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人生ブンダバー

読書と音楽を中心に綴っていきます。
現在は、暇に飽かして、日々更新。

9/10 藝祭2017 「東京音楽学校に響いたうた」

2017-09-20 05:00:00 | Weblog

9月10日(日)、快晴でまだ暑い。増山歌子先生から木下保先生関
係の資料(自筆譜)展示と演奏があるというお話をいただき、下田先
輩と「藝祭2017」を「取材」に伺った。

今年は、東京音楽学校と東京美術学校の創立から数えて130周年
だ。藝祭訪問は初めてだが、藝祭=藝大の学園祭である(→こちら)。

増山先生がご親切に案内いただけるというので、午後2時に先生と
下田さんと藝大の正門守衛所前で待ち合わせ。私はその前に1時間
少々、音楽学部とは反対側にある美術学部なども含め、ウロウロす
る。


まったくの余談だが、藝大には、学生現役時代、学生指揮者の Iさ
んと畑中良輔先生(教授)の音楽室に、楽譜の伴奏譜について質
問にお邪魔したのが初めてだ。
それからしばらくして、昭和49(1974)年のことだが、後輩たちを連
れ、いたずら半分に、畑中先生の音楽室を見に行ったことがある。
「ここなんだよ。先生はいるかな~」と扉の窓を覗いていたら、、畑
中先生が「あなた、こんなところで何しているの?」とやってこられ、
「きゃ~、大変失礼しました」とあわてて逃げ帰ったことがあった。


いまだ待ち合わせ時間の前に、大変な人ごみの中、一人で音楽学
部の5号館から中に入っていったら、知らぬ間に2号館の音楽学部
音楽総合研究センター大学史史料室に行きつく。
そこには音楽取調掛以来の歴史がパネルで展示されていた。「歴
史好き」の私には興味津々である。部屋の中にも戦前、戦時中の
写真など貴重な資料が展示されている。

「カメラ×」となっていたが、おられた女性(--後の名刺交換で史料
室の橋本先生と分かった。)に
「私、木下先生、畑中先生に少しく教えをうけた者ですが、写真を撮
らせていただいてもいいでしょうか」
と許可を求めると、
「どうぞ。あら大学のコーラスか何かでらっしゃいますか」
「あ、はい、慶應のワグネルで」
「そうですか。先生は怖かったですか」
「そりゃ、もちろん。怒られると口がきけなくなるほど、ムチャクチャ怖
かったです」
「そうですか。でもそういうお話をされる方は皆さん、どなたも先生を
恨んだりしていないから不思議ですネ。先日も藤山一郎さんのお孫
さんでワグネルの方とそんな話をしまして」
などと雑談する。

その後、暑かったが、大学内をあっちに行ったり、こっちに行ったり。
お約束の10分前に守衛所前に行ったら、増山先生、下田さん、聖心
のOG会長が既に来ておられ、「あ、来た来た」。

早速、再び史料室へ。あらためて橋本先生にご挨拶し、昔の写真や
木下先生が所蔵しておられた自筆譜などをじっくり拝見する。焼夷弾
の戦災にもあわず、自筆譜が残ったことはオーバーに言えば奇跡的
なことだ。木下先生の奥様、お嬢様方が大切に保存されていた賜物
だろう。

午後3時からは2号館音楽総合研究センターの一角で、それら自筆
譜関連の演奏「東京音楽学校に響いたうた」を聴く(写真参照)。

<プログラム>
1.兎束龍夫 「東京音楽学校学生歌」(作詞者不詳) 混声四部合唱
2.深井史郎 歌曲集『日本の笛』(北原白秋詩)より
 「出舟」
 「矢部のやん七」 
  小玉友里花(Sop.)
3.橋本國彦
 舟歌「城ケ島の雨」(北原白秋詩)
  山下裕賀(Mez.)
 「田植唄」(林柳波詩)
  澤原行正(Ten.)
4.露木次男 「馬追手綱」(藤田健次詩)
  澤原行正(Ten.)  
5.下総皖一 「春浅き」(江南文三詩) 混声四部合唱(以下同じ)
6.木下保 「見渡せば」(作詞者不詳)
7.團伊玖磨 「恩師を讃える歌」(大谷智子詩)
8.草川宏(信時潔監修)
 「級歌」(一色範義詩 風巻景次郎監修)

Bass:高崎翔平(混声四部合唱)
Piano:高橋健介
解説:舘 亜里沙

出演者は、皆さん、藝大を真に優秀な成績で卒業された若手(20代
から30代前半)の方々だ。これからさらに活躍が期待されていると
いっていいだろう。

当時の自筆譜などを音にする場合は、いろいろな考証の努力があっ
てのことと拝察する。楽譜だけを頼りに、聴いたこともない曲を「音」
にするのは大変な作業ではないかしらん。


