァが下を向
いて一人歩くシーンには、涙が止まらなかった。
(泣き節を聴くと泣き虫になる!?)


2.パリアッチ
休憩から戻ると、ステージには、TVスタジオ風のセットが作られていた。15:45
からオケのチューニングが始まると、テレビ局の数人がTVカメラなどを所定の位
置にセットし、スタンバイOKなどと演じている。
原作は、1860年代南イタリアの村を舞台に座長カニオ率いる旅劇団がやってく
るのだが、今回は、今流行りの(?)現代演出というのかしらん、時代が1960年
代となっていた。トニオの前口上は「3時のあなた」風スタジオで歌われ、劇中劇
はTVドラマとなる。私にはこうした演出は違和感があるのだが、割り切って聴け
ば楽しいといえるかもしれない。しかし、原作を知らないで初めてこのオペラを聴
く人はちょっとかわいそうかしらん。
今回は、最後に殺人沙汰となる場面では、ネッダ、シルヴィオのほかカニオも倒
れてしまう。したがって、「喜劇は終わりました」というせりふをトニオ(Bari.)が言
っていた。(--大テノールマリオ・デル・モナコのイタリア・オペラでは、デル・モ
ナコが言うのだが。)

ネッダの嘉目さんが期待にたがわず、熱唱、熱演を繰り広げ、私も含め多くのブ
ラボーが飛び交っていた。
1、2を通じて、二期会合唱団がすばらしかった。(*)最後には合唱指揮の佐藤
宏さんもステージに登場、マエストロカリニャーニとともに大きな拍手を受けてい
た。オペラは総合芸術、ですね~。

(*)先日の新国立劇場「ローエングリン」の合唱といい、このところ合唱団の熱
 演が目立っている。




上野松竹デパート前のスペイン・バー


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東京文化会館








休憩中のロビー



<畑中先生の思い出>
畑中先生ご逝去から2か月 追悼記事が絶えない


『音楽の友』8月号
特別記事 さようなら、ブル先生(p74)
伊藤京子(声楽家) 博学でとても優しい先生  ワグネルでの「水のいのち」の
 朗読に触れておられる
沼尻竜典(指揮者) 美食家だったブル先生
吉田純子(朝日新聞社記者) さようなら、ブル先生



『レコード芸術』8月号
宇野功芳 畑中先生の思い出(p269)



『音楽現代』8月号
畑中良輔氏を悼む(p58)
中村健 わが師「ブル」先生のご冥福を祈りつつ・・・
長野羊奈子 レッスンでたたき込んでくださったもの
栗林義信 「丸芳露と馬」
塚田佳男 かけがえのない宝、大いなる感謝
伊原直子 時間をかけ、曲を深めていく大切さを教えて下さった
藍川由美 師の教え


畑中先生は、私のようなサラリーマンと違って、歳をとればとるほどお忙しく
なっていった。音楽とその周辺という「お仕事」がお好きな「仕事人間」だっ
た、と言えるのではないかしらん。


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2 コメント

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二期会 (sho)
2012-07-23 23:12:08
学生時代、もう35年以上前ですが、当時の二期会のカヴァレリア・ルスティカーナ、道化師を聴きました。カヴァレリア・ルスティカーナはゴッド・ファーザーでも出てくるシーンでシチリア島の雰囲気が満喫しています。あの間奏曲は本当に感動的です。世界一美しいメロディーだと思います。イタリア人はどうしてあれほどロマンチストなんでしょうね・・・。
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Re;二期会 (katsura1125)
2012-07-24 21:04:00
shoさん、ありがとうございます。
おっしゃっているのは、昭和50(1975)年6月公演。指揮;外山雄三、演出;栗山昌良。1.成田絵智子、田原祥一郎、桐生郁子、、平野忠彦等。2.田口興輔、中沢桂、栗林義信等による公演かと。
イタリアには「歌」がありますね~。
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