以下、いつもつたないながら、ひと言コメントを・・・・・・
1.兎束龍夫 「東京音楽学校学生歌」(作詞者不詳) 混声四部合唱
・・・今回のオープニングにヴァイオリニストの兎束(うづか)が作曲し
た混声曲が歌われた。3mほどの距離で聴くと一人ひとりの「息遣い」
までハッキリ聴けておもしろい。

2.深井史郎 歌曲集『日本の笛』(北原白秋詩)より
                          1939(作曲年、以下同じ)
 「出舟」
・・・琴のごとき前奏。日本的な装飾音=節回しで、素人には楽譜を声
にするのが難しそうな曲だ。
 「矢部のやん七」 
・・・ラヴェル的な音の伴奏に、メロディーは日本的という不思議な声
楽曲。小玉さんはやや小柄だが、全身を使った声。
  小玉友里花(Sop.)

3.橋本國彦
 舟歌「城ケ島の雨」(北原白秋詩)1928
  山下裕賀(Mez.)
・・・安定した母音の響きで堂々とした歌唱。日本語らしい「ウ」もすば
らしい。
 「田植唄」(林柳波詩)1930
  澤原行正(Ten.)
・・・やや太めの、品のあるテノールの響き。私は関学のMさんの声
(彼はハイバリだが。)を思い出した。

4.露木次男 「馬追手綱」(藤田健次詩)1930
  澤原行正(Ten.)  
・・・初めて聴いたが、まさしく馬が駆けるようなリズムの伴奏。「ヒン
ツァカッパ」(でよかったかしらん。)という掛け声がおもしろい。

5.下総皖一 「春浅き」(江南文三詩) 混声四部合唱(以下同じ)1931
・・・しみじみとした曲に4人の息がピッタリ!ハッとする瞬間がすばら
しい。(--後で高崎さんに「どなたがリードされたんですか?」とお
訊きしたら、「4人でこうしたらどうかしらとアイディアを話し合いなが
ら」とのことだった)。

6.木下保 「見渡せば」(作詞者不詳)
・・・明治時代の小学唱歌「見渡せば」(→「蝶々」)の歌詩に、作曲した
もの。明るい感じで、女声が先行し、後から男声パートに移行し、最終
的に混声四部になる。歌詩がずれて流れていく、木下先生らしい曲と
いっていいのかしらん。
高崎さんは「なかなか難しかったですネ」と言っておられた。

7.團伊玖磨 「恩師を讃える歌」(大谷智子詩)1955
・・・4人のアンサンブルで聴くのは初めてだったが、安定したBassとテ
ンポに乗って、堂々とした合唱だった。お隣の聖心OG会長が一緒に
口ずさんでいた。

8.草川宏(信時潔監修)
 「級歌」(一色範義詩 風巻景次郎監修)
・・・前奏はオーソドックスな感じ。信時音楽(--の影響といっていい
のかしらん。)が耳に聴こえる。3番まで聴いてくるとなぜだかジ~ンと
してきた。

すばらしい「企画」をされた方々にあらためて拍手を送りたい。



パンフレット兼プログラム



10:57 文字どおり快晴!


11:01 ヒガンバナもまもなく開花?


11:15 ドウダンツツジも色づき始めた。


11:16 カジュアルルックで失礼


11:20


22:21 サクラも落ち葉が・・・・・・


11:25 早くも七五三の予約受付中


11:33 あざみ野


12:01


12:03


12:23 根津にて下車


12:25


12:26 方向を間違えないように、何回も確認


12:26


12:27


12:28 これより台東区


12:29


12:29


12:29 太宰春台墓


12:32


12:34 「上野桜木」交差点 右折する。


12:35


12:36


12:37


12:38 藝大前 左音楽学部 右美術学部


12:38 音楽学部の門


12:38 音楽学部


12:38


12:39


12:40


12:41


12:41


12:42 L.クロイツァー


12:42 「音楽は魂で感じとられるもの」(独語) L.クロイツァー


12:43 有名な伊澤修二先生(東京音楽学校初代校長)


12:44 (新)奏楽堂


12:45 こちらが(新)奏楽堂


12:45


12:49


12:51 抽選チケットの発表


12:51 休憩スペース


12:53 
「写真に見る東京藝術大学音楽学部~その始まりから今日まで~」


12:54 上段に伊澤修二とメーソン


12:54


12:54


12:55 明治30年代 ユンケル、ケーベルなどの外国人先生


12:55 出陣学徒壮行会 昭和18年10月21日


12:55 学徒挺身隊 昭和18年7月


12:56 東京音楽学校最後の卒業式 昭和27年3月


12:57 「信時潔没後50周年記念演奏会 交声曲『海道東征』」
平成27年11月28日 すばらしいLIVEがCD化されている。






13:09


13:10 「撮影ご希望の方はスタッフにお申し出ください」


13:11 昭和6(1931)年6月「ラウトロップ先生送別、合唱大演奏会」
最後列に木下保先生の若かりしお姿も(当時27歳、ドイツ留学前)。


13:11 昭和8年


13:12 昭和9年卒業生
最前列は乗杉校長を中心に、信時潔、ヴーハーペニッヒ、高野辰之、
プリングスハイム、レオ・シロタ、安藤幸などの先生方


13:12 下は「飲み会」で盛り上がる畑中先生の同期
「畑中良輔氏提供」とあった。


13:12 中央の写真はダンディーな木下保先生


13:13 昭和18年9月(繰り上げ)卒業生の寄せ書き
草川宏、葛原守、畑中良輔先生、中田喜直、田村宏等々

私の父は立教だが、同じく昭和18年繰り上げ卒業ではなかったかし
らん。


13:14


13:14 「木下保氏関係資料 伊太利民謡<わが太陽>」など
「木下保」のスタンプが押してある。


13:14 「音楽取調掛 全科卒業生・助教・伝習生 明治18年」
前列左の3人が卒業生--市川道、遠山甲子、幸田延。
後列中央の洋装がピアノ教師瓜生繁。


13:15 昭和18年9月 卒業写真


13:16 
「正門 学生生活のひとこま1 畑中良輔氏提供」


13:16 
「裏庭での教練 学生生活のひとこま2 畑中良輔氏提供」


13:20


13:23 コンサート一覧


13:25


13:26


13:27


13:27


13:28 守衛所


13:29 大学会館へ


13:30 売店


13:31


13:31 バウムクーヘンで一服


13:40


13:41


13:44 これより美術学部へちょっと顔出し・・・・・・


13:44


13:45


13:45 藝「大」コレクション


13:46


13:47


13:49 再び芸術学部へ戻る。


13:52 帽子姿は長身の下田さん


13:57


13:57


13:58 L.W.メーソンと伊澤修二(東京音楽学校初代校長)


14:01 皆さんで談笑


14:03


14:05


14:09 
右の写真は草川宏(フィリピン、ルソン島バギオにて戦死)と信時潔


14:09 
「学生オーケストラの練習 昭和35年5月 指揮者:遠藤雅古」


14:10 
右上;レオ・ソロタ 
右下;最前列に乗杉校長、L.クロイツァー、信時潔など(昭和6年6月)


14:10 葛原守、草川宏、鬼頭恭一、村野弘二各氏の資料


14:11 東京音楽学校の通信教育


14:12


14:12 日独伊三国防共同盟作曲募集書類 昭和12年11月


14:18 山田耕筰関連


14:22 
銃后奉仕演奏会 木下保指揮、東京音楽学校管弦楽団・合唱団
ハイドン「四季」 独唱;藤田文子、萩谷納、秋元精一 昭和18年

演奏会の名前が時代を感じさせる。そういう時代だったんですね~。
今の言葉で言えば「チャリティーコンサート」ということになるのかしら
ん。


14:22 昭和18年9月繰り上げ卒業写真


14:22 出陣学徒仮卒業式 昭和18年11月

送り出す先生方の気持ちは如何ばかりだっただろう。


14:27


14:28 <「うた」の立役者 木下保>


14:28 <木下保の芸術と木下記念スタジオ>


14:29 團伊玖磨「恩師を讃える歌」自筆譜1955年


14:29


14:29 橋本國彦「垣の壊れ」(北原白秋詩)1925年 
「木下保君に」の文字が見える。

橋本國彦(1904-1949)は、木下先生と同世代にして、同僚でもあ
った。

余談だが、橋本國彦は私の小中学校(戦後創立)の学園歌の作曲
者である。(昭和23年作曲。作詩は石川達三)


14:30 「贈木下保先生 『田植唄』橋本國彦作曲」1930年


14:31


14:34 木下保先生の「見渡せば」(作曲年不明)


14:35


14:37 LPのフリーマーケットが開かれていた。


14:40 音楽家の著書 畑中先生のエッセイも


14:40 2階 音楽総合研究センター


14:52 「東京音楽学校に響いたうた 関係資料演奏」
こちらが演奏会場(1階)--演奏の撮影・録音は遠慮。主催者側で
録音はされたかしらん。



音楽総合研究センターのPR



16:09


16:10 守衛所


16:11 見学を終え、上野公園方向へ


16:12


16:20 角の上島珈琲店で一服 30分ほど談笑


16:46


16:47


16:47


16:47


16:47


16:52 修繕中の旧奏楽堂


16:52


16:52


16:56 上野公園でも藝祭2017


16:57


17:03


17:03


17:04 誰が出てくるのかしらん?


17:04


17:04


17:05 最後までわからなかった(笑)。


17:07


17:07


17:11


17:21


17:27 半蔵門線三越前


18:11 あざみ野へ戻る。

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